富士フイルム、PET検査用の放射性医薬品市場に参入

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富士フイルムは11月4日、脳疾患や心臓疾患、腫瘍などの各種疾病の機能診断に役立つPET(陽電子放射断層撮影)検査用の放射性医薬品市場に参入すると発表した。


富士フイルムRI ファーマが約60億円を投資し、川崎と茨木に研究開発拠点を新設する。

  京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区 関西イノベーション国際戦略総合特区
研究開発拠点 神奈川県川崎市 大阪府茨木市
延床面積 約2,000m2 約2,000m2


富士フイルムRI ファーマは治療用放射性医薬品メーカーで、旧称 第一ラジオアイソトープ研究所。
1968年に第一製薬とMallinckrodt とのJVで設立、1988年に第一製薬の100%子会社となり、2006年10月に富士フィルムが買収した。

事業内容は、放射性・非放射性医薬品、および、放射性標識化合物の研究、開発、製造、販売、輸出、輸入。

PET検査は、18F(フッ素)などポジトロ ン(陽電子)を放出する核種を化合物に標識した放射性医薬品をヒトに投与して断層撮影する検査で、各種疾病の機能診断に役立つ。

アルツハイマー型認知症の診断精度向上には、放射性医薬品を用いたPET検査でアミロイドβを検出する手法が有効であると期待されている。

アルツハイマー型認知症の原因の一つとして、アミロイドβ というタンパク質の脳内への異常な蓄積が考えられており、この蓄積はアルツハイマー型認知症が発症する15~20年前から始まっていると解明されつつあ る。

これまで、富士フイルムRI ファーマでは、放射性医薬品分野ではSPECT検査領域で事業を展開してきたが、今後、アミロイドβ検出用薬剤の研究開発に取り組み、PET検査領域にも事業拡大を図 る。

SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)検査は、単一光子を放出する核種を化合物に標識した放射性医薬品をヒトに投与して断層撮影する検査で、PET検査同様、各種疾病の機能診断に役立 つ。

富士フイルムRI ファーマは10月14日、大手製薬企業のEli Lilly and Companyとの間で、同社のPET検査用放射性医薬品「florbetapir(18F)注射液)」の日本国内における共同開発契約を締結した。

「florbetapir」は脳内アミロイドβプラークを可視化できる放射性医薬品で 、すでに、米国、EU諸国およびスイスにて承認され、アルツハイマー型認知症が疑われる認知機能障害を有する患者に対して、診断的評価を補助する目的で使用されてい る。

今後、「florbetapir」の国内承認取得を目指し、また「florbetapir」を用いたPET検査による認知障害の診断精度向上に取り組んでい く。

なお、この共同開発契約とは別に、日本イーライリリーは、サイクロトロンを有する医療機関内にて「florbetapir(18F)注射液」の合成を目的に使用する放射性医薬品合成設備「NEPTIS® plug-01」の医療機器製造販売承認を2014年7月に取得している。

現在、富士フイルムグループでは、アルツハイマー型認知症の治療薬「T- 817MA」の開発を行っており、これは、アルツハイマー型認知症に対して高い治療効果が見込める革新的な薬と期待されている。

今後、治療薬「T-817MA」と診断薬「florbetapir」の開発を進め、アルツハイマー型認知症の診断、治療に貢献 するとともに、アルツハイマー型認知症の予防手法の開発にもつなげ、アルツハイマー型認知症の予防から診断・治療まで幅広くカバーすることを目指す。

ーーー

富士フイルムは、アンメットメディカルニーズが高い「がん」「アルツハイマー」および「感染症」を重点領域ととらえ、研究開発を積極的に推進して事業展開を図るとともに、革新的な医薬品の提供を通じて世界の医療の発展に貢献してい くとしている。

同社は11月11日、2014~2016年度の中期経営計画「VISION2016」を発表した。

6つの重点事業分野(ヘルスケア、高機能材料、ドキュメント、グラフィックシステム、光学デバイス、デジタルイメージング)の中でも、高い成長が期待できる、ヘルスケア、高機能材料、ドキュメントに経営資源の集中投入を行い、市場ニーズにあった良質でコストパフォーマンスの高い製品を提供し、市場を拡大していく。

ヘルスケア分野では大幅な成長を実現するとしており、2016年度売上目標を 4,400億円とした。

・メディカルシステム
  成長領域である、医療IT、内視鏡、超音波診断装置で、年率10%の成長を実現。
  X線画像診断装置やX線フィルムは、コストダウンを図るとともに、新興国での売上増を図る。
  事業全体で、営業利益率10%を達成する。

・医薬品
  バイオ医薬品受託製造事業が牽引し、売上を拡大。
  新薬開発を加速。

・ライフサイエンス
  同社の技術を生かし、差別化した機能性製品のラインアップを充実させ、売上増加。

 

参考:

  2006/11/2 富士フイルム、超音波画像診断分野に参入  
  2008/2/19 富士フイルム、富山化学を買収、総合ヘルスケア企業を目指す  
  2010/2/22 富士フイルム 医薬品開発・販売に本格参入  
  2010/9/3 富士フイルム、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングと資本提携
    2014年10月、新株予約権の全てを年内に行使することを決定、
    持株比率は50.33%になり、連結子会社となる。
 
  2011/2/28 富士フイルム、米メルクからバイオ医薬事業買収  
  2011/8/2 富士フィルム、ジェネリック医薬品のDr. Reddy's Laboratories と業務提携
  2011/12/21 富士フイルム 超音波診断装置の大手 SonoSite, Inc.の買収合意
  2014/8/11 富士フイルムのインフル エンザ治験薬、エボラ出血熱治療に有望か
  2014/8/13 WHO、エボラ出血熱治療で未承認薬の使用容認
  2014/9/27 富士フィルム、エボラ出血熱患者に「アビガン」提供
  2014/10/31 富士フィルム、ワクチン受託製造市場へ参入



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