大衆薬ネット販売、高裁認める

| コメント(2) | トラックバック(0)

東京高裁は4月26日、大衆薬のネット販売の権利の確認を求めた訴訟の控訴審で、原告側敗訴の一審判決を一部取り消し、2社に販売権を認める逆転判決を言い渡した。
省令の無効確認などの訴えは、一審同様に不適法として却下した。

付記

国は2社に販売権を認めた東京高裁判決を不服として上告する方針を固めた。

これについて、池田信夫blog (2012/5/9) 「法の支配を無視する厚労省」は以下の通り述べている。

東京高裁の判決で注目されるのは、「・・・法律の委任によらないで国民の権利を制限する省令の規定は国家行政組織法12条3項に違反する」として、法律で決まっていない規制を官僚が恣意的に行なうことを禁じた点だ。
厚労省が上告したのは、このような省令による裁量行政が霞ヶ関では当たり前だからである。(以下略)

ーーー

2006年に薬事法が改正され、2009年6月1日に実施された。

これまでは一般用医薬品は薬剤師を置かないと販売できなかった。
逆に、薬剤師を置けばインターネット販売も可能であった。

薬事法 第37条 
薬局開設者又は一般販売業の許可を受けた者、薬種商若しくは特例販売業者は、店舗による販売又は授与
以外の方法により、医薬品を販売し、・・・・してはならない。

厚生労働省は、薬事法上「店舗による販売又は授与」とは必ずしも店頭に限定するものではないとの解釈の下、インターネット販売は適法とし、これを容認してきた。


改正でコンビニエンスストアなどでも、登録販売者を置けば、「一般医薬品」の販売ができるようになるなど、医薬品販売の規制緩和がなされた。

             改正薬事法 省令
専門家 相談対応 積極的情報提供 ネット販売
第一類 副作用等により日常生活に支障を来す程度の
健康被害が生ずるおそれのある一般医薬品のうち、
特に注意が必要なもの
(胃腸薬「ガスター10」、発毛剤「リアップ」など)
薬剤師 義務 文書義務付け   ○    X
第二類 副作用等により日常生活に支障を来す程度の
健康被害が生ずるおそれのある一般医薬品
(主な風邪薬、「葛根湯」などの漢方薬、鎮痛薬など)
薬剤師
登録販売者
義務 努力義務   ○ X
第三類 第一類医薬品、第二類医薬品以外の一般医薬品
(ビタミン剤、整腸薬など)
薬剤師
登録販売者
義務 規定なし   ○
  * 登録販売者:実務経験1年以上で、都道府県が実施する試験に合格したもの


しかし、厚生労働省は2月6日、改正薬事法施行に合わせて、一般用医薬品(大衆薬)のインターネット販売を規制する内容の省令を公布した。

今回の省令は、薬剤師や販売者が説明や情報提供を尽くすため、薬局や店舗での「対面販売」を原則とし、インターネット販売を含む通信販売の対象を、ビタミン剤や整腸薬などの第三類に限定した。

この結果、それまでインターネットで購入できている一般医薬品のうち7割近くが販売できなくなった。

但し、離島居住者などの問題が出たため、厚生労働省は2009年5月29日に一部改正の省令を交付・施行し、薬局などが存在しない離島に居住する者などに伝統薬などと第2類医薬品の通信販売を2011年5月31日まで2年間可能にするとした。
2009/6/1 薬事法施行規則などの
一部を改正する省令の一部を改正する省令

これは法律で認められているものを省令で禁止する形となるもので、内閣総理大臣の諮問機関である規制改革会議では、省令案の段階で「法律に基づかない規制は違法性もある」と指摘していたという。

2009/2/9  大衆薬ネット販売規制

医薬品・健康食品のインターネット通販会社のケンコーコムとウェルネットは2009年5月、国を相手取り、医薬品ネット販売の権利確認と省令の無効確認・取消を求め、東京地裁に提訴した。

東京地裁は2010年3月30日、上記の請求を棄却した。

岩井伸晃裁判長は「規制は健康被害防止の観点から必要性、合理性が認められ、行政の裁量の範囲内」として、省令は合憲と判断した。

一方で、将来的に副作用に対する消費者の認識や、情報通信技術などに変化が生じた場合は「新たな状況に応じた規制の見直しが図られるのが改正法の趣旨にも合致する」として、 「
今回の規制が恒久的に固定化されるべきだという判決ではない」と付言した。

今回の高裁判決では、三輪和雄裁判長は「改正法には医薬品のネット販売を直接禁止・制限する規定はなく、一律に禁止しているとは認められない」と指摘し、ネット販売を原則禁止する省令の規定は「法律の委任なしに国民の権利を制限しており違法」と判断した。

規制について定めた省令の部分は、国民の権利を制限する省令の規定であり、国家行政組織法12条3項(「省令には、法律の委任がなければ、罰則を設け、または義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができない」)に違反する。

薬品を適正使用するための情報提供についても「インターネットなどを通じた幅広い情報提供の方法が考えられる」として、「ネット販売は情報提供が不十分」とする国の主張を退けた。

小宮山洋子厚労相は4月27日の閣議後の記者会見で、「便利にインターネットを利用したい方がいる一方で、薬害の被害にあった方からは、慎重な対応を求める声もある」と指摘し、「しっかりと判決内容を見て検討し、関係省庁とも協議をしていきたい」とした。


トラックバック(0)

トラックバックURL: http://blog.knak.jp/knak-mt/mt-tb.cgi/1821

コメント(2)

薬がネットで買える様になると凄く便利になりますよね!大賛成!!副作用が云々とゆう人もいる様ですが、そんなものもネットで調べられるし、気になる人だけ直接薬剤師に聞けばよい。

政府が上告を決めましたので付記しました。
池田信夫氏のブログがこれを取り上げていますので、引用しました。

コメントする

最近のコメント

月別 アーカイブ