BPは11月15日、2010年4月のルイジアナ州で掘削中の海洋掘削プラットフォームDeepwater Horizon rig での爆発事故に関して、司法省によるすべての刑事訴訟で和解したと発表した。合わせて米証券取引委員会(SEC)とも和解した。
水質汚染防止法に基づく民事訴訟や天然資源の損害賠償、過去の和解に含まれない個人による請求はこれに含まれない。
和解に伴う支払額の合計は4,525百万ドルで、米国史上最大額。
これまでの最高は2009年に医薬品大手Pfizer が、医薬品の違法な販売促進があったことを認め、罰金13億ドルと和解金10億ドル、合計23億ドルを払った件。
2009/9/4 米Pfizer、Health Care不正で政府に23億ドル支払い
1)刑事訴訟
11名死亡に関する11の違法行為とClean Water Act、渡り鳥条約、議会妨害に関する違法行為の合計14について有罪を認めた。
このうち13はnegative pressure test
に関連するもので、BPは既に、これが多くの関係者がからんだいくつもの原因によるものであると発表しているが、今回の和解はこの線に沿ったものである。残る1つは漏出量に関する議員への報告に関するもの。
BPは約40億ドルを5年分割で支払う。
このうち、罰金は1,256百万ドルで、これとは別に、National Fish & Wildlife Foundation
に2,394百万ドル、National Academy of Sciences に350百万ドルを支払う。
米国の法律では、有罪となった企業は連邦政府との取引から除外されることが有り得るが、今回の和解に関しては、どの省庁からもその動きはない。
2)SEC
事故当初の漏出量予想の報告が問題とされた。
これに関し、BPは罰金525百万ドルを3年分割で支払う。
今回の和解に伴う支払額の合計は4,525百万ドルで、支払は以下の通り行われる。(百万ドル)
SEC 罰金
NFWF
& NASTotal 2012 175 175 2013 175 506 420 1,101 2014 175 250 345 770 2015 150 380 530 2016 150 590 740 2017 200 1,009 1,209 Total 525 1,256 2,744 4,525
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BPではこの事故に関連して、2012年9月末時点で税引前で381億ドルの損失を計上しているが、これにはSECに対する525百万ドルを織り込んでいる。
今回の和解で、9月末時点の損失に約38.5億ドルが追加され、現時点の損失は
419.5億ドルとなる。
なお、BPはMacondo wellの共同所有者及びコントラクターと和解し、下記の金額を受け入れている。
三井石油開発 | 10億ドル | 2011/5/20 BPと三井石油開発、メキシコ湾原油流出事故損失負担で和解 |
Anadarko | 40億ドル | 2011/10/19 BP、メキシコ湾原油流出事故でAnadarko Petroleum と和解 |
Cameron | 2.5億ドル | |
Weatherford | 0.75億ドル |
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残る民事訴訟にはいろいろあるが、Clean Water Actによる連邦政府との民事訴訟が大きい。
同法では原油の流出量1バレルに対して、1,100ドルの罰金が決められているが、重大な過失による場合は、罰金は4,300ドルとなる。
米科学者の推計では、事故発生以来の流出量は300万~500万バレルとなる。
300万バレルとしても、過失無しの場合で罰金は33億ドル、重大な過失があるとされれば、129億ドルとなる。
(500万バレルの場合、55億ドルと215億ドル)
但し、回収努力などを考慮して減額される。
BPは重大な過失がなかったとして争っていくとしている。
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