米国の量的緩和縮小とその影響

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米連邦準備制度理事会(FRB)は1月29日に開いた会合で、債券買い入れ規模を減らし、量的緩和の縮小を継続する方針を決めた。
アメリカ経済は消費や設備投資が一段と改善し、景気は「上向いた」という見方を示した。

FRBは2012年9月以来、毎月850億ドルの債券買い入れを続けていたが、2013年6月にバーナンキFRB議長が、経済指標次第としつつも 「年内に証券購入ペースを緩めるのが適切」 と述べた。

2013年11月の会合では縮小見送りを決めたが、12月の会合では2014年1月の買い入れ額を100億ドル減らすことを決めた。

2月の債券買い入れ額は、更に100億ドル減らして650億ドルとする。

今回の量的緩和の縮小にあたり、FRBは実体経済改善に従って緩和策を縮小していく姿勢を強調しており、市場では、今後も毎回の会合で100億ドル程度の縮小を決め、年後半には買い入れを終えるとの見通しを強めた。

これを受け、新興国経済の先行き懸念が、世界の金融市場を揺さぶっている。
日経平均株価が一時500円以上値下がりしたほか、アジアの主要株価指数も軒並み下落した。
(FRBは新興国通貨の下落については言及していない。)

米国の量的緩和の縮小により投資資金が引き揚げられるとの観測が強まったことから、特に「Fragile Five」と呼ばれる新興国(トルコ、ブラジル、インド、インドネシア 、南アフリカ)が通貨安となり、これら諸国は通貨安が輸入物価を上昇させ、インフレを悪化させることを恐れ、相次いで利上げした。

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米国はサブプライム・ローン問題から波及した金融危機に対応するため、2008年11月に量的緩和を行い、1兆7250億ドルが供給された。(QE1:Quantitative Easing 1)

2010年11月には、米国の景気回復ペースの鈍化を受けて、第2弾の量的緩和(6000億ドル)を行った。(QE2)

2012年9月には、雇用を増やして景気を回復させるため、第3弾の量的緩和を行った。(QE3)

市場から住宅ローン担保証券(MBS) を月額400億ドルを買い取るとともに、月額450億ドルの国債の借り換え(operation twist)を実施した。

2013年1月からはこれを拡大し月額400億ドルの住宅ローン担保証券(MBS)に加え、国債を月額450億ドル買い取ることとした。

  QE1
2008/11~2010/6
QE2
2010/11~2011/6
QE3(月額)
2012/9~2012/12 2013/1~ 2014/1 2014/2
米国債 3000億ドル 6000億ドル   450億ドル 400億ドル 350億ドル
米国債
(
operation twist)
    (450億ドル)      
住宅ローン担保証券
(MBS)
1兆2500億ドル   400億ドル 400億ドル 350億ドル 300億ドル
その他 1750億ドル          
 合計 1兆7250億ドル
6000億ドル
400億ドル
850億ドル
750億ドル
650億ドル
 * operation twist:買い上げている国債のうち、短期の国債を一部処分し、長期の国債に乗り換え
                                (追加買い上げはゼロ)
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10年前にGoldman Sachs は新興経済成長国として Brazil、Russia、India、China をBRICs と名付けた。

2013年にMorgan Stanley は米ドルの影響を最も受ける通貨として、Brazil のreal、Indonesia のrupiah、南アのrand、インドのrupee、トルコのlira を"Fragile Five"と名付けた。

各国の通貨は昨年末以来、下落している。

各国は相次いで利上げを行った。

Brazil 1月15日、政策金利を10.00%から10.5%に引き上げ。
South Africa 1月29日、0.5%の利上げを決定。
主要政策金利であるレポ金利を5.50%とすることを決めた。
India 1月28日、政策金利のレポ金利 を従来の7.75%から8%に引き上げた。
Turk 1月28日、通貨防衛と物価上昇の抑制を目的に政策金利の大幅な引き上げを決めた。
翌日物貸出金利を4.25%上げ、12%とする。

Indonesia 2013年11月12日、政策金利のBIレートを0.25%ポイント引き上げ、7.50%とした。
貸出ファシリティー金利も0.25%ポイント引き上げ、7.50%とした。
翌日物預金ファシリティー金利(FASBI)は0.25%ポイント引き上げ、5.75%とした。
 

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