BP、メキシコ湾岸原油流出事故で漁業関係者などと和解

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BPは3月3日、New Orleansでの個人や企業を原告とする訴訟の併合審理手続き(Multi-District Litigation)で、原告側の運営委員会との間で和解に達したと発表した。
ニューオーリンズ連邦地裁の判事は、今月5日に予定されていた審理の延期を命じた。提案された和解条件は承認のため裁判所に提出される。

付記

BPは4月18日、和解が最終決定したと発表した。

基金からの賠償額に不満を持つ個人や企業が訴訟を起こしたもので、漁業関係者、清掃業者、ホテル、不動産会社など10万以上に及ぶ。弁護士は340人。

和解は2つの部分に分かれる。
一つは経済的損失で、これには
メキシコ湾の海産物業界への経済的損害(補償額 23億ドル)やメキシコ湾岸の観光促進のための宣伝費支援などが含まれる。

もう一つは医療費で、現実の健康被害の補償や、21年間の健康相談、今後の健康被害への対応など。
更に地域の(原告以外の人も含めた)ヘルスケアの幅、質の向上のための資金(105百万ドル)が含まれる。

BPの推定では和解で払われる総額は約78億ドルで、全額が被害補償のための200億ドルの基金(Gulf Coast Claims Facility)から払われる。

今回の和解以前に、BPでは事故関係で220億ドル以上を支出している。
81億ドル以上が個人、企業、政府機関への支払いで、これに加え、BPは作業関係で約140億ドルを支出した。

今回の和解による78億ドルの支払いは、既に損失として処理している200億ドルの基金から払われるため、同社の損益には関係しない。

損益計算上の特別損失は2年合計で371億ドル(2010年409億ドル、2011年 38億ドルの戻入)

他社からの和解金合計は54億ドル(戻入)のため、直接支出225億ドル、基金への支出200億ドルとなる。
   22,448 + 20,000-5,390=37,058百万ドル

200億ドルの基金からは既に、個人と企業からの22万件以上のクレームの解決に61億ドルが払われている。
今回の和解分を入れると、139億ドルで、残りは61億ドルとなる。

今回の和解には、米国政府などからの請求(Clean Water Act による罰金やOil Pollution Actによる自然資源損害によるもの)や州や地方自治体からの請求、別の併合審理手続きによるもの、その他が含まれていない。

Clean Water Act による罰金はバレル当たり1,100ドル だが、重大な過失の場合は4,300ドルとなる。
政府は410万バレルが流出したと見ており、重大な過失であれば、罰金は176億ドルにもなる。
BPでは流出量を320万バレルとし、バレル1100ドルを適用し、35億ドルを引き当てており、現在政府と交渉中。

不足すれば、残りはBPが直接支払うこととなる。

 

 

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