米国原発会社、三菱重工業の蒸気発生器の欠陥で仲裁申立て

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カリフォルニア州でサンオノフレ原子力発電所(San Onofre Nuclear Generating Station)を運営するSouthern California Edison(SCE)と100%子会社のEdison Material Supply LLCは10月17日、三菱重工が設計・製作した同発電所の蒸気発生器の欠陥について、三菱重工を相手に国際商業会議所に仲裁を申し立てた。
2013年7月に三菱重工に対し紛争通知を提出したが、解決に至らなかったため、仲裁を申立てた。

仲裁結果は拘束力を持つ。

San Onofre原発はSCEが78.2%、San Diego Gas & Electric が20%、Riverside市が1.8%の比率で共同所有している。

仲裁申立ては、取替用蒸気発生器の欠陥についての三菱の責任を問うもので、この欠陥によって発電所は永久廃炉となり、数十億ドルの損害が生じてい るとし、契約の保証義務違反等に基づき、40億ドル以上の損害賠償を求めている。
取替用蒸気発生器の計画と実行に関する設計その他の関連文書を提出するよう求めていたが、三菱がこれを受け入れなかったとも主張している。

これに対し、三菱重工では、これは交渉の経緯、契約履行の事実を正確に反映していない不適切な内容であり、根拠のないものとし、今後の仲裁手続きを通じて、事実、根拠となる法令を正確に説明することによってSCEの主張および要求が不当であることを主張して いくとしている。三菱重工によると、契約上の同社の責任上限は約1億3,700万米ドルであり、代替燃料コストを含め間接損害は排除 されている。

更に、SCEの不適切な 原発再稼働や補修・取替に対する対応に伴い、三菱重工は損害を被っており、仲裁手続き内で反対請求をするとしている。

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San Onofre原発には現在、2号機と3号機があり、2号機は1983年、3号機は1984年にスタートした。

三菱重工業は2号機、3号機の取替用蒸気発生器を各2基 納入したが、2012年1月31日、3号機の蒸気発生器の1次側から2次側への配管から 微量の冷却水が漏れて緊急停止、微量の放射性物質が漏れた可能性もある。
定期点検中の2号機でも配管摩耗が見つかり、
Nuclear Regulatory Commission(NRC)はすべての稼働を禁じた。

漏えいの直接的原因は、U字管部における伝熱管同士の接触による摩耗と判断された。この摩耗現象は これまで発生していない。
三菱重工ではこの蒸気発生器はSCEの承認を得て製作されたとしている。

SCEは2012年10月に、2基のうち1基を7割の出力で稼働する計画をNRCに出したが、市民団体や一部議員が反対、NRCも公聴会を重ねた。

このためSCEは2013年6月、「再稼働できるかどうか、できるとしてもいつになるか不安定な状態がこれ以上続くのは、利用者や投資家にとってよくないとの結論に至った」と し、2号機、3号機を永久に停止し、廃炉処理に入ると発表した。

NRCは2013年9月、設計用コンピューターコードの使用方法に欠陥があったことを確認したと発表した。
三菱重工による熱水力現象の不正確な予測によって管が振動・消耗し、蒸気漏れを起こしたと指摘、コンピューターモデリングに関するコンサルタントらの懸念を厳密に評価しなかった点にも言及した。
(同じモデリングエラーは、他の原発4基の蒸気発生器の設計でも発見されたが、San Onofreで見られた現象は確認されていない。)

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米国では、シェールガスの生産増加の影響で天然ガス価格が低くとどまり、発電コストの競争力が低下したことや安全性や信頼性向上のために多額の費用がかかることなどから、問題を抱える古い原発を停止する例が相次いでいる。

更に申請していた新設計画の断念も3件ある。

2013/9/2 米・電力大手Entergy、Vermont Yankee原発の廃炉を決定

 



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