2013年の貿易統計(速報、通関ベース)によるLNGの輸入金額の推移は以下の通り で、原発停止前の2010年と比較すると、2013年のLNGの輸入金額は3兆6080億円増加している。前年比では1兆0545億円の増加である。
これについて、原発停止の影響がいくらかが問題となっている。
2010 2011 2012 2013 増加分
2010年比 2012年比 輸入金額(兆円) 3.4480 4.7730 6.0015 7.0560 3.6080 1.0545 数量(百万トン) 70.008 78.532 87.314 87.491 17.483 0.177 為替レート(円/ドル) 88.09 79.97 79.55 96.91 8.82 17.36 以下は上記から計算 輸入価格(円/kg) 49.25 60.78 68.73 80.65 31.40 11.91 輸入価格(セント/kg) 55.91 76.00 86.40 83.22 27.31 -3.19 同上 原油価格スライド 55.91 68.77 12.86 WTI原油価格平均($/bbl) 79.59 94.81 94.19 98.05
上の数値をもとに分析すると以下の通りとなる。
2010年比 2012年比 数量差 8611億円 121億円 ドル建て価格差
(原油価格スライドの場合)
(原油価格アップを超える分)2兆3155億円
(1兆0903億円)
(1兆2252億円)-2700億円 円レート差 4314億円 1兆3123億円 合計 3兆6080億円 1兆0545億円 うち原発停止の影響 2兆0863億円
ドル建て価格差と円レート差は下記により計算。
3.11による原発停止前の2010年と比較すると、2013年のLNGの輸入金額は3兆6080億円増加している。
輸入数量は17.5百万トン増加しているが、この影響は8611億円で、ドル建ての価格アップ分が2兆3155億円、円安の影響が4314億円である。
ドル建て価格は55.91セント/kgから83.22セント/kgと、149% 高騰している。
日本のLNGの購入契約はほとんどが原油価格スライドとされる。この間、WTI原油価格は年平均で79.59ドル/バレルから98.05ドル/バレルに123%アップ
であり、LNG価格はこれ以上にアップしている。これはスポット買いで足元を見られたものが主と思われる。
原油価格アップ以上にLNG価格がアップしている分(1兆2252億円)と数量増によるもの(8611億円)の合計2兆0863億円が原発停止による影響といえる。
2010年平均の円レートは88.09円/ドルと、かなり高い水準であった(2013年平均は96.91円/ドル) ため、2010年比でのレート差の影響は小さい。
2012年と2013年では1兆0545億円の増加となっているが、数量はほとんど変わらず、ドル価格は下がっており、増加のほとんどは円安によるものである。
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