トクヤマ、マレーシアの多結晶シリコン計画で特別損失計上

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トクヤマは10月31日、マレーシアの子会社 Tokuyama Malaysia Sdn. Bhd. の多結晶シリコン工場・第一期プラント(年産:6,200トン)の製造設備に関して、860億27百万円の特別損失を計上したと発表した。

設備に問題があり、出荷が事実上不可能とし、減損損失 748億20百万円と事業計画の見直しに伴う関連費用 112億7百万円の合計 860億27百万円を計上した。

同社は2013年3月期にも、市況が急激に悪化し、将来のキャッシュフローが見込めないとして、徳山製造所の多結晶シリコンと併産品の乾式シリカ設備を全額減損処理(275億円)し、合わせて、多結晶シリコン用原材料について20億円の評価損を計上している。

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トクヤマは徳山製造所に半導体用途を中心に年産 8,200トンの多結晶シリコン設備を持っていたが、2009年8月に太陽電池用途の増産対応とリスク分担の面から、マレーシアのサラワク州のサマラジュ工業団地に総工費約800億円をかけてに太陽電池向け多結晶シリコンの年産 6,000トンの大型プラント建設を決めた。

2011年初めに着工し、2013年9月の営業運転開始を目指した。

2008/12/5 トクヤマ、マレーシアに多結晶シリコン第二製造拠点

同社は2012年11月に、これを主として半導体向けグレードを生産・販売する計画に変更、2013年2月に一部設備を除き建設が完了、その後試運転を開始した。

更に、2011年には第二期として太陽電池向けに年産13,800トンの建設を決めた。(投資額 1,000億円、累計 1,800億円)
合わせて徳山製造所の能力を11,000トンとした。

全て完成後は、日本11,000トン、マレーシア20,000トンで合計31,000トンとなるが、同社はこれにより、半導体用途は世界シェア20%を維持し、太陽電池用途では5%程度のシェアを10%程度に引き上げるとしていた。
 

しかし、多結晶シリコンは2012年3月期以降、市況が急激に悪化した。

同社によると、半導体用も含めたシリコンの需給は下記の通りで、主要メーカーの供給能力が需要を上回っている上に、その他メーカーの大きな供給能力が上乗せされ、合計能力は需要の2倍にも及ぶ状況である。

このため、上記の通り、2013年3月期で295億円の特別損失を計上した。

但し、同社では、中長期的には需要拡大と競争力のないメーカーの生産停止等で、需給ギャップは徐々に縮小し、2015年頃には需要と主要メーカー供給能力はバランスすると予測し、マレーシアの第一期(半導体向け主体)は2013年6月に営業運転開始とし、第二期(太陽電池向け)については2015年4月に営業運転を開始して、早期にフル生産を目指すとした。(徳山製造所は生産量を徐々に縮小するとした。)

2013/3/6    太陽電池素材事業、苦境に

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マレーシアの多結晶シリコン工場・第一期プラントについては、2013年2月に一部設備を除き建設が完了し、その後、主として半導体向けグレードを生産・販売することを目指し、試運転を行ってきた。

半導体向けグレードは、非常に高い純度をはじめとする高品質が求められるが、当初想定していた品質・生産安定性が達成出来ず、技術的な課題解決を図ってきた。

しかしながら、今般、析出装置に関する問題が存在し、様々な技術的な課題解決を図ったとしても、当面顧客認定用サンプルの出荷が事実上不可能であると判断した。

今後も、当プラントでの半導体向けグレードの生産に向けた活動(析出工程における品質及び生産性に関する技術開発)を継続していく。
(特別損失計上後の当プラントの簿価は33億円)

析出装置メーカーに対しては、損害賠償の請求を検討している。

半導体向けグレードについては、これまで通り、徳山製造所にて生産・販売を行う。

なお、第二期の太陽電池向けグレード生産設備(生産能力:13,800トン、総投資額:1,300億円)については、
2014年10月より生産・販売を開始、2016年3月期にフル稼働とする計画。

中国をはじめとする複数の大手ウエハーメーカーと既に契約を締結済みで、2017年3月期における販売計画を約13,000トンとしている。

 

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