田辺三菱製薬、カナダ医薬品会社Medicagoを子会社化

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田辺三菱製薬は7月12日、Philip Morrisと共同で、カナダの医薬品会社 Medicago Inc.の全株式を取得することで同社取締役会と合意したと発表した。

カナダ法上認められている友好的企業買収手法であるPlan of Arrangementにより現金で取得する。

両社は買収後のMedicagoを、田辺三菱60%、Philip Morris 40%のJVとして運営する。

Medicagoは植物由来のウイルス様粒子(VLP:Virus Like Particle)技術を用いた新規ワクチンの研究開発に特化したバイオ医薬品会社で、遺伝子操作によって植物の細胞内にVLPを生成させ、効率的に抽出・精製する独自技術を有している。

VLPは、ウイルスと同様の外部構造を持つ一方、遺伝子情報を持たないため、ワクチンとしての高い免疫獲得効果が期待されることに加え、体内でウイルスの増殖がなく安全性に優れる有望なワクチン技術として注目されている。

ワクチン(vaccine)は毒性を弱めた微生物やウイルスを使用、弱い病原体を注入することで体内に抗体を作り、感染症にかかりにくくする。
但し、弱いとはいえ病原体を接種するため、まれに体調が崩れることがある。

ウイルスはcapsid というたんぱく質でできた殻の中に、遺伝子(DNAやRNAなどの核酸)を収めている。
ウイルス様粒子(VLP)はcapsidの殻を持つため、生体はこれを認識して免疫反応を起こし、通常のウイルスに対するのと同様に抗体をつくって攻撃を仕掛ける。

しかし、capsidのなかに遺伝情報をもたないため、理論上感染の恐れがない安全なワクチン作成への応用が進められている。

ワクチンは受精卵などに接種し増殖させるが、Medicagoは植物の細胞内に遺伝子操作によってVLPを生成させ( Proficia technology) 、効率的に抽出・精製する独自技術で、VLPを安価に短期間で製造することを可能としている。

同社の臨床開発パイプラインには、季節性インフルエンザワクチン、パンデミックH5N1インフルエンザワクチンがあり、研究段階の品目として狂犬病ワクチン、さらには米国陸軍感染症研究所との協業でエボラ出血熱ワクチンの開発にも取り組んでいる。

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田辺三菱製薬は2011年9月にMedicago株式6%を取得した。

田辺三菱とMedicagoは2012年2月、VLP製造技術を用いた新規ワクチンの共同研究契約を締結した。
まず、同年春から「ロタウイルスVLPワクチン」の研究を開始した。

ロタウイルスによる感染は、乳幼児に胃腸炎を引き起こす。国内では年間約80万人が発症し、そのうち約8万人が重症化していると推計される。

両社は、既存の生ワクチン特有の課題解決が期待される「ロタウイルスVLPワクチン」の創製をめざし、共同で研究を進める。

田辺三菱はMedicagoのVLP技術を評価した結果、同技術は幅広い種類のワクチンを効率的に製造することが可能な有用性の高いものであり、同社買収により更なるパイプラインの強化を実現できるものと判断した。

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Philip Morrisは世界最大の煙草メーカー。

2008年10月にMedicago株式49.8%を取得した。(現在の持株は38.5%)

当時は投資目的としており、将来買い増しも売却を有り得るとしていた。

Phillips Morrisは2012年9月、Medicagoとライセンス契約を締結し、Medicagoのインフルエンザワクチンを中国で独占的に開発、製造、販売する権利を獲得した。

同社は世界のたばこ喫煙の40%前後を占める中国での活動を広げているが、たばこ葉から派生するインフルエンザワクチンの開発や、健康に対する悪影響のより少ないたばこの開発など、単なる煙草の販売以外の活動も行っており、その一環である。

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田辺三菱製薬とPhillips Morrisは、Medicagoの技術を成熟化させ、優れたワクチンをグローバルに供給できるワクチン会社に育てることで合意している。

田辺三菱が指名する議長と、両社から2名ずつ指名する4名の取締役で構成される取締役会が運営に当たる。取締役会を除くMedicagoの経営体制は維持される。




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