住友化学、エチレン国内生産から撤退

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住友化学は2月1日、国内石油化学事業の拠点の千葉工場の競争力強化のため、2015年9月(次の定修時期 )までに、エチレン製造設備(定修スキップ年能力415千トン)を停止すると発表した。

同社では、内需の減少や輸入品の増加などから厳しい事業環境が続いており、その基調は今後も大きく変化することはないと見込んでいる。

石油化学事業を強化・維持していくためには、製品の高付加価値化やコスト削減を一段と進めていく必要があるが、設備の老朽化(操業開始後 40年以上経過)や内需構造の変化を踏まえ、自社での生産を停止し、国内で最も新しく大型の設備である「京葉エチレン」(丸善石油化学、三井化学、住友化学の合弁会社)からの調達に一本化することが最善と判断した。

同社は1958年に日本で最初のエチレンプラントをスタートさせた2社のうちの1社であるが、日本のエチレン事業から離脱する。

2015年9月のエチレンまでに、千葉の不採算事業の縮小も進める。
千葉工場の従業員約1000人のうちの4分の1程度を他工場に配置転換する。

十倉社長は記者会見で、「エチレン生産は石油化学事業の中核。設備停止は寂しさもあるが、最善と判断した」、「誘導品の高付加価値化を進めるなどして千葉工場全体を再編し、100億円前後の合理化を目指す」と述べた。

住友化学の国内のエチレン能力はゼロとなるが、停止後のエチレンなどの基礎原料は、京葉エチレンからの調達量を増加させることにより、必要量を賄う。

丸善石油化学と三井化学も同日、三井化学が京葉エチレンから離脱し、住友化学が京葉エチレンからの引取枠を増やすことについて原則合意したと発表した。

三井化学と出光興産は両社の千葉のエチレン設備を千葉ケミカル製造有限責任事業組合に移管し、今後の内需の低下、輸出市況の低迷による低稼働を見込んで、稼働率を70%まで落としても高効率な安定運転を維持できる体制に改造をおこなっている。

丸善石化が運営する京葉エチレン は丸善石化55%、住友化学と三井化学が各22.5%出資し、能力は768千トン(定修スキップ年)で、住友化学と三井化学が25%ずつ引き取っている。
三井化学の出資と引取枠をそのまま住友化学が引き継ぐものと思われる。

付記
丸善石化社長は業界紙のインタビューで、出資比率は過半を維持する考えを示し、エチレンの引き取り枠については「当社分(50%)が減り、住友化学の引き取り枠(25%)が増えることで、より稼働率が改善する体制を目指すのが基本姿勢」との認識を示した。
住友化学は三井化学の引取枠に加え、丸善石化の引取枠もいくらか引き受ける模様。

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産構法後のバブル時に、京葉地区にある丸善石化、住友化学、三井石油化学はいずれもオレフィン不足の状況にあった。
このため、丸善石化は1991年に京葉エチレンを設立、住友と三井への各年間15万トンの供給を前提に、同社構内に60万トンのプラントを建設した。
プラントは2004年1月に完成したが、事業環境の悪化で営業運転開始は2004年12月となった。

当時は各社が異なる共販会社に属していたため、住友と三井の出資は共販解散後の1995年12月となった。

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3社と出光石化は従来からエチレン設備をパイプラインで相互に結ぶいわゆるコンビネーテッド・コンビナートであったが、京葉エチレンへの参加を契機に3社間でエチレンに加え、プロピレン、ベンゼン、分解重油などが配管で結ばれた。
このため、住友化学がエチレン設備を休止しても、誘導品の生産には支障は生じない。

ずっと昔、当時の住友化学の長谷川周重社長(故人)は「エチレンは水」とし、基礎原料のエチレンは各社が個別に生産するのではなく、(工業用水のように)共同で手当てし、誘導品で勝負すべきだと述べた。
何十年も経って、この言葉が実現されることとなる。

住友化学はシンガポールとサウジで石油化学を展開しており、サウジでは第二期計画を決めている。

2006/4/2   シンガポールの石油化学の歴史

2012/5/28    住友化学、サウジ・アラムコとの「ラービグ第2期計画」実施へ

十倉社長は2012年11月の記者会見で石油化学事業の今後の展開について以下のように述べている。

サウジのペトロ・ラービグ社が第2期計画段階に入る。

今後、バルク製品はサウジで展開し、シンガポールを高付加価値製品の供給拠点とする。
千葉工場はマザー工場として、生産技術・製品・ノウハウの発信拠点としても活用していきたい。

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現在の日本のエチレン能力は定修スキップ年ベースで800万トンあるが、2011年実績で生産は6,689千トン、内需は5,204千トンに過ぎない。
(2012年の生産実績は更に減少し、6,146千トンである。)

エチレン能力が300万トン程度余剰と見られている中で、これまで、三菱化学が鹿島1号機(390千トン)を停止することを決めているだけ。

水島の三菱化学と旭化成、千葉の出光興産と三井化学はそれぞれ、両社のエチレンを拠出して
有限責任事業組合(LLP)を設立したが、本来の目標であるはずのエチレン設備の廃棄には至っていない。

三菱化学・鹿島1号機と住友化学・千葉の停止後も能力は700万トンを超えており、まだまだ過剰である。

問題点  2012/12/25   2012年 回顧と展望

 

工場別能力一覧表 定修スキップ年   単位:千トン/年
会社名 工場 2001年 2011/12/末 変更後  

三菱化学

鹿島1

410 390 0 2014年停止

鹿島2

491 490 540  
四日市 270 - - 2001/1 停止
水島 496 494 494

西日本エチレン
  有限責任事業組合

 (2011/4)

(1,667) (1,374) (1,034)
旭化成 水島 504 504 504
三井化学 500 500 500  
千葉 612 612 612

千葉ケミカル製造
有限責任事業組合

 (2010/10)

(京葉) (192) (192) (  0)
(1,304) (1,304) (1,112)
出光興産 千葉 413 413 413
徳山 498 688 688  
(911) (1,101) (1,101)  

住友化学

千葉

415 415 0 2015年停止
(京葉) (192) (192) (384)  
(再計) (607) (607) (384)  

丸善石油化学

千葉

525 525 525  
(京葉) (384) (384) (384)
(再計) (909) (909) (909)

京葉エチレン

丸善石化

千葉

384 384 384  -α
住友化学 192 192 384
三井離脱
三井化学 192 192 0
合計 (768) (768) (768)  

東燃化学

川崎

515 540 540 Exxon 少数株主に
日本ユニカー100%化

JX日鉱日石エネルギー

川崎

443 443 443  

東ソー

四日市

527 527 527  

昭和電工

大分

635 691 691  

合計

8,022 8,000 7,245  



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