三菱ガス化学、高純度イソフタル酸事業の構造改革で特別損失

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三菱ガス化学は3月19日、不採算事業の構造改革で150億円の特別損失を計上すると発表した。

同社は2012年5月発表の中期計画で、不採算事業としてコエンザイムQ10、アンモニア、高純度イソフタル酸の3事業を挙げ、再構築を行うとしていた。

コエンザイムQ10については既に新潟工場の年産70トンの設備を2013年3月末に停止することを決めており、中間決算で8億円の特別損失を計上している。

アンモニアについては自社生産(新潟工場 13.2万トン)の停止の方向を明らかにしているが、まだ決定はしていない。

今回、高純度イソフタル酸について、円高基調の長期化、競合メーカーの増設、ポリエステル市場悪化に伴う需要減退などで厳しい事業環境が継続し、改善が見込めないとして、下記のとおり決めた。


製造会社 AGIC
(AG International Chemical)
下記処理後に整理 会社整理損
... 松山プラント(10万トン)
 三菱化学敷地内
2013年11月に生産停止、撤去、更地化 特別損失
水島プラント(12万トン) 三菱ガス化学に移管、
7万トンに規模縮小し、生産継続
減損
原料メタキシレン
水島プラント(22万トン)
三菱ガス化学に移管
2013年11月に15万トンに縮小
減損

高純度イソフタル酸の営業機能は2010年9月に三菱ガス化学に移している。


特別損失はコエンザイムQ10を含め150億円としているが、大部分が高純度イソフタル酸とみられる。

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イソフタル酸はメタキシレンを酸化して生産する。

(オルソキシレン原料でフタル酸、パラキシレン原料でテレフタル酸となる)

イソフタル酸の用途は、不飽和ポリエステル樹脂、アルキドまたはポリエステル系塗料樹脂、ポリエステル繊維 の変性、PETボトル用ポリエステル樹脂の変性、ポリアミドの変性、ドライラミネートフィルム用接着剤用樹脂の原料など。

AGICは1968年に同社(当時は三菱江戸川化学)とAmoco Chemical (現 BP) の50/50JVとして設立され、水島に12万トンのプラントを建設した。

2003年12月にBPが離脱し、三菱ガス化学 91.6%、双日8.4%となったが、2010年6月末以降、三菱ガス化学の100%子会社となっている。

BP(旧Amoco)はベルギーのGeelに125千トン、米国イリノイ州Joilet に200千トンのプラントを持っていたが、2004年に事業を米国のFlint Hills Resources に売却、BPの工場内にあるGeelのプラントについては製造受託を行っている。

高純度イソフタル酸の需要は急速に拡大し、水島工場はフル操業を続けたため、三菱ガス化学は増設を決定、三菱化学松山工場の休止していた高純度テレフタル酸のプラントを2006年末に取得し、10万トンのイソフタル酸プラントに改良、2008年5月に商業生産に入った。
 (生産は三菱化学に委託)

三菱ガス化学は同時に、高純度イソフタル酸やメタキシレンジアミンの原料のメタキシレンの増強を決め、2009年に水島工場に7万トン設備を新設、合計能力を22万トンとした。

市場の変化により、これら増設分が余剰となった。

 

現在、アジアでは次の各社がイソフタル酸を製造している。

1)韓国 KP Chemical(蔚山) 200千トン

KP Chemical はロッテグループの湖南石化の子会社であったが、2012年12月に湖南石化と合併し、Lotte Chemical となった。

2)台湾 東展興業 (Tuntex Petrochemical)  10千トン

Tuntexは台湾石化合成(Tasco Chemical)の子会社となった。

3)中国 北京燕山石化 36千トン

4)シンガポール Perstorp 70千トン

当初スイスの医薬会社 Lonza が建設したが、医薬に専念するため2007年にいPerstopに売却した。

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三菱ガス化学は新中期経営計画 MGC Will2014で、下記を中核事業としている。

天然ガス系化学品 メタノール 800万トン/年のグローバル生産体制を確立
芳香族化学品 MXDA/MXナイロン MXナイロンは世界でOnly One、海外増設検討
機能化学品 過酸化水素/エレクトロニクスケミカル 過酸化水素からの一貫生産で高品質製品
PC/シートフィルム 日本、タイ、中国(上海)の3拠点体制
特殊機能材 ビスマレイミド・トリアジン樹脂系製品
(半導体パッケージ基板材料)
樹脂は世界でOnly One
脱酸素剤エージレス 食品鮮度維持から医薬、電子部品などへ

 

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