Dow Chmeical、クロルアルカリ事業をOlin Corp.と統合

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Dow Chemical は3月27日、同社のクロルアルカリ事業の大半を分離してOlin Corp と合併させ、売上高70億ドルのグローバルリーダーをつくると発表した。

Reverse Morris Trust という手法により、同社のクロルアルカリ事業を分離して無税でOlinに売却し、Olinはこれを統合する。
新しいOlinにはDowが50.5%を出資する。


Dow Chemicalは2013年12月に塩素事業からの撤退を発表した。

2013/12/5 Dow Chemical、塩素事業からの撤退を発表

しかし、今回は売却という形をとるが、新しいOlinの株式の50.5%を持つことで、実質的には自社のクロルアルカリ事業を出してOlinを買収することとなる。

これまでの
"asset light" strategy (自社の事業を分離して他社とのJVとする)とも異なる。

付記

コメントを戴き、調べたところ、上記が間違いであることが判明した。

Dow のLiveris CEO が下記の通り発言している。

「DowはOlin 株の50.5%を所有する。しかし、追ってDowはDow株主にOlin株を直接所有するよう、オファーする。
 最終的には、3人の取締役を出すだけで、それ以外にはOlin の経営には全く関与しない。」

取得したOlin株をDowの株主に売却することを通じて、クロルアルカリ事業を完全に売却することとなる。

ーーー

米国には、Morris Trust が開発し、その後、税法上承認されたMorris Trust 取引と、これの変形のReverse Morris Trust 取引がある。

通常、事業を売却すれば売却益に対して課税される。

但し、売却側の企業の株主が 、買収した事業を統合した後の買収企業の株の 50%かそれ以上を所有する場合には無税となる。

売却側企業の株主が、Spin-off した子会社を統合した買収企業の株の過半を支配している。売却はしたが、依然として spin-off した子会社の持分を継続支配しているため、実質的には売却ではなく、売却利益は発生していないという理屈である。

(その後で、株を売却すれば、株の売却益に課税される。)

下図で、A社が本体をB社に売却する形でB社と統合する場合がMorris Trust 取引、不要事業を売却する形でB社と統合する場合がReverse(逆)Morris Trust 取引である。
いずれの場合も新しいB社の株の
50%以上をA社が持つ場合に売却が非課税となる。

ーーー

今回の場合は下記の形をとる。

Dow はクロルアルカリ事業をスピンオフし、Olin に売却する。

1) 対象はメキシコ湾岸のクロルアルカリ~塩ビ事業と、グローバルな有機塩素事業及びグローバルなエポキシ事業

  三井物産との50/50 JVのDow Mitsui Chlor Alkali のDow持分を含む。

      ブラジル、ドイツ、豪州の事業は取引の対象外。

2) 売却額は合計50億ドル(非課税)で、内訳は下記の通り。

現金 20億ドル
Olin株式 22億ドル相当
年金その他の債務引継ぎ 8億ドル。

売却代金の一部としてOlin 株式を受け取ることにより、Dow は新Olinの50.5%を取得し、無税売却の条件を満たす。
 (課税取引なら、この手取りを得るためには80億ドルでの売却が必要との計算)

3) Dowは20年間のCapacity Rights Agreement により、Olinにエチレンを供給する。

4) 合併によるシナジー効果として年2億ドルを見込んでいる。

5) 新Olinの取締役会にはDow指名の3人の取締役が加わり、現在のOlinのCEOのもとで、統合新チームが経営にあたる。
 

 

新しいOlin は売上高が70億ドル、EBITDAが10億ドルのクロルアルカリ業界でのグローバルリーダーとなる。

1)EBITDA 10億ドルの構成

Olin Corp の前身は1892年にFranklin W. Olin が設立した火薬会社 Equitable Powder Company で、1898年にWestern Cartridge Companyとなり、 その後ウインチェスター銃で有名なWinchester Repeating Arms を買収した。現在もOlin はWinchester の商標を保持し、弾薬を扱っている。

2) 塩素の能力

Georgia Gulf は2013年1月にPPG Industriesのcommodity chemical divisionと合併し、Axiall Corp.となった。

 

 

 

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コメント(4)

Olinの50.5%はDowの株主が保有するのであって、Dowではないのではないでしょうか。従い、JVという認識も違うと思います。完全にDOWとは関係のない(3人のDow出身のDirectorは入りますが)新会社の設立になっていると理解します。

現実には、Dowが当該事業をOlinに売却して、Olin株を受け取るため、DowがOlinの50.5%を所有します。
Dowの各株主に受け取ったOlinの株を割り当てるということはないと思います。

米国税法上の規定でDow 株主が50.5%を所有するというのは「Dow株主がDowを通して所有」と理解しました。
Olin側は第三者割当増資で、Olinの旧株主の所有割合が49.5%になります。

そのように誤解している人が業界でも多いですが、それだと子会社化されただけで電界事業のSpin Offが成り立たないのでJVの形をとったあと、最終的にはOLIN株はDOWの株主にOfferされます。(これがないとRMTが成り立たない ということでもあります)

http://www.reuters.com/article/2015/03/27/dowchemical-ma-olin-idUSL3N0WT3R620150327

有難うございました。
Liveris CEO の発言を見落としていました。
記事に付記をつけました。

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