創薬ベンチャーのそーせい、英同業を450億円で買収

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創薬ベンチャーのそーせいグループは2月21日、同業の英Heptares Therapeutics を買収したと発表した。

買収額は最大4億ドルで、20日付で全株式を取得し、完全子会社化した。
Heptares の株主に対し 1億8000万ドルを現金で支払ったほか、Heptares が現在開発中の医薬品で発生する収入から最大2億2000万ドルを支払う。

そーせいでは、さらなる企業価値の向上を目指すべくパイプラインの強化や新たな事業拡大を図るため買収を実施したとしており、本買収により、「日本発の世界トップバイオ企業になる」というビジョンをより迅速に達成できると期待している。

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そーせいは1990年に、元ジェネンテックの日本法人の社長などを務めた田村真一氏が設立したベンチャーで、開発したCOPD (慢性閉塞性肺疾患:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)治療薬である「Seebri®」(Vecturaとの共同開発品)とその配合剤「Ultibro®の全世界独占販売権をNovartis に提供しており、これのロイヤリティが現在の主たる収入源である。

両製品は世界各国で承認されており、ドイツ、日本、その他主要な市場で販売されている。
Novartisは2014年12月に米国で承認申請を行った。

情報収集などを狙って欧州に拠点を持っており、2005年に英国エセックスに本拠を置くバイオ医薬品開発企業であるArakis Limited を210億円で買収して、両社のバイオ医薬品開発事業を統合し、開発パイプラインの拡充および国際的な研究開発体制の強化を図った。

Arakis の買収は下記により行った。
1)
第三者割当増資
      Arakisの全株主に対して第三者割当増資を行い、その対価として全株主は同社の発行済株式数の88.91%を現物出資した。
(2) 株式買取
   Arakisの全株主より残り株式(11.09%)を23億円で買い取った。

「そーせい」の社名は「そうせい侯」と呼ばれた長州藩藩主・毛利敬親から取った。

毛利敬親は家督相続後、財政難だった藩をたてなおし、軍政改革を実施して軍事の洋式化を推進したり、文武を奨励して蘭学による教育を充実させるなどの革新を行ったが、一方では家臣からの進言には何事にも「そうせい」と言ったということから、陰では「そうせい侯」とも呼ばれた。しかし敬親公はこうして有為な人材を積極的に登用し、のびのびと活躍させていたため、波乱の幕末においても藩は壊れず、結果長州藩が討幕運動の原動力となりえたと言われている。

同社は平成維新の一つの原動力たらんとして発足したが、このエピソードにヒントを得て、社名とした。

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Heptares Therapeutics は、英国のMRC Laboratory of Molecular Biology およびNational Institute of Medical Research の研究成果を事業化するべく、2007 年に設立された。

医薬品ターゲットとして期待の大きい G タンパク質共役受容体(GPCR)に作用する薬剤を創出する世界で最も進んだ独自の技術(StaR®)を有する。
同社は既に複数の著名な製薬企業との創薬共同研究契約を締結しており、開発の進捗に応じたマイルストン・ロイヤリティ収入を受領できることになっている。

本買収の狙いは下記の通り。

① COPD 治療薬の特許が切れる2026 年以降の収益を生み出せるドラッグディスカバリー技術

Heptares は自社開発のみならず、独自のドラッグディスカバリー技術を基に、Novartis、AstraZeneca、武田薬品等の世界トップレベルの製薬企業と提携契約を締結しており、今後、これによるロイヤリティ収入がCOPD 治療薬の特許切れを迎える2026 年以降の収益の柱となる。

武田薬品は2011年4月、中枢神経疾患の病態に重要な役割を果たすGタンパク質共役受容体(「GPCR」)の一つを対象とした2年間の共同研究契約を締結した。

② 高収益パイプラインの拡充

Heptaresの保有する独自技術は新規医薬品を効率的に多数創出することが可能であり、それらの自社研究開発の推進、または他社への導出を図ることで短期的な収益確保から、長期的な収益基盤の構築まで、網羅的なポートフォリオ戦略が実現可能となる。

Heptaresのパイプライン

開発プログラム 適応 開発段階
ムスカリン受容体M1作動薬 アルツハイマー病、認知障害 第Ⅰ相臨床試験
M4 or M1/M4デュアル作動薬 統合失調症、精神障害 前臨床試験
アデノシン受容体2A 拮抗薬 注意欠如・多動性障害 前臨床試験終了、
IND(治験計画届出書)申請中
CGRP 受容体拮抗薬 偏頭痛治療および予防  前臨床試験
GPR39 作動薬 糖尿病、膵島β 細胞保護 前臨床試験
GLP-1 作動薬 糖尿病 前臨床試験

 ③ 開発体制の強化

 ④ ドラッグディスカバリー基盤技術の獲得による、シーズ探索手法の強化
 

 

 

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