福島第一原発、新型浄化装置ALPS を9月中旬に稼働へ

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茂木経済産業相は8月26日、東京電力福島第1原子力発電所で汚染水漏れが起きた現場を視察、「今後は国が前面に出る」と表明し、5項目の対策を指示した。

 1)「多核種除去設備」(Advanced Liquid Processing System:ALPS) の9月中旬からの稼働
 2)
溶接で頑丈に固めたタンクへの更新
 3)近辺の排水弁を閉じるなどの管理強化

 4)
放射線量検査のための周辺の巡回を1日2回から4回に増加
 5) 汚染水の貯蔵リスクの洗い出し

ALPSは東芝が納入したもので、汚染水に含まれる63種類の放射性物質のうちトリチウムを除く62種類を基準値以下まで除去できるとして2012年秋の稼働を予定していたが、本格運転が遅れている。

9月中旬から稼働した場合、当初計画から1年遅れということとなる。

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東京電力は2012年1月23日、福島第一原発で発生する高濃度汚染水から、ほぼすべての種類の放射性物質を除去できる「多核種除去設備」(Advanced Liquid Processing System=ALPS)を2012年秋ごろまでに設置すると発表した。年間約18万トンを処理できる見通し。

トリチウムだけは、水の一部となって存在するため除去が難しい。

2012/1/27 福島第一原発、多核種除去設備を設置 

設備は2012年10月に完成したが、原子力規制委員会による安全審査や追加の安全対策に約5カ月間を要した。

ALPSで除去される放射性物質は、濃縮してコンパクトな円筒形容器(直径約1.6m、高さ約1.9m)で保管するが、容器は樹脂製で、落下試験で中身が漏れ出るケースもあった。

2013年3月25日、 原子力規制委員会が、試運転の実施に向けた原子炉施設保安規定の変更を認可、東電は試運転(ホット試験)を月内にも開始すると発表した。

放射性廃棄物保管容器の安全確保対策は完了しており、現場で最終調整を実施してから試運転に入る。
定格流量で約4カ月間連続運転し、性能を評価した後に本格稼働に移行する 予定であった。

一日250トンを処理できる能力を持つ3系統があり、このうち、1系統で3月下旬から試運転が行われ た。
設備や運用面で大きな問題がなかったことが5月24日に開かれた国の専門家会議に報告された。

これを受けて、原子力規制庁は、残る2つの系統についても、6月中旬以降、順次、試運転を行うことを認めた。

しかし6月15日に、4月から試験運転していたA系でタンクの腐食による水漏れトラブルが発生した。

東電は7月25日に、汚染水に含まれる塩化物イオンや次亜塩素酸の影響で、厚さ約9ミリのタンクの溶接部分の腐食が進み、微細な穴が開いたことを明らかにした。
対策として、タンクの内側にゴムを張ることとし、試運転中のB系統も8月初めに停止してタンクを補修、まだ試運転を始めていないC系統も対策を取ることとし、全ての系列が停止した。

9月中旬には1基目の運転再開を目指していた。

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トリチウムは、三重水素からなる水と同型の分子構造からなる液体の放射性物質で、半減期は約12年。
水の形態で存在するため、分離は困難である。

東電ではトリチウムの除去方法について調査しているが、現在のところ使える技術はないとしている。
   http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/roadmap/images/c130426_06-j.pdf

同社はまた、本年2月28日に「福島第一原発のトリチウムについて」という発表をし、安全だとの主張をしている。

トリチウムの特性は一般的に次の通りとしている。

・化学上の形態は、主に水として存在し、私たちの飲む水道水にも含まれています
・ろ過や脱塩、蒸留を行なっても普通の水素と分離することが難しい
・半減期は12.3年、食品用ラップでも防げる極めて弱いエネルギー(0.0186MeV)のベータ線しか出さない
・水として存在するので人体にも魚介類にも殆ど留まらず排出される
・セシウム-134、137に比べ、単位Bqあたりの被ばく線量(mSv)は約1,000分の1

これに対する批判は多い。一例 東電が出してきたトリチウム安全プロパガンダを検証

 

問題はALPSで処理した水をどうするかである。

ALPSがうまく稼働すればほぼすべての種類の放射性物質を除去出来るはずだが、トリチウムは処理水に混じり込んでいる。

トリチウムの排出規制値は、経産省告示では6万ベクレル/リットル であるが、福島第一原発の汚染水には130万ベクレル/リットル 以上が含まれ、ALPS処理水も同様である。

地下水の流入は1日400トンで、流入は止まらず、汚染水は増える一方で、タンク設置も限界に達しようとしているが、ALPSでほとんどの種類の放射性物質を除去できても、トリチウムが残る限り、この問題の解決策にはならない。

政府と東電は恐らく、ALPS処理水を海洋投棄することを考えていると思われる。

仮にALPS処理水のトリチウムが130万ベクレル/リットル (規制値の22倍)とすると、ALPS処理水を汚染されていない地下水と22対1の割合で混ぜ 、規制値以下にして放出するということである。


福島第一原発で高濃度の放射能汚染水がタンクから漏れた事件で、原子力規制委員会は国際原子力事象評価尺度の暫定評価を、これまでの「レベル1」(逸脱)から「レベル3」(重大な異常事象)に引き上げた。

国際的にも注目されている。
韓国原子力安全委員会は8月29日、福島第1原発の汚染水漏れの実態把握に向け、日本に専門家を駐在させる方針を明らかにした。

 
汚染水問題をめぐっては、福島県の地元漁協が試験操業の延期を決めるなど影響が広がっている。

薄めて規制値以下にして放出するということが、国民の理解を得られるであろうか。



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