東レ、ボーイング777X向けに炭素繊維"トレカ®"プリプレグ供給

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東レは11月17日、The Boeing Companyとの間で、新型機「777X」向けに炭素繊維"トレカ®"プリプレグを供給することに基本合意したと発表した。

「777X」は、現行「777」の後継機として2020年に初号機を納入する計画で開発を進める大型双発旅客機。
ボーイングはワシントン州のエバレット工場敷地内に炭素繊維複合材料製主翼を製造する専用工場を建設中で、その主翼材料に"トレカ®"プリプレグの採用が決定した。

年内合意を目指し、2005年11月締結の「787」を対象とした包括供給契約の延長交渉を行うが、下記を折り込む。
 ・「777X」を供給対象に含める。
 ・契約期間をさらに10年以上延長する。
 ・設計、材料、部品生産に跨がる広範な領域で両社が共同開発を進める。

東レは2006年4月にBoeing のB787向け炭素繊維複合材料について、2021年までの16年間(5年間のオプションを含む)に亘る長期供給に関する包括的正式契約を締結した。

東レの高強度炭素繊維"トレカ"は、1970年代半ばに初めてボーイング社の二次構造材用として採用され、1992年からは高靭性樹脂を組み合わせた"トレカ"プリプレグが、B777の尾翼やフロアビームなど重要な一次構造材として独占的に採用されてきた。

東レは2004年5月に、B787の主翼と尾翼を対象として、炭素繊維UD (一方向) プリプレグの長期供給基本契約を締結したが、それに加え、胴体向けに炭素繊維クロス(織物)プリプレグの追加受注を獲得するとともに、供給条件の詳細を含めた包括的な正式契約を両社間で締結した。

東レは本契約期間内のプリプレグ受注額を、B787が月産10機生産されるという前提で、総額60億ドルに達すると見通しており、今後さらに、これを上回る追加受注も期待されるとしていた。

今後の「787」、「777X」両プログラム向けの契約期間における東レグループの供給総額は、1兆円を超える見込み。

「787」については、生産機数を現行の月産10機から、2016年に月産12機、更に2019年末までには月産14機まで引き上げることが計画されており、また今後は「787」ファミリーの派生型(モデルミックス)の導入により複合材料需要増も見込まれる。 

東レでは、"トレカ®"プリプレグを、日本の愛媛工場と石川工場、ワシントン州タコマ市のToray Composites (America), Inc.で生産している。

Toray Composites (America), Inc.では現在、「787」月産12機への増産に対応するため、2016年1月稼働開始予定で"トレカ®"プリプレグ生産系列の増設工事を進めている。

また、今回の受注拡大を受け、2014年2月に米国サウスカロライナ州スパータンバーク郡に取得した事業用地での原糸(プリカーサ)から炭素繊維"トレカ®"および"トレカ®"プリプレグまでの一貫生産設備の新設計画を近く具体化する。

石川工場では、2009年7月に稼働したプリプレグの第1系列生産設備で、ボーイング787型機向け及びスポーツ、産業用途向けに "トレカ®"プリプレグを生産しているが、第2系列生産設備が11月10日より稼働開始した。

今回の第2系列は、IT機器の筐体や自動車の外板(ボンネットやルーフ等)など、品質の均一さや外観の良さが求められる産業用途高付加価値プリプレグの需要増に対応するための能力増強であり、あわせて増産効果によるコスト競争力強化も狙いとしてい る。
787型機向けのプリプレグ生産にも対応できる仕様となっており、今後の需要動向にあわせた柔軟な用途対応を可能にしている。

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東レは炭素繊維そのものは、日本・米国・フランス・韓国の世界4極で生産しているが、2012年3月に、4拠点に総額約450億円を投じて合計年産能力6,000トンの生産設備を導入し、2014年から2015年にかけて順次生産を開始すると発表した。

全体の生産能力は2015年3月に年産27,100トンまで拡大し、世界各地の需要家に高品質・高品位の当社炭素繊維を安定的に供給する体制が拡充される。

  2012/3 2013/1 2015/3

日本

東レ(愛媛工場) 7,300 +1,000 +6,000

フランス

SOFICAR 5,200

アメリカ

Toray Carbon Fibers (America) 5.400
韓国 Toray Advanced Materials Korea (亀尾第3工場)   2,200

グループ計

17,900 21,100 27,100

これとは別に、東レは2013年9月、米国のラージトウ炭素繊維メーカーZoltek Companies, Inc.を総額約584百万$で買収することに合意したと発表した。

風力発電関連用途や自動車構造体用途等のより汎用性の高い産業分野での事業展開が可能となり、新たな成長の機会を得る。

2013/10/2 東レ、米国炭素繊維メーカーを買収 

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東レは11月19日、トヨタ自動車の燃料電池車「ミライ」に同社の炭素繊維が採用されたと発表した。

1分で成形できる炭素繊維樹脂シートをトヨタ自動車と共同開発し、ミライのフロア部品に採用された。

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東レは2014年2月17日に、中期経営課題 "プロジェクトAP-G 2016" を発表した。

課題・改革の一環として、「先端材料事業の拡大」、「世界ナンバーOne事業の拡大・強化」、および「海外事業の戦略的拡大」を推進しており、炭素繊維複合材料事業は、その中核となる戦略的拡大事業と位置づけている。

航空宇宙分野での飛躍的な事業拡大を計画しており、今回のボーイング社との契約延長はその計画に沿ったもので、今後とも、ボーイング社の増産計画に合わせて材料安定供給体制を拡充し、事業構造の高度化と収益拡大を進める。

2013年度(2014/3月期)の売上高の内訳は下記の通り。

  売上高 比率 前年比伸び率
航空宇宙 572億円 50% 88%
スポーツ 142億円 13% 16%
一般産業 419億円 37% 20%
合計 1,133億円 100% 46%

 



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