韓国、7月からイラン産原油の輸入を全面停止;日本は輸入継続

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EUは6月25日の外相理事会で、7月1日から域内保険会社がイラン産原油輸送タンカーに損害保険を販売することを禁止することを決めた。

EUは1月23日、ブリュッセルで外相理事会を開き、イランへの制裁措置として、同国産原油の輸入禁止と同国中央銀行の資産凍結などを決めたが、その中に、下記の項目がある。

・イラン原油及び石油製品の欧州での輸送・購入・輸入の禁止、及び関連するファイナンスと保険契約の禁止
  既に締結済の契約は6月末までは認める。

2012/1/27 EU、イラン原油禁輸を7月完全実施へ

EUは7月1日にイラン産原油の全面輸入禁止措置を発動させた。

韓国は、欧州の保険会社の再保険がなければイラン産原油を運ぶタンカーを運航することができないため、7月からイラン産原油の輸入 を全面的に停止する。

韓国は中国、日本、インドに次ぐ4番目のイラン産原油の輸入国で、昨年は原油全体の9.4%の8720万バレルをイランから輸入した。

韓国の精油4社のうちSK EnergyとHyundai Oilbankがイラン産原油を輸入してきた。
SK Energyは輸入量の約10%、Hyundai Oilbankは約20%となっている。

今年に入り、両社はイラン産原油の輸入量を削減し、その分をカタールなどほかの産油国からの輸入で補っているため、韓国政府は「国内の需給に大きな影響はない」としている。

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イラン産原油の輸入停止は韓国政府のイラン向け輸出にも影響を与える。

韓国は米国の要求により2010年からイランとの金融取引を停止している。

韓国政府は2010年9月8日、独自の対イラン制裁を発表、事前許可ないイラン金融取引を事実上禁止た。

韓国の石油各社はイランからの原油の輸入代金を国内のウリィ銀行と中小企業銀行に開設された口座に入金し、韓国の輸出企業はイランから受け取るべき代金をその口座から引き落とす形で決済している。

この口座には約1年分の決済が可能な残高があるが、イラン産原油の輸入停止が長期化すれば、残高がなくなり、輸出代金が受け取れないこととなる。

なお、米オバマ政権は6月11日、韓国やインド、台湾、南ア、マレーシア、スリランカ、トルコの7か国・地域について、イラン産原油の輸入を大幅に削減したとして、イラン制裁法の適用対象から除外すると発表した。
6月28日には中国とシンガポールも除外した。

このため、イラン制裁法の上では、金融取引は可能となる。
現在の禁止は韓国政府の方針によるものであり、イラン制裁法の適用対象からの除外で、韓国政府が方針を変えるかどうかによる。

韓国政府は6月26日、危機管理対策会議を開き、原油の代替輸入先を確保する一方、韓国の輸出企業に被害が及ばないよう対応策を講じることを申し合わせた。

イラン向け輸出をする中小企業を対象に輸出物量をそれぞれ割り当てるクォーター制を実施する一方、イラン向け輸出の比重が高い企業がトルコなど代替市場へ目を向けられるように支援する計画。

他方、韓国のイラン原油輸入停止を受け、駐韓イラン大使は、「韓国政府の類を見ないイラン産原油輸入中断決定で両国関係の損傷を避けようとしたイランの努 力が水の泡になった」とし、「韓国が今度の措置を実行すれば、イランも韓国製品の輸入を完全に中断する決定を下すこともありえる」と強調した。

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日本の場合は、以下により、当面の問題点を解決 、イラン産原油の輸入を(量を減らしながら)継続する。

(保険)

貨物保険:補償額を5割超 減額する。
船舶保険:免責条項を導入、戦争保険についてイラン関連は免責する条項を追加する。

賠償保険:6月20日「特定タンカーに係る特定賠償義務履行担保契約等に関する特別措置法」が成立 、 
     
イラン産原油を運ぶ日本のタンカーに重大な事故が起きた場合、最大で76億ドルを国が補償する。

詳細は以下の通り。

タンカーの損害保険は、対人・対物は任意だが、油濁損害については船舶油濁損害賠償保障法で強制加入が義務づけられている。

日本では海運各社でつくる日本船主責任相互保険組合がほとんどを引き受けているが、補償額は800万ドルしかないため、欧州の損保会社と再保険契約を結び、最大76億ドルまで補償できるようにしている。

今回、この再保険が出来なくなる。

特別措置法では、
・タンカー所有者と国が再保険分の保険契約に代わる特定保険者交付金交付契約を結び
・タンカー所有者から保険金相当額の年額約1500万円を徴収。
・日本船首責任相互保険組合が補償する額を上回る事故があった場合に、交付金を交付する。


(金融)

米国は2011年12月、核開発を加速するイランへの資金流入防止を目的に、イラン中央銀行と取引関係のある外国金融機関に事実上の制裁を科す条項を盛り込んだ国防権限法を成立させた。
これには、原油輸入を大幅に削減していれば例外とすることも盛り込まれている。

米国務省は3月20日、核開発疑惑を強めるイランへの追加金融制裁の適用対象から日本と欧州10か国の合計11か国を除外する方針を決め、米議会に伝達した。除外期間は180日間。

国務省当局者は「日本は福島原発事故による困難にもかかわらず、2011年下半期にイランから輸入する原油量を15~22%減らした。これは画期的な規模で、他の国にも手本になるだろう」と話した。

2012/3/21 対イラン制裁法、日本は適用除外 

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米国は6月11日、韓国やインド、台湾、南ア、マレーシア、スリランカ、トルコの7か国・地域を除外した。

6月28日には中国とシンガポールも除外した。

米国としては、中国との外交関係を悪化させたくないとの思惑もあるとみられる。

但し、中国は以下の通り述べている。
アメリカの独自制裁に強く反対
中国は、イランに対するアメリカの独自制裁に従う必要はなく、イランと通常の貿易や石油取引を行う権利を持つ
ある国が国内法によって、他国に制裁を行使しようとしたり、他の国々に対して、これらの独自制裁に従うよう求めたりすることは、我々にとって容認できない
中国は経済の発展を必要としているため、イランからの石油の輸入を続けるだろう

なお、日本のイランからの原油輸入額は年間1兆円規模にのぼり、三菱東京UFJ銀行が決済の7~8割を担っている。
NY州地裁は5月2日、米海兵隊司令部爆破テロをめぐり、被害者への賠償金確保のため、三菱東京UFJ銀にイラン政府の資産調査と口座凍結を指示した。
これに対し同行は「凍結命令は日本国内の資産にも及び、日本の法律上問題がある可能性がある」と異議を訴え、米連邦地裁が5月25日までに米国外の口座凍結は無効との判断を下したことを受けて、日本企業が関連するイランとの決済取引を再開した。

 

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