米エネルギー省、LNG輸出に向けての報告書を発表

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米エネルギー省は12月5日、LNGに関する2つの報告書を発表した。

1つは同省によるAnnual Energy Outlook 2013 の速報版で、2040年までのエネルギーの予測である。
 
http://www.eia.gov/forecasts/aeo/er/pdf/0383er%282013%29.pdf

もう1つは、NERA Economic Consultingに委託したLNG輸出の影響に関する調査結果報告書である。
  
Macroeconomic Impacts of LNG Exports from the United States

1)Annual Energy Outlook 2013

   参考 
2012/1/26 米エネルギー省、米国のエネルギー見通しを発表

 概要は以下の通り。

 ・原油生産、特にTight Oil からの生産は急増する。

 ・自動車用ガソリン需要は、厳しい燃費基準、天然ガス使用により減少

 ・天然ガスはシェールガスの増で生産が国内需要を上回り、輸出を促進する。

2011~2035年の天然ガス生産は、シェールガス増産により前年の想定より8%高い。
2016年にはLNGのネット輸出国になる。
LNG輸出は2016年に日量60億立方フィートからスタート、2027年には45億立方フィートとなる。
カナダ、メキシコからのパイプラインによる輸入は前回予想より減り、2021年にはパイプラインによるネット輸出国になる。

 ・シェールガス増産とそれに伴う天然ガスの価格低下で米国の工業生産は拡大する。
   バルクケミカルでは2011~2025年で年率1.7%増、一次金属では2.8%増

  
再生可能燃料の使用は化石燃料使用よりも伸びが大きい。

 2)NERA レポート 

 ・ LNG輸出の米国経済への影響を、輸出の量、グローバルな市場状況、天然ガスコスト等々、いろいろな前提で検討した。
 ・ 全てのシナリオで、LNG輸出は輸出をしない場合と比べ、ネットで経済的メリットがある。
輸出により国内の天然ガス価格が上がっても、輸出メリットは国内の損失を上回る。
 ・ 米国がシェールガスを大量に安価に生産でき、世界の需要が急速に伸び、他の地域の供給に限度がある場合、米国の利益は最大になる。
 ・ 米国の生産が十分でなく、コストが高い場合や、他の地域から充分な供給がある場合は、輸出しないだけであり、国内に影響しない。
 ・ LNGを輸出すると国内天然ガス価格は上がるが、輸出価格の上昇には限度がある。


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米国は現在、LNG輸出を自由貿易協定(FTA)締結国向けに限定しており、Freeport LNGは日本などFTA未締結国向け輸出許可を申請中。

但し、米国の日本向け輸出許可の取得は簡単ではない。

DowのAndrew Liveris CEOは、貴重な資源をそのまま輸出するのではなく、加工して付加価値をつけて輸出すべきと主張している。

また、米国にとっては戦略資源であり、中国に輸出する考えはなく、中国への輸出を避けるためにはFTA締結国に限定するというのは良い案ということになる。

2012/2/24 米国からのLNG輸入問題 

米エネルギー省の報告はLNG輸出を後押しするものにはなるが、天然ガスは米国にとって戦略製品であり、政治がからむため、簡単ではない。

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日本・韓国・台湾等の極東地域ではLNG価格は輸入原油価格にリンクするフォーミュラで形成される。

関西電力は11月19日、BPシンガポールとの間で天然ガス価格を指標価格とするLNG購入契約基本合意書を締結したと発表した。大阪ガスと中部電力が7月31日に米国のFreeport LNG Development との間で、天然ガス液化加工契約に関する契約を締結したのに続く。

関電の契約では、液化や輸送のコストを加えても12ドル前後で済むとみられ、現在の原油価格ベースの約17ドルと比べ、大幅な値下がりとなる。     

2012/11/21 関西電力、BPシンガポールとLNG購入契約に関する基本合意書 


 


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