米国が中国を不当な輸出補助金でWTOに提訴

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米通商代表部(USTR)は2月11日、中国が紡績品など多くの業界を対象に、数10億ドルに上る不当な輸出補助金を実施しているとして、WTOに提訴した。

中国の "Demonstration Bases ー Common Service Platform" (モデル拠点 ー 公共サービスプラットホーム) を 輸出補助金であるとしている。

中国政府は公共サービスプラットホームを通して、禁止されている輸出補助金を与え、米国に被害を与えている。

公共サービスプラットホームを通して、179箇所のモデル拠点にあり、輸出基準に合格した企業に、無料又は割引価格でサービスを供給するとともに、補助金やその他のインセンティブを与えている。

対象業種は (1) 繊維、衣料、履物、(2) 先端材料・金属(特殊スティール、チタン、アルミ製品を含む)、(3) 軽工業、(4) スペシャルティ ケミカルズ、(5) 医療製品、 (6) ハードウエアと建材、 (7) 農業の7業種。

具体的な補助金の額は不明で、業種や事業規模や場所によって異なるが、あるモデル拠点の企業は毎年635千ドル以上の供与を受けている。
更に、中国政府はモデル拠点の企業に無料若しくは割引価格でのサービスを供与する公共サービスプラットホームのサプライヤーに3年の期間で10億ドルを支払ったことが書類で明らかになっている。

モデル拠点は中国の輸出に貢献しており、例えば2012年には繊維産業で40のモデル拠点のうちの16の拠点が中国全体の繊維輸出の14%を占めており、水産物の10拠点のうちの6拠点が輸出の20%を占めている。


これに対して中国商務部は、「指摘されているモデル拠点は、中国が貿易発展の方法を転換し、対外貿易の健全で安定した発展を促進させるための重要な政策で、WTOの規定にも合致している」 としている。

WTOの関連規定では、紛争を解決するために、まず今後60日の間に、二国間協議が実施されることになっている。
それでも、問題が解決されない場合には、米国政府が、スイスのジュネーヴにあるWTO本部に仲裁を請求し、WTOが9カ月以内にその結果を出すことになる。

もし、中国がWTOの貿易規定に反していると判断されれば、一定期間内に補助金政策を中止しなければならない。


米紙は今回の動きを、TPP問題と結び付けている。

オバマ政権は議会に対して通商交渉で政府に権限を一任する大統領貿易促進権限(TPA)法の成立を求めているが、中国との貿易をめぐる対策を講じることで、オバマ大統領は議員の支持を取り付けたいのだろうと分析している。

通商条約については、以前には、Trade Promotion Authority法によりファスト・トラック権限(fast track negotiating authority)が認められ、議会は、大統領と外国政府との通商合意の個別内容の修正を求めずに、一括承認するか不承認とかのどちらかであった。
しかし、これは2007年7月1日に失効したままになっている。

アメリカ合衆国憲法第2章第2条第2項では、大統領は上院の助言と承認を得て条約を締結する権限を有するとされるが、同憲法第1章第8条第3項では、連邦議会の立法権限として諸外国との通商を規制する権限も認めている。

ジョージ・W・ブッシュ政権は、2002年8月に成立したTrade Promotion Authority法(2002年超党派貿易促進権限法)によって貿易促進権限(TPA)を得た。
これによって、議会への事前通告や交渉内容の限定などの条件を満たす限り、議会側は行政府の結んだ外国政府との通商合意について、個々の内容の修正を求めず迅速な審議により一括して諾否のみ決することとされた。

TPAは2005年6月に延長されたが、その後は再延長が認められず、2007年7月1日に失効したまま現在に至っている。





 

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