日本ペイント、Wuthelam Groupとの戦略的提携の基本合意

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日本ペイントは2月3日、シンガポール塗料会社のWuthelam Groupを引受先とする約1000億円の第三者割当増資を実施すると発表した。

Wuthelam は日本ペイントの筆頭株主で14.5%を出資するが、増資により出資比率は30.3%に高まる。

更に、Wuthelam は、第三者割当後の2年間に限り、市場での購入で出資比率を39.0%まで増やす意向で、日本ペイントもこれを認めている。 (日本ペイントによる2月5日の追加発表)

Wuthelam Groupはシンガポール国籍のGoh Cheng Liangが設立した企業グループで、現在は息子のGoh Hup Jin(吴学人) の一族が所有している。

Goh Cheng Liangは1955年にシンガポールで開業し、日本ペイントのディストリビューターとなった。

日本ペイントとWuthelamグループは、1962年にJVのNippon Paint Southeast Asia グループ(NIPSEAグループ)をつくり、その後、アジア各国で自動車や建築用塗料などを中心に、日本ペイントが技術、Wuthelamがマーケティングを担当して合弁事業を展開してきた。

日本ペイントは調達した資金で中国やマレーシア、シンガポールなどのWuthelam とのJVの出資比率を51%に引き上げ、連結子会社にする。
これにより、日本ペイントの連結売上高は年間5千億円弱となり、塗料メーカーとしては世界10位から4位に浮上する。

ーーー

Wuthelam Groupは2013年1月21日、日本ペイントへの出資比率を約45%まで高めて傘下に収めるため、720億円を投じて8千万株を取得する提案を日本ペイントの取締役会に提出した。

しかし、日本ペイントとの協議の結果、Wuthelamは3月12日付で日本ペイントへのTOB提案を取り下げた。
両社は、Wuthelamの日本ペイントに対する持株比率の引き上げと、両社のJVの日本ペイントによるマジョリティ化について協議を開始した。

2013/1/23 シンガポール塗料大手、日本ペイントに買収提案 


今回の基本合意はそれに基づくものである。

提携強化により、アジア地域の合弁会社の更なる企業価値向上と両グループの協業関係の深化、及びそれらを通じた 日本ペイントの企業価値の向上を目指す。

1)第三者割当増資

株数:60,000,000 株
発行価額:1023億円(手取り概算1012億円)
割当先: Nipsea International Limited (Wuthelam の100%子会社)

  募集前 募集後
1位株主 First Industries Corp.
 (Goh Hup Jinが代表)
14.51% Nipsea International  18.44%
2位株主     First Industries Corp.  11.84%
(Wuthelam Group)   (14.51%)   (30.28%)


Wuthelam Group は日本ペイント株式を日本ペイントの
競合他社に対して譲渡 しない。
Wuthelam Group が他社に譲渡する場合は、日本ペイントは先買権を有する。

2)日本ペイントによるJVの出資比率引き上げ

当初、日本ペイントはシンガポール、タイ、韓国、中国などのJVでは40%、その他ではそれ以下の出資比率であったが、2006年5月に、両社は合弁事業の更なる企業価値向上と両社の協業関係をより強固にするため、合弁会社の出資比率を見直す協議を行うことで基本合意に達した。

基本合意では、合弁会社における日本ペイントの持株比率を51%以上とするよう協議を行うと決め、逆にWuthelamが日本ペイントの株式を最大10%まで取得することが決められた。(当時の持株は5%弱)

その後、タイ、韓国、台湾のJVの日本ペイント出資比率が51%に引き上げられた。

しかし、2008年12月
Wuthelamが日本ペイントへの出資を14.51%に引き上げたことが判明した。
基本合意での「最大10%」を超えたため、この合意を一旦白紙に戻し、改めて協議することとなった。

その後に設立されたJVのうち統括会社は50/50。
 
今回当初の基本合意に従い、下記のJVの出資比率を51%に引き上げる。
対価は1033億円。
 
  JV名 出資比率
香港
中国
Nippon Paint (H.K.)
 100%子会社 Nippon Paint China Holdings
  その100%子会社 Langfang Nippon Paint
                                          Nippon Paint (Tianjin)
40%→51%
Nippon Paint (China) 40%→51%
Guangzhou Nippon Paint
Nippon Paint (Chengdu)
マレーシア Paint Marketing Co. (M) 25%→51%
Nippon Paint (Malaysia)
シンガポール Nippon Paint (Singapore) 40%→51%
Nipsea Technologies 50%→51%

   


日本ペイントとWuthelam Groupのアジアの連携の全貌は以下の通り。

 
既に 51%保有
 
今回 51%に
 
      日本ペイント  
本部 シンガポール Nipsea Management 50% アジア地域統括
Nipsea Technologies 50%→51% 研究開発
一般

 

 

シンガポール Nippon Paint (Singapore) 40%→51%  
スリランカ   (60%) Nippon Paint Lanka   Silicon Coatings 40%
マレーシア Paint Marketing Co. (M) 25%→51%  
Nippon Paint (Malaysia) 25%→51%  
バングラデシュ   (90%) Nippon Paint (Bangladesh)   現地10%
タイ Nippon Paint (Thailand) 40%→51%  
Nippon Paint
Decorative Coatings (Thailand)
51% 上記から分離
韓国 Nipsea Chemical 40%→51%  
台湾 Asia Industries 34.8%→51%  
香港 Nippon Paint (H.K.) 40%→51% 中国統括&塗料販売
中国   (100%) Nippon Paint China Holdings (40%→51%)  
  (100%) Langfang Nippon Paint    
(100%) Nippon Paint (Tianjin) 廊坊立邦立東塗料&
天津立邦聖連達粉末塗料を統合
Nippon Paint (China) 40%→51%  
Guangzhou Nippon Paint 40%→51%  
Nippon Paint (Chengdu) 40%→51%  
Guang Li Chemicals (Shanghai) 38.65%  
Nipsea Chemical (Shanghai) 51%  
フィリピン Nippon Paint Philippine 51%  
インド Nippon Paint (India) 50%  
パキスタン Nippon Paint (Pakistan)    
船舶 日本 日本ペイントマリン 60% Nipsea Pte.,Ltd 40%
シンガポール   Nippon Paint Marine (Singapore)    
マレーシア Nippon Paint Marine (Malaysia)
韓国 Nippon Paint Marine (Korea)
台湾 Nippon Paint Marine (Taiwan)
中国 Nippon Paint Marine (China)
Nippon Paint Marine (Zhangjiagang)
Nippon Paint Marine (H.K.)

 

 

 

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