住友ゴム、Goodyear との提携解消へ

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住友ゴム工業は2月13日、以下の発表を行った。

住友ゴムは、1999年以来、The Goodyear Tire & Rubberとの間でのアライアンス契約にもとづき、欧州及び北米でのタイヤ製造・販売の合弁会社ならびに日本でのタイヤ販売の合弁会社の運営、タイヤ技術の交換促進、及び購買のための合弁会社の運営を進めて参りました 。

この度Goodyear社より当社とのアライアンス契約及び合弁事業の解消の申入れ、及び国際商業会議所に対する仲裁申立てがあり、同会議所から正式な通知を受領しました。 

当社としての対応を慎重に検討した結果、当該申入れ及び申立てを受け、真摯に対応することを決定しました。

しかし、翌14日、下記の追加発表を行った。

Goodyearが米国時間2月13日に届け出た年次報告書に国際商業会議所に対して仲裁を申し立てたと記載されていますが、申立ての内容については、Goodyear 社と当社に見解の相違があり、当社としては極めて遺憾であり、到底看過することはできません。

GoodyearがSECに提出した Form 10-K には以下の記載がある。

当社は住友ゴムとのグローバルな提携関係にある。
当社は最近、住友ゴムが競争制限行為(anticompetitive conduct)を行ったと知った。
当社としては、これはグローバルな提携を解消する理由になると考え、1月10日に仲裁を申し立てた。

住友ゴムとのグローバル提携契約には、住友ゴム側に離脱権(Exit rithts)がある。

住友ゴム側が極めて遺憾とするのは、住友ゴムに独禁法違反があるとした点と思われる。
現在のところ、
そのようなことは報道されておらず、もし事実でないなら、上記の発表は大問題である。

現在、米国では日本企業を中心とする大規模な自動車部品カルテルが摘発されている。

司法省は2014年2月13日、
ブリヂストンが自動車の防振ゴム部品の価格カルテルで有罪を認め、罰金425百万ドルの支払いに同意したと発表した。

これまで26社(うち日本企業は24社)が有罪を認め、罰金支払いに同意した。
ほかに各社の役員等28名(うち、日本法人の米人1名、スウェーデン法人の日本人1名、他は日本企業の日本人)が有罪を認めるか、起訴されている。

最新の一覧表 http://www.knak.jp/blog/2013-10-1.htm#cartel

本カルテルは順次摘発されているが、住友ゴムは今までのところは、これらに含まれていない。

住友ゴムが欧米に自前の工場を持たないなど、提携を前提としてきた両社の生産販売網は再構築を迫られる見通し。
提携解消の時期や、合弁工場、海外でのダンロップの販売権の扱いを巡る条件などを詰めるためとみられ、仲裁には数年かかる可能性もある。

ーーー

住友ゴムの親会社は住友電気工業で、現在 26.81%を保有している。

住友ゴムは当初、英国のDunlop Rubber の日本工場としてスタートした。
1963年に住友ゴムとなり、1999年にGoodyearと全世界のタイヤ事業で提携、2003年にオーツタイヤと合併。
 この結果、ダンロップ、グッドイヤーとファルケンの3ブランドを持つ。

  英国
Dunlop Rubber
日本
住友ゴム工業
米国
Goodyear Tire & Rubber
1888 John Boyd Dunlop が空気入りタイヤを発明    
1889 Dunlop Rubber 設立    
1898     設立
1909   Dunlop Rubber の神戸工場  
1917   法人化、ダンロップ護謨(極東)  
1960   住友グループが30%出資
(住友電工、住友商事)
 
1961   長銀出資(日本側50%)  
1963   日本側56%、住友ゴム工業に改称  
1980代前半 経営悪化    
1983 住友ゴム持株40%全てを売却 住友ゴム 日本側100%に  
1984 英独仏6工場を住友ゴムに売却 Dunlopの英独仏6工場を買収  
1985 BTRがDunlop 買収
 タイヤ部門は住友ゴムに売却
(他の部門も順次売却)
Dunlop (タイヤ部門 )買収
 
 
1986 Dunlop USAを住友ゴムに売却 Dunlop USA 買収  
1999

欧州、北米、日本でのタイヤ事業のアライアンス

北米・欧州にGoodyear 主導のJV、日本に住友ゴム主導のJV設立
(住友ゴムは欧・米のDunlop社を現物出資し、25%保有)

2003   オーツタイヤと合併
 (ファルケンブランド)
 


1999年のGoodyearとの提携について、当時、
「住友ゴム救済のための提携」と噂された。

住友ゴムは1980年代前半に欧米で工場を買収し、その設備更新などに資金をつぎ込んだため、資金収支が悪化しており、メーンバンクの日本長期信用銀行が1998年に国有化されたこともあって、同社の安定性が問題視されていた。

住友ゴムは欧米での主導権をGoodyearに渡した。
見返りとして、欧米での合弁会社2社設立で、製造設備などを現物出資して、25%出資としたが、資産価値と出資分との差額の9億3600万ドルを
Goodyearから受け取り、負債返済に当てた。

Goodyearとの提携関係は以下の通り。
なお、Goodyearは住友ゴムの発行済み株式の1.3%を保有している。

   

出資比率

 
Goodyear 住友電工
米国事業  Goodyear Dunlop Tires North America 75% 25% Goodyear、Dunlop brand 保有
欧州事業 Goodyear Dunlop Tires Europe 75% 25% Goodyear、Dunlop brand 保有
日本事業 日本グッドイヤー 25% 75% 交換用のGoodyear brand タイヤ販売
ダンロップグッドイヤータイヤ 25% 75% 日本で製造する車にGoodyear、Dunlop タイヤを販売
タイヤ技術 SRI Global Technology LLC  51% 49%  
購買 Goodyear-SRI Global Purchasing 80% 20%  


不思議なことに、住友電工の有価証券報告書では上記の75%が70%に、25%が30%になっている。

Goodyearとの契約により、北米と欧州市場はGoodyear の市場であり、住友ゴムはグッドイヤーやダンロップのブランドでの販売は出来ない。
このため、住友ゴムは両市場ではファルケンブランドで販売している。

オフザロードタイヤ(OTR)事業は対象外で、Goodyearは2012年6月、共同出資会社である東洋ゴムと三菱商事から株式を買収し、日本ジャイアントタイヤを完全子会社化した。


世界のタイヤの現在のシェアは以下の通り。

 

 

 

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