Chesapeake Energyの混乱

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米天然ガス2位、Chesapeake Energy は5月1日、創業者で会長兼CEOの Aubrey K. McClendonが会長職を辞すると発表した。CEO職には止まる。
独立した非常勤の会長候補を新たに探す。

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4月18日に同社の株価が一時10%近く急落した。

McClendon CEOがChesapeakeの石油・ガス井に対する個人持分を担保に過去3年間で11億ドルを借り入れていることをReutersが報じた。

Chesapeakeには創業者参加計画(FWPP:Founder Well Participation Program)という名の計画があり、McClendonが同社の数千にも及ぶ井戸の全てについて2.5%の持分を購入することを認めている。
借り入れた資金はこの個人持分の購入に使われていた。

借入金の一部はChesapeakeが取引している投資会社 EIG Global Energy Partnersからのもので利益相反の疑いがある。
この借入金については株主に公開されていない。

これを受け、同社は4月26日にこのFWPPを2015年末までの10年の期間が過ぎれば延長をしないと発表したが、5月1日になってこれを見直し、2014年6月末に終了させると発表した。

4月30日に Wall Street Journalは税務当局(IRS)がFWPPの調査を始めたと報じた。

Chesapeake Energy は5月1日、McClendonが会長職を辞すると発表した。

5月2日には、McClendon が2004年から2008年までの間にヘッジファンドを通じChesapeakeの扱う製品と同じ石油や天然ガスなどに2億ドルを投じていたと Reutersが報道した。
ヘッジファンドの石油やガスの取引は、McClendon がCEOとして市場を動かすような情報を得ている期間に行われており、 これらの情報を個人のために利用しているのではとの疑惑が起こり、この報道で株価は更に下がった。

ある上院議員は司法省に対し、詐欺、価格操作、利益相反、その他の違法行為がないか、Chesapeakeを捜査するよう求めた。

SECは非公式調査を開始しており、会社とMcClendon に対し、資料の保持を求めた。

S&Pは本件を懸念し、同社の格付けをBB+からBBに下げた。


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Chesapeak Energy はMcClendonがTom L. Ward(元社長)と二人で1989年に5万ドルの投資で始めたもので、現在では天然ガスではExxonMobilに次ぐ2位で、昨年の売上高は116億ドル。
"America's Champion of Natural Gas"、"the biggest frackers in the world"(シェールガスのFracking)と自称している。

同社の業績       

単位:百万ドル 

  2008 2009 2010 2011
売上高  11,629  7,702  9,366  11,635
営業損益 1,457 -8,945 2,805 2,921
純損益 504 -5,853 1,663 1,570
 2009年:減損その他で -11,202百万ドル


同社は過去5年で900万エーカーを超える土地をリースした。これは全てを掘削するのに30年かかるというもの。
そして新しいシェール層が見付かると、権利の獲得を続けた。

Chesapeake Energyの現在の主な鉱区は以下の通り。

このうち、Eagle Ford Shale については中国のCNOOCが60万エーカーのリース権益の33.3%を購入している。

2010/10/18  CNOOC、テキサス州のEagle Ford Shale projectに参加

BHP Billitonは、Chesapeake Energyからアーカンソー州のFayetteville Shaleの権益全てとパイプラインを47.5億ドルで買収すると発表した。

2011/2/23 BHP Billiton、米シェールガス鉱区を買収 

日揮は2011年6月、Chesapeake Energyからテキサス州 Eagle Ford シェールの権益の10%を65百万ドルで譲り受けた。


しかし、最近はシェールガスの供給拡大で天然ガス市況は昨年に50%下がり、直近では100万BTU当たり2ドルを割り、2001年以来の安値となっている。

天然ガスの供給過剰を懸念し他の業者が減産を始めたのに対し、McClendonは天然ガス価格の高騰に賭け、Chesapeakeは第1四半期に生産を18%増やしている。

この結果、同社の長期債務は100億ドルに達した。

このやり方は資産価値が高止まりする場合にのみ成功するが、天然ガス価格が近い将来高騰する可能性は少ない。

2012年第1四半期決算は予想外の赤字となった。

McClendon CEOの個人の行動だけでなく、彼の考え方で拡大を続けてきたChesapeake Energy自体が大きな問題を抱えている。



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