帝人、韓国SK Chemical とPPS樹脂JV設立、東レも韓国でPPS樹脂生産

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帝人は、韓国のSK Chemical とのJVのINITZ Co. Ltd が10月1日にSKの蔚山工場内でポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂の量産工場の建設を開始したと発表した。
SKの開発した塩素やナトリウム分を含まない革新的な新技術で年産1.2万トンのPPSを製造するもの。

ポリカーボネート樹脂・コンパウンドをグローバルに展開し、自動車やエレクトロニクス領域を重点分野とした樹脂のラインアップを図る帝人と、高いコンパウンド技術・経験を必要とするSKが、PPS樹脂で提携し、成長著しいアジア市場に焦点を当てたグローバル展開を図る。

本年2月に、帝人化成(2013/4/1 帝人が吸収)とSK Chemical がPPS樹脂に関する事業提携契約を締結し、PPS樹脂とそのコンパウンドの製造・販売を手掛ける合弁会社を設立することを合意した。これにより帝人はPPS樹脂事業に参入する。

新会社の概要は以下の通り。

社名   INITZ Co.,Ltd
所在地   韓国・蔚山市 (SK Chemical の蔚山工場内)
資本金   50億ウォン(出資比率:SKケミカル 66%、帝人 34%)
設立時期   2013年9月1日
事業内容   PPS樹脂(ブランド名 Ecotran)およびそのコンパウンドの開発・生産・販売
生産能力   年産1.2万トン(将来 2万トンへ)
稼働   2015年

2020年度までに約3,000億ウォン(約270億円)の売上達成、20%のシェア獲得、そして、世界トップクラスのPPS樹脂およびコンパウンドのメーカーへと成長していくことを目指す。

社名のINITZ はラテン語のInitium(始まり)とZenith(頂点)を合わせた造語で、「他社に無い最新技術でPPSで世界のトップ企業になるため躍進する」というコミットメントを表す。

SKでは世界のPPSの市場をコンパウンドベースで 94千トンとみている。
他のスーパーエンプラの需要が年率4%程度の伸びに止まるのに対し、PPSは 7~8%で伸びるとみている。

PPS樹脂は、耐熱性や耐薬品性、強度などに優れる樹脂材料で、主に自動車やエレクトロニクス市場において広く使用されており、電気自動車やハイブリッドカーのさらなる普及、新興国におけるエレクトロニクス市場の拡大などに伴い、さらなる需要拡大が見込まれている。

従来のPPS樹脂には、樹脂中に含まれる塩素やナトリウムが腐食や接触不良、環境への悪影響を招く懸念があり、副産物の処理が大変であった。

PPSは、その化学組成の約30 重量%が硫黄、約70重量% がベンゼンで構成される。
従来のPPS製造プロセスは、硫化ナトリウムとパラジクロルベンゼンを溶媒(N-メチルピロリドンなど)中で反応させる。

この方法では重合中に溶媒に不溶な塩化ナトリウムが副生するため、連続製造が困難で、水洗工程が必要であり、溶媒回収や廃水処理工程の負荷が大きいといった問題がある。

更に、製品PPS中に微量な塩素や塩化ナトリウムが残留、金型の腐食を招いたり、金属部品の接触不良などの機能低下の原因となることや、燃焼した場合に環境に悪影響を及ぼす恐れがあることが課題となっていた。

SKが8年かけて開発した新製法では、2よう化ベンゼンと硫黄コンパウンドを原料とし、溶媒を使わないもので、製品に塩素が残留せず、また溶媒回収、副産物処理の設備が不要となる。

世界初の溶媒を使わない製法で、100以上の特許を取得している。

 

SKではこれらの点が需要家に高く評価されると見ている。

 

ーーー

 

東レは10月7日、韓国の100%子会社の東レ尖端素材(Toray Advanced Materials Korea)でPPSを新設すると発表した。東レとして初の海外でのPPS樹脂生産拠点となる。

能力:年産8,600トン(東海工場と合わせ 27,600トンに)
稼動:2016年4月
原料:硫化水素ナトリウム、パラジクロロベンゼンも自製
コンパウンド:年産3,300トン(2015年10月先行)

PPS樹脂は、韓国内消費分以外は中国を中心とした東レグループの各コンパウンド拠点へ供給し、グローバルな事業拡大を一層進める。

 

なお同社では、PPS樹脂の需要拡大に対応するため、次期増設の計画検討にも着手している。

 

同社の生産体制は以下の通り。(年産トン)


   PPS樹脂 コンパウンド
既存 今回決定 既存 今回決定
東海工場 19,000      
名古屋事業場     8,300  
東レ尖端素材(韓国)   8,600   3,300
Toray Plastics (深圳)     10,000  
Toray Plastics(蘇州)     2,000  
小計 19,000 8,600 20,300 3,300
合計 27,600 23,600

 


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日本のPPSの現在の状況は以下の通り。
 
は今回発表の計画
  立地 現状  
DIC EP 鹿島工場 19,000トン  
千葉工場
東レ 東海工場 19,000トン  
韓国 8,600トン  
クレハ 錦工場 10,000トン コンパウンドはポリプラスチックが担当
Wilmington, N.C 15,000トン Fortron Industries LLC
(JV of Ticona and Kureha )
東ソー 四日市工場    2,700トン
 (cpd    4,600トン) 
当初 東ソー・サスティール
  (東ソー
70%、保土ヶ谷化学30%)
1992/6 東
ソー100%、1996吸収合併
出光ライオンコンポジット
(出光興産 50%、ライオン50%)
千葉工場 10,000トン 2013/10/1 出光興産から移管 
INITZ(帝人/SK Chemical) 韓国 12,000トン  


2011/10/14 DIC、PPS事業を増強


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