カネカ、ドイツで酸化型コエンザイムQ10に関する特許侵害訴訟判決に控訴

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カネカは4月18日、ドイツでの酸化型コエンザイムQ10に関する特許侵害訴訟でカネカの請求を棄却する判決が出たため、4月13日に控訴したと発表した。

カネカは、酸化型コエンザイムQ10に関する同社の欧州特許(EP 1 466 983)を侵害しているとして、2010年10月に浙江醫藥(Zhejiang Medicine) と欧州のディストリビューターである欧州協和発酵を相手取り、ドイツ・デュッセルドルフ地方裁判所に販売差し止めと損害賠償を求める訴訟を提起していた。

判事は浙江醫藥の設備を視察した後、3月13日に、カネカの請求を根拠がなく、侵害の事実はないとして棄却する判決を下し、訴訟費用をカネカ負担とした。

カネカはこの判決を不服とし、4月13日に控訴した。

浙江醫藥は、最初から請求は根拠のないものと考えていたとし、世界中でカネカが行っている裁判で同じ結果が出ると信じていると述べた。

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カネカは、コエンザイムQ10に関する研究開発投資を継続的に行っており、その過程で生じた知的財産は重要な経営資源と位置付け、これを守るため各地で訴訟を行っている。

2009年に、中国の廈門金達威ビタミン(Xiamen Kingdomway Vitamin)と米国のPacific Rainbowを被告として、還元型コエンザイムQ10に関する特許の侵害に対して、米国カリフォルニア州中部地区連邦地方裁判所に販売差し止め及び損害賠償を求める訴訟を提起し、その結果、被告が米国での還元型コエンザイムQ10の販売を取りやめることに同意した。

酸化型コエンザイムQ10に関しては、2010年10月には、上記のドイツに加え、中国のコエンザイムQ10 メーカーと輸出業者及びフランスの輸入業者を相手取ってフランス・パリ地方裁判所に特許侵害訴訟を提起した。

さらに、2011年3月には、米国特許(U.S. Patent 7,910,340)に基づき、カリフォルニア州中部地区連邦地方裁判所に下記の7社を被告とする侵害訴訟を提起し、差止と損害賠償を求めた。

浙江醫藥 (Zhejiang Medicine)と同社の米国子会社 ZMC-USA
廈門金達威集團 (Xiamen Kingdomway Group)
米国 Pacific Rainbow International
三菱ガス化学
米国 Maypro Industries(
山田進社長が商社の駐在員として渡米し、独立して設立)
神舟生物科技ShenZhou Biology & Technology)

この米国訴訟の追加的措置として、カネカは2011年6月に米国国際貿易委員会(ITC)に申立を行い、上記の7社による特許侵害についての調査を行うよう求め、ITCは7月に調査を決定した。

通常、調査開始決定から約1年後に特許侵害の有無の初期決定(Initial Determination)が下され、再審査がなければ初期決定がITCの最終決定となる。
ITCは、米国関税法337条に基づき、輸入品による特許侵害や輸入品に関わる不正競争についての申立に対応する権限を持っている。

これに対し、三菱ガス化学は以下の発表を行っている。

自社の製造方法が当該特許のいかなる有効なクレームも侵害しないとの決定をITCが速やかに下すものと確信している。
同社独自の製法でコエンザイムQ10を製造し、カネカの米国特許出願の10年以上前から米国で販売している。
カネカの米国特許権を侵害していないと確信しており、積極的に反論していく。

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コエンザイムQ10は、人間の全ての細胞1つ1つに存在する補酵素で、①エネルギー産生、②抗酸化の働きがあるが、加齢とともに減少する。

体内には還元型と酸化型のコエンザイムQ10が存在するが、大部分は還元型(血中では95%以上)。

抗酸化力を発揮するのは「還元型」だけで、酸化型コエンザイムQ10は小腸ですぐ還元されて体内では還元型
コエンザイムとなる。
但し、
体内で"酸化型"を"還元型"に変換する力も、年齢とともに、衰えていく。

カネカは、世界で初めて高純度還元型コエンザイムQ10の大量生産技術を確立した。



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