韓国公正取引委員会は11月16日、1998年から2012年にかけてベアリング製品の販売をめぐり価格カルテルを結んでいたとして、日本やドイツ系メーカーに計778億ウォン(約82億円)の課徴金を科し、検察に告発する方針を固めたと発表した。
韓国公取委によると、日本精工などはアジアの国別にベアリング価格を談合する「アジア研究会」と称するカルテル組織をつくり、2011年7月まで東京や大阪で57回の会合を開き、国別の価格つり上げ目標額を決めていた。
韓国についても代理店経由で販売するベアリングの値上げ率を談合し、そうして決められた値上げ率は韓国子会社が韓国での販売価格に反映した。その過程でドイツのShaefflerの韓国子会社やHanwhaも談合に加担した。
これら企業からベアリングの納品を受けた企業は、サムスン、LG、ポスコ、現代製鉄など大企業から中小企業に及び、いずれも談合による被害を受けた。公取委関係者は「今回談合が摘発された企業の韓国ベアリング市場でのシェアは80%を占める」と指摘した。
報道では、今回摘発されたベアリング国際談合は、2011年にある日本メーカーによる自主申告で明らかになったとされている。
韓国公取委の発表は以下の通り。
1)市販用ベアリングのカルテルについては5社に課徴金624億ウォンが課される。日本精工、ジェイテクト、不二越の日本メーカー3社は韓国で1998年から14年間、市販用ベアリングの価格カルテルを行った。
カルテルにはドイツ大手Shaefflerの韓国法人や、韓国のHanwhaも加わった。
5社によるカルテルで14年間に市販用ベアリング価格が80~100%上昇した。
2)鉄鋼設備用ベアリングのカルテルを結んだ日本精工とジェイテクトの2社には課徴金68億ウォン が課される。
3)小型直接納入用ベアリングのカルテルでは日本精工とミネベアの2社に86億ウォンの課徴金が課される。
これをまとめると、下記の通りで、課徴金合計は778億ウォン(約82億円)となるが、各社別の課徴金の額は記載されていない。
日本精工 ジェイテクト 不二越 ミネベア Shaeffler Hanwha 合計 市販用 ○ ○ ○ ○ ○ 624億ウォン 鉄鋼設備用 ○ ○ 68億ウォン 小型直接納入用 ○ ○ 86億ウォン
これに対し、日本の各社は以下の通り発表した。
ジェイテクト:課徴金109.1億ウォンを賦課されたが、調査への協力等により、減額され、刑事告発は一部免除される見込み。
不二越:課徴金 36.51億ウォンを課すとの発表があったが、正式な通知を受け取っていない。
ミネベア:課徴金49.12億ウォンを課すとの発表があった。
韓国紙は、日本精工は最大の330億ウォンの課徴金を課せられ、Shaefflerの韓国子会社は16.48 億ウォンを課せられたとしている。
しかし日本精工は11月17日、下記の内容の声明を発表した。
11月14日、過去の韓国での軸受の取引の一部に関して、韓国公正取引委員会から法律に違反する行為があったとする決定を受けた。
当社及び当社グループは、社内調査により判明した事実を受け、同委員会に対して、調査への全面的な協力を行った結果、是正命令、課徴金及び刑事告発を免除された。
日本精工、ジェイテクトの発表から判断すると、今回の韓国公正取引委員会の発表は最終のものではなく、減免措置の前のものであると思われる。
また、「ベアリング国際談合は、2011年にある日本メーカーによる自主申告で明らかになった」という報道の通りなら、日本精工による自主申告と思われる。
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ベアリングについては、本日の別記事の通り、米国で自動車部品カルテルの一部としてジェイテクトと日本精工が罰金を払 い、両社の役員が起訴されているほか、日本とEUでも摘発されている。
日本とEUではジェイテクトが課徴金の100%減免を受けている。
2012/4/23 東京地検、ベアリング大手4社をカルテル容疑で家宅捜索
2014/3/22 EU、ベアリングカルテルで制裁金
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韓国では2013年12月に自動車部品カルテルで3社に総額1146億6800万ウォン(約112億円)の罰金が課されている。
デンソー 630億6000万ウォン(約62億円)
Continental Automotive Electronics 459億9200万ウォン(約45億円)
Bosch 56億2800万ウォン(約6億円)
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