王子製紙、年内に中国で紙パルプの一貫生産を開始

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王子ホールディングスは5月28日、年内に江蘇省南通市の製紙工場で紙パルプの一貫生産を始めると発表した。
当初の計画発表から11年になる。

2010年末に高級紙生産設備第1期40万トンが生産を開始、2013年稼働を目指し、原料のクラフトパルプ自製設備を建設中であったが、パルプの排水を約100kmのパイプラインで黄海に排出する計画が住民の反対運動を受け、南通市がキャンセルしたため、中断していた。

その間、輸入パルプで高級紙(第1期40万トン)を生産しており、毎年、数十億円規模の赤字が続いた。

今回、パルプ排水を黄海に排出する代わりに、南通工場の隣に中水回用設備(膜処理で排水を浄化して再利用する設備)を設置、排水手段変更に伴う許認可を取得した。


排水処理当初案 黄海に排出   今回の排水処理
 


クラフトパルプ設備は6月上旬に試運転を開始し、年内に営業運転を開始する。

なお、当初計画ではパルプの能力は70万トンで、2015年に高級紙第2期40万トンを稼動させ、最終的に120万トンにするとしていた。

今回、パルプ能力は50万トンで、うち24万トンは当面 外販する。
製品については「市場動向を見ながら柔軟に見直し」としており、「印刷用紙の増設はもう打ち止め」としている。
板紙への転換が最有力とされる。

印刷用紙などの洋紙は工場増設が相次ぎ、中国では供給量が需要を上回る状況が続いている。
代わってアジア全域で段ボール向け板紙の需要が高まっている。


南通プロジェクトの総投資額は約1400億円となる。

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これまでの経緯は以下の通り。

王子製紙は2003年6月、単独出資で南通市に年産120万トンの上質紙、塗工紙を建設すると発表した。

しかし、その後の中国の投資ガイドラインの変更で合弁方式を義務付けられ、合弁相手との交渉に手間取り、2007年10月にようやく合弁会社の設立認可を取得した。

2007/10/31 王子製紙の中国工場、発表から年半でようやく着工

2010年末に高級紙生産設備第1期40万トンが生産を開始 、2013年稼働を目指し、原料のクラフトパルプ自製設備の建設を開始した。
高級紙の第2期
は2015年の稼働を計画 、
最終的には年産120万トンの生産規模を目指すとした。

2012年7月、江蘇省南通市にある王子製紙の工場から出る排水が環境汚染を引き起こす恐れがあるとして、住民1万人以上が抗議デモを始めた。

南通市政府が経済技術開発区に王子製紙などを誘致する際、排水を南通市が建設する約100kmのパイプラインで黄海に排出すると約束していた。
完成後、王子製紙 の工場から1日15万トンが排水される予定だった。

住民の反対を受け、南通市は「パイプラインの建設計画を永遠に取り消す」と発表した。

2012/8/1 王子製紙の排水に抗議、中国江蘇省でデモ 




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