Bayer、米 Merckの大衆薬事業を買収

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Bayer は5月6日、米 Merck & Co. のConsumer Care事業を142億ドルで買収することで合意した と発表した。
これにより、Bayerは一般用医薬品メーカーとして米 Johnson & Johnson (J&J)に次ぐ世界2位の地位を維持する。

同時にBayer と Merck は肺動脈高血圧症の治療薬の可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤のグローバルな共同開発・共同販売を行うことも明らかにした。

関係筋によると、MerckのConsumer Care事業に対しては、米 Procter & Gamble  、独 Boehringer Ingelheim、スイスのNovartis 、仏のSanofi なども関心を示していた。
 
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MerckのConsumer care business は市販薬(OCT)の世界最大のメーカーの1社で、北米で強い地位を占める。2013年の売上の70%が米国であった。

主な製品は、各種の風邪(Cold、Allergy、Sinus、Flu)、皮膚(日焼けを含む)、足ケア、胃腸などの薬で、allergyのClaritin™、coldのAfrin™、足ケアのDr. Scholl's™やスキンケアのCoppertone™、胃腸薬のMiraLAX™などが有名。

米国のMerck & Co. は1891年にドイツのMerck KGaA の一族が設立したが、第一次世界大戦で敵国企業の子会社として米国政府に接収され、1917年に独立した。接収後は両社は別会社である。

米国
Merckは米国、カナダ以外の地域では「MSD」(Merck Sharp & Dohme)の名称を使用、逆にドイツのMerck KGaAは米国とカナダでは「EMD」の社名を使用している。

米国のSchering-Plough も同様で、元ドイツSchering AGの米国子会社であった。
  
2006/3/23 2つのMerck社

Merck & Co. は2009年3月にSchering-Plough と合併することで合意した。
   2009/3/11 
米Merck、米Schering-Plough を買収

Dr. Scholl's™やCoppertone™など上記の製品はSchering-Plough の製品である。


Bayerはグローバルに戦略的買収を行ってLife Sciences事業を強化しようとしており、OTC分野でも拡大を図っている。

2013年5月にドイツのハーブ薬メーカーSteigerwald Arzneimittelwerk を買収する契約を締結した。

2014年2月には、雲南省昆明市の市販薬 (OTC)と漢方薬(TCM) のメーカーの滇虹集団(Dihon Pharmaceutical Group)を買収すると発表した。

2014/3/4 Bayer、中国の漢方薬メーカーを買収

同社はこれまでの買収に続く今回の買収により、OTC分野で世界2位の地位を確保し、多分野・多地域で同社の事業を著しく高めるとしている。

一般用医薬品市場ではJohnson & Johnson (J&J)が首位で、Bayerは2位である。

本年4月22日にNovartisが大規模な事業再編を発表、GlaxoSmithKline (GSK) から抗がん剤製品群を買収するとともに、大衆薬事業はGSKの事業と統合してGSK主体のJVとすることとなり、このJVがこの分野でBayerを抜くこととなった。
   2014/4/25 Novartis、GSKとの取引等で事業再編

しかし、今回の買収で、Bayerは世界2位の地位を確保する。

Bayerの一般用医薬品事業は鎮痛剤のAspirinや皮膚薬のBepanthenなどを手がけ、世界各地に販路を持つ。

今回の買収により、5つの重要なOTCの分野のうちの2分野、スキンケアと胃腸薬でグローバルなリーダーの地位を得ることとなり、各種風邪薬でNo.2となる。栄養剤ではNo.2、鎮痛薬ではNo.3 の地位を維持する。

2013年ベースでの買収事業の売上高は22億ドルで、合算売上高は74億ドルに達する。

買収により、2017年までに販売費や製造コスト面で2億ドルのコストシナジーを期待している。
また、Merckの製品(現在、米国内販売が7割)をBayerの世界的なインフラを使って海外で販売することで4億ドルの販売シナジーを期待する。

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両社は別途、可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤のグローバルな共同開発・共同販売を行う。

肺動脈高血圧症の治療薬であるが、この薬をフルに活用するには更なる開発努力が必要であり、両社がこれに協力する。

現在、Adempas™が外科的治療不適応又は外科的治療後に残存・再発した慢性血栓塞栓性肺高血圧症の治療薬として承認を得ているが(日本でも2014年1月に製造販売承認を取得)、更に適用範囲を広げる。
加えて、現在開発の初期段階にあるものも共同開発に含める。

両社は開発のコストと利益を均等にシェアし、開発及び販売戦略を共有する。

Adempas™の販売はBayerが米大陸、Merckがそれ以外を担当し、それ以外についてはBayerは米大陸以外、Merckは米大陸で商業化を主導するが、互いに相手のテリトリーでも協力するオプションを持つ。

MerckはBayerに一時金として10億ドルを支払い、更に販売目標を達成した場合は 最高11億ドルのマイルストン支払いを行う。

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Merckは医療用医薬品に経営資源を絞り込み、開発主導の一流バイオファーマ企業になるというゴールを目指す。

Merck expects after-tax proceeds from the sale of MCC to be between $8 and $9 billion. The company will use the after-tax proceeds -- consistent with its capital allocation strategy -- to resource those areas within its business that represent the highest potential growth opportunities, such as MK-3475, to augment the company's pipeline with external assets that can create value and to continue to provide an industry-leading return of capital to shareholders. - See more at: http://www.mercknewsroom.com/news-release/consumer-care-news/merck-announces-sale-consumer-care-business-bayer-ag-142-billion#sthash.4F0Y8bch.dpuf
Merck expects after-tax proceeds from the sale of MCC to be between $8 and $9 billion. The company will use the after-tax proceeds -- consistent with its capital allocation strategy -- to resource those areas within its business that represent the highest potential growth opportunities, such as MK-3475, to augment the company's pipeline with external assets that can create value and to continue to provide an industry-leading return of capital to shareholders. - See more at: http://www.mercknewsroom.com/news-release/consumer-care-news/merck-announces-sale-consumer-care-business-bayer-ag-142-billion#sthash.4F0Y8bch.dpuf

OTC事業の売却で税引き後で80~90億ドルの利益を見込んでいる。

 

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