河野太郎代議士の「ごまめの歯ぎしり」(2015/7/15)は「原発停止の燃料コスト」を取り上げた。
これまで経産省は、原発が停止したことによる燃料費の増加がいくらだという数字を何回か出している。
2012年度に3.1兆円増えたと経産省は主張している。
しかし、これは嘘だったとし、経産省に2010年度から2014年度までの各年度に電力10社が使用した実際の化石燃料の使用量、その年度の平均燃料価格を出させた。
LNG、石油、石炭、ウランの合計輸入金額は急増している。
しかし、化石燃料の価格は2010年以降、ドル建ての単価の上昇に加えて、アベノミクスによる円安も相まって、円建ての価格は大きく値上がりしている。
そこで、2010年度と比べて増加した化石燃料の使用量に2010年度の価格をかけて、輸入金額がいくら増加したかを計算し、そこからウラン燃料の輸入が減った分を差し引いた。
「これは資源エネルギー庁の電力基盤整備課と原子力政策課が調べて出してきた数字だ。
もちろん焚き増しで燃料費が増えたことは間違いがない。だがしかし、その規模を正確に国民に伝えるのは行政の役割のはずだ。
行政が、いいかげんな「前提条件」をでっち上げて、現実とは全く違う数字をあたかも現実のように伝えようとするならば、政治がそれをやめさせなければならない。」
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実はこの分析は正しくない。
ここでは、化石燃料の価格の上昇を原発停止には関係のないものとして、無視している。
アベノミクスでの円安による円建価格上昇はその通りだが、少なくとも量が急増しているLNGのドル建て価格については、無関係とはいえない。
最近こそ、新価格方式が出てきたが、これまでは、日本のLNGの購入契約はほとんどが原油価格スライドであった。
2010年度と2013年度を比べると、WTI原油価格は年平均で79.59ドル/バレルから98.05ドル/バレルに123%アップしている。
しかし、この間のLNGドル建て輸入価格は、55.91セント/kgから83.22セント/kgと、149% 高騰している。
これは原発停止により、不足燃料を補うために各電力会社がLNGのスポット買いに走ったため、足元を見られたものが主と思われる。
当ブログでは、2013年度について、2010年度と比較して、原油価格アップを上回る分を1兆2252億円と計算した。
この分は原発停止の影響として加える必要があろう。
2014/3/9 LNG輸入金額分析--- 原発停止の影響
なお、本年に入り、円安にもかかわらず、LNGの通関価格は急落している。
現時点では、LNGの価格の面では、原発停止の影響はなくなったといえる。
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