電力の需給検証委員会

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政府は5月10日、電力会社の今夏の需給見通しが妥当かどうかを点検する需給検証委員会の第5回会合を開き、需給予測の最終報告書案を議論した。

政府は4月8日、関西電力の管内のことし夏の電力需給について、最新の見通しをまとめた。
しかし、これに対する疑問が呈されたことから、枝野経産相がやり直しを指示した結果、4月13日に修正案が提示された。
  2012/4/16 関西電力の電力需給予想

関西電力の需給予想に対しては多くの疑問が出ている。
このため、政府は4月11日、各電力会社が申告している電力需給見通しを審査する有識者会議を新設する方針を決めた。第三者の評価を採り入れて予測の精度を高めるもの。

今夏の電力需給見通しは下記の通りとなった。

原発稼働をゼロと想定した電力9社の8月の需給見通し (万キロワット
電力会社 供給力 最大需要 需給
過不足
予備率
  
%
随時調整
契約効果
込み %
北海道 485 500 -16 -3.1 -1.9
東北 1,475 1,434 41 2.9  
東京 5,771 5,520 251 4.5  
中部 2,785 2,648 137 5.2  
関西
(大飯稼働)
2,542
(2,988)
3,015
 
-473
(-27)
-15.7
(-0.9)
-14.9
(0.0)
北陸 578 558 20 3.6  
中国 1,235 1,182 53 4.5  
四国 587 585 2 0.3  
九州 1,574 1,634 -60 -3.7 -2.2
合計 17,032 17,076 -45 -0.3 0.1
 最大需要は2010年夏並みの猛暑を想定。

関西電力については、事務局が委員の求めに応じ、参考として大飯原発の供給力を見込んだ試算を提出した。

2基を合わせると計236万キロワットの出力がある大飯原発の再稼働で、夜間にくみ上げた水で発電する揚水発電の出力も増加し、電力需給が逼迫した時に企業に電気使用を抑えてもらう「随時調整契約」を見込んだ場合、電力不足は解消される。
随時調整契約を考慮しない場合は0.9%の電力不足となる。

この試算は、地元などに「再稼働か、使用制限か」を迫るものとして、反感を呼んでいる。
滋賀県では、「再稼働で需給の帳尻が合う新試算公表は予想された筋書。再稼働はあくまで安全性確保が条件」としている。

関電はこれまで、再稼働しても5%程度の電力不足になるとの見通しを示していた。
松井一郎大阪府知事は「『再稼働しても足りない』という話だったのに、今度は『足りる』という見解がでた。何を信じていいのか」と批判した。
「(原発を)動かせば足りると、誘導されていくのは理解できない」と述べ、政府や関電への不信感を示した。

ーーー

政府は4月23日、今夏の電力需要や供給能力を精査する「需給検証委員会」の初会合を開いた。

4月26日の第二回会合で、電力会社から提出を受けた供給力見通しをこれ以上積み増すことは難しいという見方でおおむね一致した。

昼間の電力需要ピーク時は、夜間の余剰電力でくみ上げた水で発電する揚水発電に期待がかかるが、原子力発電所が軒並み停止したことで夜間の余剰電力がそれほど生まれず、従来ほど貯水量を確保することができないと判断した。


 

企業の自家発電設備も、既に電力会社の見通しに最大限盛り込まれているとした。

電力融通については下記の通りが計画されている。

  最高想定
需要時
夜間最大
関西電力 110万kw 240万kw
中部電力  -100万kw  -230万kw
北陸電力 -6万kw -18万kw
中国電力 -49万kw -92万kw
九州電力 45万kw 101万kw

計算上はもっと余力があるが、火力等の電源脱落等のリスクがあることから、現時点で「安定的に必要とされる予備率」を下回るような融通の上積みは難しい。1週間前か前日になれば、リスクが見通せるようになり、融通量が増加する可能性 はあるとしている。

各電力会社は当然、安全を見ている。トラブルがなければ、融通量が増え、不足とならない可能性はある。

なお、電力会社各社のピーク時の使用電力の見通しに盛り込んだ節電効果がバラバラであることが分かった。

東京電力   10% (610万kw)
九州電力   7%  
       
関西電力   3% (102万kw)
中部、北陸   4%  
北海道、東北、四国   3%  
中国   2%  

5月2日の第3回会合では、検証委は「関電の見通しよりも、節電による需要削減などが期待できる」と判断し、不足幅を15%に圧縮した。

関電は、今夏の節電効果を102万キロワットとし、16.3%不足すると説明していた。

これに対し委員会は、一般家庭の節電意識の高まりなどで、需要予測に関電の申告より節電効果が15万キロワット多く反映できるとした。

また、需要の逼迫時に限り企業に電気の使用を抑えてもらう「随時調整契約」で、最大需要から28万キロワットを差し引けると想定、43万キロワットの需要削減を見込んだ。

電力会社 供給力 最大需要 需給
過不足
予備率
 (%)
当初 2,535 3,030 -495 -16.3
今回 2,535 2,987 -452 -15.1
差異  

節電  15
契約   28

   

関西電力の需給をまとめると以下の通りとなる。(万kw)

  能力 2011夏
実績

2012/8見通し

4/23
需給検証
委員会
5/7
需給検証委員会
2011夏
並み
2010猛暑
並み
過去5年
平均
大飯
稼働無し
大飯
 稼働
需要①   2,784 2,784 3,095 3,023 3,030 3,015 3,015
需要②
 随時調整契約
            2,987 2,987
供給力
(除 原発)
4,079
(3,046)
2,947
(2,611)
2,631 2,525 2,540 2,535 2,542 2,988
過不足   163
(5.9%)
-153
(-5.5%)
-570
(-18.4%)
-483
(-16.0%)
-495
(-16.3%)
-473
(-15.7%)
-27
(-0.9%)
過不足②
 随時調整契約
            -445
(-14.9%)
1
(0.0%)
                 
原子力 977 337 0 0 0 0 0 236
火力 1,697 1,415 1,472 1,472 1,472 他社込み
1,923
他社込み
1,923
他社込み
1,923
一般水力 331 225 203 203 203 254 254 254
揚水 488 448 312 206 221 232 239 449
太陽光 0 0.2 0.2 0.2

含地熱 5

5 5
自社合計 3,494 2,425 1,987 1,881 1,896      
他社一般 585 405 523 523 523      
融通 0 118 121 121 121 121 121 121
他社合計 585 523 644 644 644      
総合計 4,079 2,947 2,631 2,525 2,540 2,535 2,542 2,988
原発除く 3,046 2,611            

 

 


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