リチウムで米国企業と中国企業が合弁

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米国のInorganic Specialty Chemical メーカーのRockwood Holdings は2013年12月2日、中国のバッテリーメーカーの成都天齊實業集團( Chengdu Tianqi Industry Group)とJVを設立すると発表した。

2012年に両社が獲得争いをし、2013年に成都天齊が買収した豪州のリチウムメーカーのTalison LithiumをJVにするもので、Rockwoodが196百万ドル(出資比率49%)、成都天齊が204百万ドル(51%) 出資する。

RockwoodはJVに670百万ドルを利率8%で融資する。
Rockwood は
成都天齊に対し、リチウム事業の子会社Rockwood Lithium に20~30%出資する3年間のオプションを与える。

JVはこの資金を買収のために借りた借入金返済に使う。

Rockwoodはこれにより、自社の米国とチリのリチウム源に加え、大きなリチウム源を確保するとともに、経営資源をコア事業に集中するという戦略を実現できることとなる。

Rockwoodはリチウムと表面処理をコア事業として、2013年9月に、非コア事業とする添加剤事業と二酸化チタン事業を現金11億ドルと年金債務(225百万ドル)でHuntsmanに売却する契約を締結した。2013年12月に米国の独禁法審査を終え、他の手続きの完了待ちとなっている。

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Talison Lithium(トロントで上場)は西豪州のPerth近郊のGreenbushesでリチウムの採掘・生産を行うとともに、チリのAtacama Region IIIでリチウム開発を行っている。

Greenbushesでは25年以上、リチウムの生産をしており、現在では年間35万トン以上の製品を世界市場に供給している。

チリの Atacama Region III では、7つの塩湖(Salar) で開発中で、このうち5つは30kmの範囲内にあり、チリのパートナーとともに100%の権益を有している。

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Rockwood の現在のコア事業のリチウム と表面処理事業は元はドイツのChemetall の事業で、1982年にドイツのMetallgesellschaft(現在のMG Technologies)の子会社として創設された。

その後、ChemetallはMG Technologiesの子会社のDynamit Nobelの部門となった。

2004年8月にMG Technologies Chemetall を含むDynamit Nobelの4部門をRockwoodに売却、Rockwoodは2012年にChemetall を分割し、リチウム事業をRockwood Lithiumとし、表面処理事業をChemetall とした。

買収したDynamit Nobel の他の3部門は、
 Sachtleben:酸化チタン
   CeramTec:セラミック
   DNES Custom Synthesis:医薬中間体

チリと米国ネバダ州でリチウムを採掘・生産し、ドイツのLangelsheim でリチウムコンパウンド、リチウムメタルの生産をしている。

  立地 製品
チリ Antofagasta (Atacama塩湖)
    上の地図参照
リチウムカーボネート、リチウムクロライド、
カリ、Bischofite(塩化マグネシウム)
米国 Silver Peak, Nevada リチウムカーボネート、リチウムクロライド


同社では、リチウムカーボネートを2010年の33千トンから2020年に50千トン以上に、水酸化リチウムを5千トンから15千トンに拡大する計画を持っている。

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成都天齊は2003年設立の世界最大のリチウム化学品メーカーで、他に農業用機械などを扱っている。
Talisonから輸入したリチウムからリチウムカーボネートその他を製造し、世界中で販売している。

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過去の経緯は以下の通り。

 2012年8月

Rockwood Holdings はTalison Lithium の全株式を1株 6.50カナダドル(総額732百万米ドル)で買収する契約を締結したと発表した。
Talison Lithium の取締役会は株主に対し、売却に応じるようリコメンドした。

Rockwoodではこれにより、世界のリチウム市場で、自社の20%のシェアにTalisonの30%のシェアを加え、世界市場の半分を抑えることを目指した。

 これに対し、Talisonの主需要家である中国の成都天齊は危機感を抱いた。

 2012年11月

成都天齊は子会社Windfield Holdingsが既にTalisonの株式の約15%を取得していること、残りの全株式をRockwood よりも高い価格で買収する意図を明らかにした。

 2012年12月

成都天齊は、子会社Windfield HoldingsがTalison の株式の残り全てを1株 7.50カナダドル(Rockwood よりも1株 1カナダドル高い価格)で買収することで合意したと発表した。

TalisonはRockwood との間で、8月に結んだ契約を解約した。Talisonは700万カナダドルの違約金を支払った。

これに対し、Rockwoodでは成都天齊が資金手当てを出来ないこともありうるとし、買収のために手当てした資金を他に流用せず、依然として買収を狙うとした。

 2013年3月

豪州政府は成都天齊によるTalison 買収を承認した。

成都天齊では、政府系投資ファンドのChina Investment Corporationの子会社の Leader Investmentから3億カナダドルの融資契約を締結、 Credit Suisseから2億ドル、中国工商銀行から1億2千万ドル、ADMキャピタル子会社から50百万ドルの融資を受けた。

3月26日、成都天齊はTalison Lithiumを買収した。

その後、諦めていないRockwoodと成都天齊が裏で交渉を続けていたと思われる。

成都天齊は リチウム製品のメーカーであり、リチウム採掘に乗り出す計画はなかったが、Rockwoodにリチウムソースを抑えられるのを恐れて非常に高値でTalison を買収し、多額の借り入れを行った。

今回の取引で、Rockwoodからの資金で借入金の返済が出来るだけでなく、リチウムの世界的なメーカーであるRockwoodと組むことで原料リチウムのソースを拡大し、安定的に安価なリチウムの供給を受けることができることとなる。

 

南米でのリチウム開発については下記参照 
 
  2009/5/5  韓国鉱物資源公社、ボリビアでリチウム鉱開発へ

  2012/6/27  韓国がボリビアでのリチウム事業権獲得 

  2012/9/28    豊田通商、アルゼンチンでリチウム開発に参加



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