公取委、再販売価格行為規制の変更説を否定

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6月19日付日本経済新聞夕刊は「メーカーの価格指定容認 経産省・公取委、22年ぶり」と報じた。

経済産業省と公正取引委員会は、メーカーが小売店に販売価格を指定することを容認する検討に入った。
従来は価格競争を促すために価格指定を一律に禁止していたが、流通業界の交渉力向上を背景に欧米のように条件付きで認める。
販売競争による値崩れが緩和されれば、メーカーは収益改善で新商品開発を進めやすくなる一方、消費者の反発を招く恐れもある。

これを受け、公取委は6月26日の事務総長会見で、これを否定、諸外国の規制等の現状と公取委の考え方を詳細に説明した。

http://www.jftc.go.jp/houdou/teirei/h25/04_06/kaikenkiroku130626.html

1)米国の状況

最低再販売価格維持行為については、1911年のドクターマイルズ事件の連邦最高裁判所の判決以降、「当然違法の原則」が継続されてきたが、2007 年のリージン事件における連邦最高裁判所判決は、5対4の僅差であったが、1911 年のドクターマイルズ事件判決を破棄して、最低再販売価格維持行為は「合理の原則」で律すべきであると宣言した。

医薬品製造販売のDr.Miles社は400以上の卸売業者、25千の小売業者との間に最低販売価格を定める条項を含む契約を結び、最低販売価格を下回る価格で販売する取引先に対し、差止請求をした。

連邦最高裁は1911年に、「譲渡した財産に対する一般的な制限は通常無効である」というコモンローの判例を引用し、無効とした。
これは垂直的最低販売価格協定を「当然無効」とするものと解釈され、1世紀にわたりその後の判決を拘束してきた。

Leegin Creative Leather Productsは革製品とアクセサリーを製造販売しているが、1991年にBrightonブランドのベルトを発売した。
同社は1997年にBrighton価格設定および販売促進政策を定め、推奨価格を下回る価格で販売する小売業者に製品販売を拒否した。

同社の販売戦略の中心のサービスを顧客に提供できるだけのマージンを小売業者に与えること、値引きがブランドイメージと評判を害するというのが理由であった。

最高裁判決は、水平的価格協定では、ほとんどの場合に競争を制限し供給を減少させるので「当然違法」であるが、垂直的協定の場合は、状況によって競争促進効果をもつことも、競争阻害効果を持つこともあり、「当然違法」とするのに適さず、「合理の原則」により判断すべきであるとした。

詳細は http://www.umds.ac.jp/kiyou/r/21-2/r21-2obata.pdf

1911年以来保持されていた「当然違法」の原則は、そうした行為が行われただけで違反とされるというもので、反証なり正当化が許されないというものだが、これを「合理の原則」ということで、個別事案ごとに不当性を判断するという原則に立場を変えるということになったが、メーカーの価格指定が認められるようになったというものではない。

2)EU

EUでは、最低再販売価格の維持は原則禁止の考え方がとられている。

条件を満たせば一括適用免除の規定はあるが、購入者の販売価格を決定する能力に係る制限を目的とする垂直的協定は一括適用免除の対象ではない「ハードコア制限」と明示されている。

3)その他諸国

欧州の英国、ドイツ、フランス、カナダ、豪州、韓国らのいずれの国においても、メーカーによる小売業者に対する価格指定や、販売価格の拘束は法律等で禁止されている。

http://www.jftc.go.jp/houdou/teirei/h25/04_06/kaikenkiroku130626.files/130626siryou.pdf

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メーカーによる小売業者に対する価格指定、いわゆる再販売価格の拘束という行為については、欧米諸国において厳しく規制されており、公取委としてメーカーによる価格指定を容認する方向での見直しを行う考えはない。

メーカーによる小売業者の自由な価格設定を制限することを容認するということは、公正かつ自由な競争を阻害し、消費者の利益を損なうものであり、適当ではないと考えている 。

昭和50年の最高裁判決(上位メーカーの2社に比べて、小さなシェアしか有していない事業者の再販行為 )や、平成20年のハマナカ事件(文化としての手芸手編み業を維持し、手芸手編み業界全体を守るため、毛糸の値引き限度価格を決めた)の高裁判決でも、正当性は否定されている。



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