欧州委員会、Apple等の法人税を調査

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欧州委員会は6月11日、Apple、Starbucks、Fiat Finance and Trade 3社の法人税に関して、それぞれアイルランド、オランダ、ルクセンブルクの各国税務当局が下した判断について、本格的な調査を開始したことを明らかにした。

企業を対象とした調査ではなく、各国の税制が問題ないかどうかの調査である。

欧州委員会では、これら企業の税金が大幅減額になった可能性があるため、これら企業に対して適用する税制の優遇措置がEUで定めている「国の補助」の規則に違反していないか調べる。
EUでは加盟国政府や自治体などによる国内企業に対する補助・支援は、域内の他国企業との公正な競争を阻害してはならないとする規則がある。

欧州委は税務当局と個別企業との間の優遇措置などを規定した「税務取り決め」自体は問題ではないが、一部の企業に特別な利益を与えることにつながっていると懸念している。

欧州委のJoaquín Almunia 競争政策委員は「大手の多国籍企業は応分の納税をすることは非常に重要だ」と指摘、Algirdas Šemeta税制担当委員も「応分の納税は単一市場や財政の持続性、企業の公平な競争に欠かせない」と訴えた。

最終的にEUの規則に違反していると判断すれば、加盟国に対する制度の是正に加え、当該企業に追加納税を求める可能性もある。

これに対し、Appleはアイルランド当局から特別な措置を受けてはいないと表明、アイルランド政府も公的支援ルールに抵触していないと確信しているとコメントした。

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Appleに関しては、米上院の昨年の調査で、税務上の居住実績がないアイルランド法人を通じて何百億ドルの利益について課税を回避していたことが明らかになっている。

アップルは特許権の使用料などの名目で、アイルランドの子会社に世界各国で稼いだ利益の多くを移転。米本土の法人税率は35%だが、アイルランドは12.5%と低い。
さらにTax Havenとして有名なカリブ海の英領バージン諸島の子会社に利益を移し、納税を大幅に抑えている。
2011年には世界全体で342億ドルの利益を挙げたが、支払った税は10%未満の33億ドルにとどまる。

これにより、英国やフランスで税金の支払いがほぼ全面的に回避された。


New York Times (2012/4/28) はAppleなどの節税手口を 'Double Irish With a Dutch Sandwich' (アイルランド2社とオランダ社のサンドイッチ)と呼び、下図により説明している。

技術の権利

米本社とTax Havenの子会社との間で Cost-sharing agreementを結び、安い価格で権利をTax Haven子会社に移す。

米国需要家向け販売

米国での販売利益は通常35%の法人税が課されるが、多額のロイヤリティをアイルランド会社に払い、米国の税金を減らす。
アイルランド会社はロイヤリティ収益をバージン諸島の親会社に送ることでアイルランドでは免税となる。
バージン諸島はTax Havenのため、課税はない。

海外需要家向け販売

販売利益は第二のアイルランド会社で課税される筈だが、アイルランドとオランダの課税協定で、オランダ会社を通すことでアイルランドでは課税されない。

オランダ会社は販売利益を第一のアイルランド会社に送り、第一のアイルランド会社はこれをバージン諸島の親会社に送ることでアイルランドでは免税となる。
バージン諸島はTax Havenのため、課税はない。

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今回は問題となっていないが、Googleも同様である。

海外事業については権利(無形固定資産)をアイルランド子会社(バミューダで管理するためアイルランドでは非居住者となり法人税免除)に安い対価で移し、アイルランド会社が事業を行うが、ライセンス収入はオランダ子会社経由でアイルランドに移すことで源泉税を免れている。

Jeffrey Sachsの"The Price of Civilization"によれば、2006年に米国税庁(IRS) がGoogleと秘密協定を結び、この扱いを認めたという。

Starbucksは 英国で積極展開しているにもかかわらず、ほとんど納税していないとして批判が高まった。
同社は2012年の英議会調査に対し、オランダで非常に低い税率を享受する待遇を受けたと公表している。

Starbucksの欧州子会社のロイヤリティは欧州本部のアムステルダムのStarbucks Coffeeに支払われるが、これについてStarbucksはオランダ政府との間の交渉で税務上特別扱いすることになっている。

2012/12/14    スターバックスの移転価格税制問題

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2013年6月に北アイルランドで開かれたG8サミットは、首脳宣言に多国籍企業の税逃れを防ぐための国際協調などを盛り込んだ。

経済協力開発機構(OECD)と連携し、「多国籍企業がどこで利益を生み、税を払っているか」を把握する仕組み作りを進めることで合意した。

 


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