原子力安全委員会、大飯原発のストレステスト 1次評価を確認

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内閣府原子力安全委員会は3月23日、定期検査で停止している関西電力大飯原発3、4号機の再稼働の前提となるストレステストの1次評価について、問題ないとの確認結果を決定した。安全委が安全評価を了承したのは初。

関西電力大飯原発の1次評価については、3号機については昨年10月28日に、4号機については11月17日に保安院に提出され、ともに本年2月13日に保安院の評価が終了して安全委に報告されていた。

関電の報告では、両基は想定より1.8倍大きい地震の揺れや、4倍の高さの津波でも炉心損傷しないとしている。

現在までに他に14基について1次評価が提出されているが、これらは全て、まだ保安院で評価中。

付記
保安院は3月26日、四国電力伊方原発3号機の1次評価を妥当とする審査書をまとめ、原子力安全委員会に報告した。

終了後、記者会見した安全委の班目委員長は「1次だけでは不十分で、2次まできちんとやってほしい。安全性の確認は保安院が責任をもってやるべきで、安全委はその確認をするだけ。再稼働の判断をするのは政府だ」と語った。

斑目委員長は会見で、「要するに、すべて『Yes but』なんです」と述べた。

全交流電源喪失など危機的な状況も想定した評価手法が取り入れられたことや、非常用電源車の高台への配備など福島第一事故を受け導入された緊急安全対策に一定の効果があると確認されたことなどを挙げたが、今後の安全対策への注文は27項目にも及び、報告書の半分以上を割いた。
最大の注文は「一次評価は簡略な方法にすぎない。被害拡大を防ぐ対策までを検証する二次評価を速やかに実施すべきだ」と求めたこと。

「われわれは保安院がやったことに対して、この部分はそう、ただしこういうこともしてくれと書いた。総合的安全評価はあくまで1次評価と2次評価をあわせてやるもので、ぜひ2次評価までやってほしい」

「1次評価を運転再開と結び付けるのは政府の判断で、安全委として申し上げることではない。(見解文は)若干わかりにくいとの指摘があったが、科学者として述べないといけないことはすべてここで述べた」

「世界的に見てストレステストと再稼働を結び付けている国はない。それはそれで1つの政治判断としてなされることで、安全委として何かを申し上げることはない」

「わが国はある意味、シビアアクシデントは起こり得ないと考えてきた。それが結局、今回の事故を防げなかった最大の理由だと思う。緊急安全対策を取り、さらに非常に簡略的だがこういう総合的安全評価を始めたのは非常に大きな一歩だ」

「総合的安全評価は1次と2次の両方がないとできないので、まずはとにかく2次評価をしてもらいたい」 

* 保安院が昨年末までをめどに提出を求めた2次評価の結果はどこからも出ていない。


なお、関電が提出した評価は2011年10月1日時点のもので、当時は5キロ以上離れた活断層の連動は考慮しないでよいこととなっていた。
 大飯原発周辺には、陸側の「熊川断層」と、海側の若狭湾内に延びる2つの活断層があり、3断層の全長は約63キロに及ぶ。ストレステスト評価時点では、海側2断層(全長約35キロ)の連動は考慮に入れたが、3断層連動は想定しなかった。
 
保安院は今年1月、東日本大震災を受けて、従来のルールを見直すよう、電力各社に指示した。
 これに対し、関電は3断層の連動について「可能性は極めて低い」とし、仮に3断層が連動したとしても、基準地震動の1.8倍は超えないと保安院に報告した。
保安院は「計算の根拠が不明確だ」などとして、詳細な評価をするよう再度求めている。 

付記
保安院は3月28日、3つの断層が連動して動いても安全性は保たれるとした関電の判断を妥当と評価した。
今後さらに詳細な影響を調べ、耐震安全性評価(バックチェック)の最終報告書の提出を支持した。バックチェックは原発の運転中でも実施できる。

ーーー

原発の再稼働については、安全委の了承後に、首相、官房長官、経済産業相、原発相が安全性を確認して再稼働の是非を判断することとなっている。これまでは地元の理解を得て、判断するとしていた。

これについて、官房長官は3月8日、地元合意に先立って再稼働の是非を判断する方針を明らかにした。
国の責任を明確にすることで地元を説得するねらいで、その後、地元の理解を得て再稼働の是非を最終決定する。

なお、民主党の原発事故収束対策プロジェクトチームは、再稼働を「時期尚早」と結論づけている。
「福島第一原発の事故原因の解明を待たずに再稼働すれば、同様の事故を繰り返すおそれがある」としている。

政府は原発を運転開始から原則40年で廃炉にすることを明記した原子炉等規制法改正案を閣議決定したが、原子力規制庁設置を含め法案成立の見通しはついていない。 

付記

野田首相は4月3日、関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を巡り、関係3閣僚と初の協議を行い、経産省に対し、再稼働の是非を判断するための「暫定安全基準」の整備を指示した。
 

ーーー

中部電力が浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)に増設を計画している6号機をいったん白紙に戻すことが分かった。

昨年3月の電力供給計画では運転開始時期を「2020年前後」と明記していたが、今月末に国に提出する新年度からの供給計画では削除する。

ーーー

原発の状況は以下の通り。東電柏崎刈羽6号機は3月26日に停止、残りは北海道電力泊3号機のみとなる。
北海道電力は泊3号機を定期検査のため5月5日に運転停止させる。

付記
東京電力は福島第一原発の1~4号機(計281万2千キロワット)を、4月19日付で「廃止」すると発表した。


発電所名
運転開始 型式 40年
まで
年数
能力
(万KW)
稼働中
(定検
  時期)
停止       1次評価 
保安院へ提出 安全委へ報告 安全委
確認
北海道電力
 泊
① 1989/6/22   PWR   57.9   12/7    
② 1991/4/12   PWR   57.9   12/27    
③ 2009/12/22  PWR   91.2   5/5        
東北電力
 東通
① 2005/12/8  BWR(Mark-I 改)   110.0   12/27    
東北電力
 女川
① 1984/6/1   BWR(Mark-I)   52.4        
② 1995/7/28 BWR(Mark-I 改)   82.5        
③ 2002/1/30 BWR(Mark-I 改)   82.5        
東京電力
 福島第一
① 1971/3/26  BWR(Mark-I) 0 46.0   ◎ x      
② 1974/7/18  BWR(Mark-I) 2 78.4   ◎ x      
③ 1976/3/27  BWR(Mark-I) 4 78.4   ◎ x      
④ 1978/10/12 BWR(Mark-I) 6 78.4   ○ x      
⑤ 1978/4/18 BWR(Mark-I) 6 78.4        
⑥ 1979/10/24 BWR(Mark-Ⅱ) 7 110.0        
東京電力
 福島第二
① 1982/4/20 BWR(Mark-Ⅱ)   110.0        
② 1984/2/3 BWR(Mark-Ⅱ改)   110.0        
③ 1985/6/21 BWR(Mark-Ⅱ改)   110.0        
④ 1987/8/25 BWR(Mark-Ⅱ改)   110.0        
日本原子力
 東海
② 1978/11/28 BWR 6 110.0        
東京電力
 柏崎刈羽
① 1985/9/18 BWR(Mark-Ⅱ)   110.0   1/16    
② 1990/9/28 BWR(Mark-Ⅱ改)   110.0        
③ 1993/8/11 BWR(Mark-Ⅱ改)   110.0        
④ 1994/8/11 BWR(Mark-Ⅱ改)   110.0        
⑤ 1990/4/10 BWR(Mark-Ⅱ改)   110.0        
⑥ 1996/11/7 ABWR   135.6  
     
⑦ 1997/7/2 ABWR   135.6   1/16    
中部電力
 浜岡
③ 1987/8/28 BWR(Mark-I 改)   110.0        
④ 1993/9/3 BWR(Mark-I 改)   113.7        
⑤ 2005/1/18 ABWR   138.0        
北陸電力
 志賀
① 1993/7/30 BWR(Mark-I改)   54.0        
② 2006/3/15 ABWR   135.8   2/1    
日本原子力
 敦賀
① 1970/3/14 BWR(Mark-I) 0 35.7        
② 1987/7/25  PWR   116.0   12/27    
関西電力
 美浜
① 1970/11/28  PWR 0 34.0        
② 1972/7/25  PWR 1> 50.0        
③ 1976/3/15  PWR 4 82.6   12/21    
関西電力
 大飯
① 1979/3/27  PWR 7 117.5   1/27    
② 1979/12/5  PWR 7 117.5        
③ 1991/12/18  PWR   118.0   10/28 2/13 3/23
④ 1993/2/2  PWR   118.0   11/17 2/13 3/23
関西電力
 高浜
① 1974/11/14  PWR 2 82.6   1/13    
② 1975/11/14  PWR 3 82.6        
③ 1985/1/17  PWR   87.0        
④ 1985/6/5  PWR   87.0        
中国電力
 島根
① 1974/3/29 BWR(Mark-I) 2 46.0        
② 1989/2/10 BWR(Mark-I改)   82.0        
四国電力
 伊方
① 1977/9/30  PWR 5 56.6        
② 1982/3/19  PWR   56.6        
③ 1994/12/15  PWR   89.0   11/14 3/26
 
九州電力
 玄海
① 1975/10/15  PWR 3 55.9        
② 1981/3/30  PWR 9 55.9   12/14    
③ 1994/3/18  PWR   118.0        
④ 1997/7/25  PWR   118.0        
九州電力
 川内
① 1984/7/4  PWR   89.0   12/14    
② 1985/11/28  PWR   89.0   12/14    
合計       54基 1 53基 16基 3基 2基

     PWR:加圧水型、BWR:沸騰水型、ABWR(Advanced BWR):改良型沸騰水型
     BWRのうち、格納容器が
Mark-1型は問題 とされている。

          停止中 ○ 定検・トラブルで停止 36基(37-1)
          ◎ 震災で停止 11基(14-3)
          ● 政府要請で停止 2基 
          X  廃炉決定 4基

 

 

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