公取委、料金値上げ「一方的」と東電に注意

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公取委は6月22日、東京電力に対し、東電の値上げ行為は独禁法の「優越的地位の濫用」に該当するおそれがあるとして文書で注意を行った。

今後、電気料金の引上げ等の取引条件を変更するに当たっては、当該条件を提示した理由について必要な情報を十分に開示した上で説明するなどして、自由化対象需要家向け電力取引について、独占禁止法違反となるような行為を行うことのないよう注意した。

注意は、違反の明確な証拠は見つからないが、違反に発展する恐れがあると判断した場合に行う措置。
注意の公表は異例で、公取委は「公益性が高く公表が望ましいと判断した」としている。

(優越的地位の理由)

東京電力は、供給区域における自由化対象需要家(契約電力が原則として50キロワット以上の需要家)向け電力供給量のほとんどを占めており、一方、当該供給区域における特定規模電気事業者の電力供給の余力は小さい。

このため、ほとんどの自由化対象需要家にとって、東京電力との取引の継続が困難になれば事業経営上大きな支障を来すため、東京電力が著しく不利益な取引条件の提示等を行っても、これを受け入れざるを得ない状況にあり、東京電力は、当該需要家に対し、その取引上の地位が優越していると考えられる。

(問題となる行為)

東京電力は平成24年1月頃から同年3月頃までの間、契約上、あらかじめの合意がなければ契約途中での電気料金の引上げを行うことができないにもかかわらず、一斉に同年4月1日以降の使用に係る電気料金の引上げを行うこととするとともに、当該需要家のうち東京電力との契約電力が500キロワット未満の需要家に対しては、当該需要家から異議の連絡がない場合には電気料金の引上げに合意したとみなすこととして書面により電気料金の引上げの要請を行っていた事実が認められた。

この行為は優越的地位の濫用に該当し同法第19条の規定(不公正な取引方法の禁止)に違反する行為につながるおそれがある。

東電の値上げ手法を巡り企業側の反発は強く、川口商工会議所が公取委に申告書を提出していた。

その後、東電はMETIの指導でやり方を改めた。
このため公取委は、問題点は改善されているとして、課徴金や排除措置命令といった独禁法に基づく行政処分は見送った。



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