Salix Pharmaceuticals の買収合戦

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カナダの製薬大手Valeant Pharmaceuticals International は2月22日、米同業Salix Pharmaceuticals1株当たり158ドル、総額101億ドルの現金で全株を買い取ることで合意したと発表した。
借入金込みで145億ドルとなる。

2015/2/28 Valeant Pharmaceuticals、米同業Salix Pharmaceuticalsを買収

しかし、アイルランドの医薬会社Endo International plcが3月11日、Salix Pharmaceuticalsに対して1株当たり175ドル、総額112億ドルの現金と株式での買収提案のレターを送った。

Salix の1株について、Endoの株式 1.4607株(時価 130ドル)と現金45ドルを払うというもの。
買収が成功すれば、Salix株主は新統合会社の株の約40%を保有することとなる。

買収が成功すれば、Salix株主はValeant の買収と比較して11%のプレミアムを得ることとなるとともに、将来が期待できるスペシャルティ医薬でのグローバルリーダー企業に参加することとなるとしている。

これに対しValeant は、Endo提案が現金+株式であるのに対し、同社の提案は全額現金であり、Salix 株主に確実な価値を直ちにもたらすもの としている。

Endoの提案が受け入れられる保証はないが、買収できた場合はValeantに違約金 356百万ドルを支払う必要がある。

Endo が買収する場合は、Valeant は狙った2社 Allergan とSalix をともに獲得できないこととなる。

付記

Valeant Pharmaceuticals は3月16日、新しい条件での買収で Salix Pharmaceuticals と合意した。
1株当たり158ドル
173ドル、総額101億ドル→111億ドルの現金で全株を買い取る 。(負債込みで158億ドル)

Endo International は買収提案を取り下げた。

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2014/10/22 米製薬会社 Allergan を巡る買収合戦

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Endo International plc はアイルランドの製薬会社で、DuPont とMerckのJVであった DuPont Merckから分離した。下記の歴史を持つ。

DuPontが1969年にEndo Laboratories を買収して血液溶剤Coumadin(R) を上市

1991年にMerck との50/50JVのDuPont Merck Pharmaceutical を設立

1997年に3人の役員がEndo Laboratories のジェネリック製品を買収してEndo Pharmaceuticals Inc. を設立(Management Buyout)

DuPont は翌1998年にDuPont Merck Pharmaceutical のMerck持分を買収し、DuPont Pharmaceuticals と改称

2001年、DuPontは世界の事業の構造改革を実施した。
 2001年4月 ポリエステルおよびナイロン工場の閉鎖を発表、3カ月後にはポリエステル事業の一部を売却。
 2001年6月、
DuPont Pharmaceuticals をBristol-Myers Squibbに売却 。

Endoは1999年にAlgos Pharmaceutical Corporation を買収・統合し、上場した。

2014年2月にカナダのスペシャルティ医薬会社 Paladin Labs を買収・統合し、Endo International plc と改称、主に米国で事業展開するが、本社をアイルランドに置いた。

同社は2014年10月、米国のAuxilium Pharmaceuticals Inc の買収で合意した。
現金と株式の組み合わせで約26億ドルを支払う。(前月に22億ドルでの買収を持ちかけたが、拒否されていた。)

Auxilium Pharmaceuticals Inc は法人税の低い国に本社を移転して節税する「inversion」を目指し、カナダの眼科薬メーカー QLT Inc と合併する計画であった。
しかし、Endoの提案を受け入れ、QLTには2840万ドルの違約金を支払った。

EndoとAuxilium は事業統合で、年間約1億7500万ドルのコスト削減効果を見込む。

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Salixの買収を争うEndo とValeantのCEO は師弟関係にあった。
EndoのCEOのRajiv de Silva と Valeant CEO のMichael Pearson は以前はともにMcKinsey & Co.のコンサルタントで、Valeantでは de SilvaはPearson CEO の直属の部下であった。

de Silvaは2013年にEndo の経営のため、Valeant を離れた。

Endoでは Valeant のやり方を真似し、好ましくない事業を売却し、買収に当たってはリスクのある初期段階の医薬品に投資するのではなく、皮膚薬のように実績のある儲かる事業を買収している。しかしValeant とは異なり、開発後期の医薬品にも投資を行っている。




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