シャープ、台湾の鴻海グループと戦略的グローバル・パートナーシップを構築

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シャープは3月27日、電子機器の受託製造サービスの世界最大手の鴻海(Hon Hai) グループと戦略的グローバル・パートナーシップを構築すると発表した。
主要事業分野において業務提携するとともに、鴻海グループを割当先とした第三者割当による新株式の発行を行うことで合意した。

戦略的業務提携の概要は以下の通り。

1)鴻海グループへの第三者割当増資  669億円
   グループ合計で9.88%となり、最大株主になる。

鴻海精密工業   4.06%
鴻準精密工業   0.65%
Foxconn (Far East)   2.53%
Q-Run Holdings   2.64%
グループ合計   9.88%

2)鴻海精密工業の購買力を活用した堺工場の操業安定化とコスト競争力強化

両社は堺工場=シャープディスプレイプロダクトを「ワンカンパニー」として共同で事業運営を行うことにより、堺工場の操業安定化を実現する。

鴻海の郭台銘董事長が46.48%を出資 660億円

  これにより出資比率は、
  シャープ 46.48%、
董事長 46.48%、シャープ 7.04%となる。

   
鴻海は堺で生産する液晶パネル、モジュールを最終的に50%まで引き取る。(10月以降)

堺工場が得意とする60型以上のパネルを鴻海が引き取ることで、結果的に大型テレビで新たなライバルを生 むとの懸念もある。

   
両社はシャープの開発力と、鴻海の高い実装生産力・コスト競争力など、両社の強みを活かしたグローバルレベルの新たなビジネスモデルを構築し、市場ニーズにマッチしたコスト競争力のあるデバイス・商品のタイムリーな市場投入を実現する。

液晶パネルだけでなく、太陽電池など幅広い分野での提携を検討する。両社は毎月、経営幹部を交えた協議会を開き、提携による相乗効果を高めていく。

シャープは、調達する資金1300億円を新規技術導入に関わる投資等に充当し、中長期的な収益力向上及びグローバル競争力の強化を図 る。

ーーー

シャープは2007年7月、新たに大阪府堺市に最先端の液晶パネル工場と、薄膜太陽電池を量産する太陽電池工場を併設することを決定したと発表した。

液晶パネル工場
 ・投資額:約3,800億円(新工場の全土地代含む)
 ・着工:2007年11月
 ・稼動開始:2010年3月までに
 ・主な生産品目:40型・50型・60型クラスの大型テレビ用液晶パネル
 ・マザーガラスサイズ:2,850mm x 3,050mm(第10世代)
   (60型クラスのパネルが6枚、50型クラスは8枚、40型クラスは15枚取れる)
 ・投入能力 :月72,000枚(稼動当初は月36,000枚)

2007/12/5  シャープの「21世紀型コンビナート」

2008年2月にシャープとソニーは、シャープの液晶パネル工場を分社化することにより、大型液晶パネル・モジュールの生産および販売を行う合弁会社を設立することについて、「意向確認覚書」を交わした。

会社名称 シャープディスプレイプロダクト
設立日 2009年4月1日
稼動開始 2009年10月
出資比率 シャープ66%、ソニー34%
事業内容 大型テレビ用液晶パネル・モジュールの生産および
シャープ、ソニーへの販売
生産能力 72,000枚/月(稼動当初は36,000枚/月)(マザーガラス投入ベース)

2009年12月29日、ソニーはシャープディスプレイプロダクトの増資を引き受け、7.04%を100億円で取得した。
ソニーは堺工場で生産されるパネルの7%にあたる55万台分(40型換算)を受け取る。
2011年4月末までに最大34%まで引き上げられ、その時点で265万台分がソニーに供給されることとなっていた。

しかし液晶パネルの調達環境をめぐる変化を背景に、両社は2011年4月、ソニーの追加出資を先送りにした。

両社は本年3月28日、ソニーの追加出資を行なわないことで合意し、既存の出資分の取扱いや大型液晶パネル、液晶モジュールの合弁事業のあり方や取引関係について、2012年9月末を期限に検討を行なうと発表した。

付記

シャープとソニーは5月24日、シャープディスプレイプロダクトについて、6月末までにソニーが保有する株式(出資比率:7.04%)すべてを譲渡し、両社の合弁を解消すると発表した。対価として、ソニーの出資時と同額の100億円が全額現金で支払われる。

また、シャープと凸版印刷、大日本印刷は2012年5月24日、凸版、大日本及び大日本の100%子会社 DNPカラーテクノ堺の堺工場における液晶カラーフィルター事業をシャープディスプレイプロダクトに吸収分割の方式により承継させることを決めた。

これらの結果、シャープディスプレイプロダクトの出資比率は以下の通りとなる。(吸収分割で株式発行)
   
シャープ   37.61%
 
      郭台銘     37.61
   凸版      9.54
   大日本     9.54
      自己株式   5.70 (ソニーから買収分 旧 7.04%相当)

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ソニーとサムスンは2004年、韓国にアモルファスTFT液晶パネルの製造合弁会社S-LCDを設立した。

サムスンが発行済み株式の5割と1株を持ち、ソニーが残りを出資した。

ソニーは2011年12月、この合弁を解消し、全株式をサムスンに譲渡すると発表した。

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堺工場は「昨年末まで80~90%の稼働率を維持してきた」が、世界的なテレビ販売の不振と価格下落で足元の稼働率は50%に下落している。

シャープは今期、主力の液晶事業の不振などで過去最大となる2900億円の最終赤字に転落する見通し。

奥田隆司・次期社長は今回の提携の狙いを以下の通り説明した。

研究開発から生産、販売まですべて自前で手掛ける単独の垂直統合モデルには限界があった。
鴻海グループが持つ高い生産・加工技術力とコスト競争力を融合し、両社の強みを生かしたグローバルでの垂直統合モデルを一緒に作り上げる。
魅力的な商品やデバイスを機動的に提供でき、シャープの弱点を補える。

競争環境が厳しくなる中、液晶パネルの生産からテレビ販売まで自社で手掛ける垂直統合では限界があった。

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なお、鴻海グループは液晶パネルの奇美電子(Chimei Innokux)を持っている。
シャープでは将来は総合的な業務拡大も考えられるとしている。

鴻海グループは2003年に群創光電(Innolux Display)を設立した。

2009年に、奇美グループの奇美電子(Chi Mei Optoelectronics)及び統寶光電(TPO) の2社と統合し、奇美電子(Chimei Innokux)とした。

TPOはオランダのPhillipsのMobile Display Systemsと台湾のToppoly Optoelectronicsが合併したもの。

 

付記
奇美電子には奇美実業グループが約17%、鴻海グループが約11%を出資するが、2012年6月、奇美実業グループが役員を引き揚げ、8人の全役員が鴻海系となった。奇美実業は株式売却は現時点では考えていないとしている。

 

 

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