旭化成は2月23日、米国のバッテリーセパレータメーカーのPolypore International, Inc.を約22億ドルで買収すると発表した。
Polypore はほかに医療・工業用膜関連の高分子ポリマー膜事業を行っているが、これについては3M Companyが約10億ドルで買収する。
Polyporeは医療・工業用膜事業で使用される分離膜を主に「Membrana™」ブランドの下で製造・販売している。
3Mは医療・工業用膜事業分野における拡大を目指している。
旭化成は2011年度よりスタートさせた中期経営計画で、「環境・エネルギー」「住・くらし」「ヘルスケア」の3つの分野において、既存事業のさらなる拡大と新しい社会価値の創出に取り組んでいる。
「環境・エネルギー分野」の一翼を担うエレクトロニクス事業領域は、電子部品系事業と電子材料系事業で高度な技術による製品を提供しているが、とりわけ電子材料系事業では、スマートフォンやタブレット端末、ノートパソコン用のリチウムイオン二次電池用セパレータ「ハイポア™」を戦略的製品と位置付けている。
今後は成長が期待されるハイブリッド車・プラグインハイブリッド車・電気自動車といった環境対応車用途や、電力エネルギーの効率的活用で需要の拡大が見込まれる電力貯蔵、蓄電システム用途での事業拡大を目指しており、そのため、製品力をさらに高めるべく、顧客ニーズに適合した高機能膜の開発強化や海外加工体制の構築等に積極的に取り組んでいる。
Polyporeは車載用途を中心に強みを持ち、グローバルな供給体制と高度な製品開発力を有する企業である。
Polypore買収により、下記の効果が期待できる。
旭化成 | リチウムイオン二次電池用セパレータ「ハイポア™」 | スマートフォンやタブレット端末、ノートパソコン用 |
Polypore | リチウムイオン二次電池用セパレータ「Celgard™」 | 電気自動車用 |
鉛蓄電池用のセパレータ「Daramic™」 | 自動車や産業向け用途等で広く普及 |
2)
車載用途を含め、今後成長が期待されるリチウムイオン二次電池用セパレータ事業で、より幅広い製品・技術の提供が可能になる。
3) 中長期にわたって安定的な収益貢献が期待できる鉛蓄電池用セパレータ市場への参入を果たす。
4) Polyporeのグローバルな製品供給体制及び販売網等の活用によって、「ハイポア」のグローバル展開の一層の加速を図る。
買収により、セパレーター世界首位の旭化成は現状で35%のシェアを約50%に引き上げ、2位の東レを引き離す。(日経 2015/2/24)
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