Dow Chemical、塩素事業からの撤退を発表

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Dow Chemicalは12月2日、塩素事業からの撤退を発表した。

今後売却する事業は、計11地区の約40プラントで、従業員は2000名、製品の売上高は50億ドルに達する。
今後、2年以内に売却を完了させる。

具体的には下記が処分対象となる。

米国Gulf Coastのクロル・アルカリとクロル・ビニル製造設備 Plaquemine, LA & Freeport, TX
Dow Mitsui Chlor-Alkali JV (Freeport, TX)
持分
上記の付随設備 塩水その他(Freeport, TX &Plaquemine, LA)
エネルギー関連(Plaquemine, LA.)
グローバルな有機塩素(GCO) 製造設備

Carbon Tetrachloride, Chloroacetyl Chloride,
Chloroform, Methyl Chloride, Methylene Chloride,
Monochloroacetic Acid, Perchloroethylene,
Trichloroethylene, Vinylidene Chloride

Freeport, TX & Plaquemine, LA
Stade, Germany
グローバルなエポキシ事業と製造設備 Freeport, TX & Roberta, GA
Rheinmuenster, Germany
Pisticci, Italy
Baltringen & Stade, Germany
亀尾市(Gumi), 韓国
張家港市, 中国
Guaruja, Brazil

(
愛知県衣浦のエポキシ工場は停止済み)

以上の事業と設備の売却に加え、DowはFreeport, Texas の約 80万トンのクロルアルカリ設備を閉鎖する。
その分は2014年初めに稼動するダウ・三井物産JVの新設備(生産能力は苛性ソーダ約88万トン、塩素約80万トン)から供給する。

注)Dow Mitsui Chlor-Alkali JV:

三井物産とDowは2010年7月、両社が折半出資でテキサス州フリーポートで電解事業を行う合弁事業の設立に関する合弁契約書を締結、12月にJVを設立した。三井物産は約1.4億ドルを出資。

社名:Dow-Mitsui Chlor-Alkali LLC
能力:苛性ソーダ約88万トン、塩素約80万トン
操業:Dow
操業開始:2014年初め
製品:折半引取り
    三井物産は塩素はDowに委託してEDCにし、アジアで販売、
    苛性ソーダはDowを通じて米国で販売

  2010/7/2 三井物産とダウ、合弁でテキサスで電解事業 


同社は現在、「上流」の基礎素材から、景気変動に左右されず、利益率の高い「下流」の製品と技術に軸足を移している。

これまでに100億ドルもの事業を処理してきた。
主なものは下記の通りで、2009年頃の売却は、Rohm & Haas買収資金を確保する目的。

 2009年 Morton Salt
 2009年 
Total Group との合弁のオランダの石油精製 Total Raffinaderij Nederland NV のダウ持分(45%)
 2010年 Styron

 2011年 PP事業
 2013年 PPライセンス・触媒事業

   他方で戦略的成長分野に大規模投資を行った。
    
     2009年 Rohm & Haas 買収


     
シェール革命に対応したGulf Coastでの投資サウジでのSadara Chemical、その他


今回の対象となる塩素関連事業は過去数十年にわたり貢献してきたが、ダウが撤退しようとしている市場である。

同社の塩素チェーンは今後、以下の通りとなる。


Liveris CEOは、「下流のポリウレタンや農薬の原料用の塩素は保持する。コモディティ部分を売却する」としている。


これまでに下記の経緯があった。

2004年  テキサス工場のEDCプラント1系列を2005年末までに停止し、VCMの生産も縮小すると発表した。

それまで Dow はShintechが使用するVCM全量を特別な価格フォーミュラで供給しており、共存共栄の関係にあった。

2004年12月、信越化学はLouisiana 州 Plaquemine に塩素 45万トン、VCM 75万トン、PVC 60万トンの一貫生産を行う計画を発表した。
更に2007年5月には、テキサス州で電解工場(塩素50万トン)とVCM工場(825千トン)を建設する許可申請を同州環境庁に提出した。

これにより、DowとShintechの関係が薄らいだとの見方が出た。

しかし、Dowは2008年1月にテキサス州フリーポートでクロルアルカリ設備("Chlorine 7 ")の建設を開始すると発表、同時にShintechとのVCMの長期供給契約の更新を発表した。

Liveris 会長兼CEOは、「塩素はダウの機能製品事業の重要な原料で、ポリウレタン、エポキシ、特殊化学品、特殊プラスチック、農業化学品の将来の成長の鍵を担っている」と述べ、「この供給契約は新投資の操業を保証するもので、JVの形はとっていないものの、Shintechはクロルアルカリ事業での戦略的パートナーである」とした。
Shintechはテキサスの電解・VCM計画を無期延期とした。

2008/1/31  ダウ、テキサスでのクロルアルカリ設備新設、シンテックとのVCM供給契約更新を発表


2010年に入り、Dowと信越の姿勢に再び変化が見られた。

Dowは2009年2月に、2011年のスタートを目指すとしていた"Chlorine 7 "を経済情勢の悪化で延期すると発表した。
DowのLiveris CEOは2010年2 月
に、「信越とのパートナーシップは2011年には明らかに終了する」とし、「クロルアルカリは資本集約的事業で、ダウの大規模設備は有利であり、PVC業界とのパートナーシップも探求する。塩素でもAsset Light戦略を行う積もりだ」と述べた。

信越化学は2010年4月、Shintechがルイジアナ州PlaquemineでVCMの第2工場の建設工事を開始したと発表した。

2010/4/6  信越化学、米国でVCM増強 

三井物産とDowは2010年7月1日、両社が折半出資でテキサス州フリーポートで電解事業を行う合弁事業の設立に関する合弁契約書を締結した。

  2010/7/2 三井物産とダウ、合弁でテキサスで電解事業 


なお、
Dowは2006年にFort Saskatchewan (カナダ Alberta 州)の chlor-alkali と EDC プラントを停止している。


 

12月2日付けのWall Street Journal は、Dow Chemical が社名から Chemical を外す検討を行っていると報じた。
Liveris CEO はインタビューで、同社の事業はいまや"Chemicals"(化学品) にではなく、"Chemistry"(化学反応)にリンクしていると述べた。



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