G7各国の石炭火力発電所対策評価 

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英国のNGOのE3Gは10月21日、G7の石炭火力発電からの脱却度を評価する報告書(G7 Coal Scorecard)を発表し、新設計画が相次いでいる日本は最下位となった。

日本について、原発事故以降、石炭火力発電所が発電に占める割合が増加していることや、発展途上国での建設に公的な金融機関が積極的に融資していることを挙げ、対策が最も遅れているとして改善を求めている。

対策が最も進んでいるとされたのは米国で、排出規制を厳しくする政策を発表したことや、過去5年間で老朽化した石炭火力発電所200か所余りを閉鎖したことが評価されている。

  http://www.e3g.org/news/media-room/g7-coal-scorecard-international-interest

報告書の趣旨について、以下の通り述べている。

2015年6月8日、G7は今世紀末までにグローバル経済の脱炭素化をさせることに合意した。そのためにCO2排出量の大幅削減と、2050年までのエネルギー分野の変革が必要であるという点でも合意した。特定の化石燃料に言及しなかったが、意味合いは明らかであり、緩和政策のない石炭火力発電に未来はない。

このスコアカードは、発電部門の石炭利用からの脱却という課題に挑むためにG7参加国が始めた取り組みについての概要を提供するもの。

現在の各国の石炭火力の能力と、石炭火力が発電に占めるシェア推移は下記の通り。

G7各国で既存火力の閉鎖や新規計画取り止めが相次ぐなか、日本のみ、閉鎖や計画取り止めがなく、多くの新規計画がある。

石炭スコアカードは3つのカテゴリーの行動についてランク付けをしている。

1)新しい石炭火力が建設されるリスク
2)既存の石炭火力の閉鎖
3)その国の行動が国際的に良い影響を及ぼしているか

結果は次のとおり。

米国 最も前向きな進展が見られた。新しい政策が導入され、また緩和策のない石炭火力のための資金援助を制限する国際的取り組みも主導している。

フランス 国内の石炭火力の閉鎖が進められ、フランス企業が国外に及ぼす悪影響を低減させる政治的取り組みが強化されたことにより、脱石炭化の実績が大幅に改善した。

英・加・伊 脱石炭化への実績が大幅に改善。

ドイツ 石炭の段階的廃止への認識はあるが、困難に直面。国際的には依然として緩和策のない石炭火力を支援している。

日本 G7で唯一、緩和策のない石炭火力の新設を計画しており、既存の発電所の閉鎖も進まないなど、孤立している。緩和策のない石炭火力の建設の資金援助を通じて、国際的にも悪影響を及ぼしている。

「日本は大量の再生可能エネルギーを導入できる機会が目の前にある。石炭火力発電所の新設への投資規制を進めている他のG7諸国に歩調を合わせるべきだ」

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オバマ米大統領は2015年8月3日、石炭火力発電所からの二酸化炭素(CO2)排出に対する規制強化を正式に発表した。
米EPAは2014年6月、火力発電所から出るCO2を2030年までに05年比で30%削減するとの規制案を公表していたが、オバマ大統領はこの削減幅を同 32%に拡大する。

EPAは2013年9月20日、新設の石炭火力発電を対象にした排気ガス規制案を発表した。
それによると、新設の石炭火力発電所は1メガワット時あたりの二酸化炭素(CO2)排出量を1100ポンド(500キロ)までに制限され、この基準を達成するためには、CO2が大気に放出される前に回収する二酸化炭素回収貯留(CCS) という最新技術を使うしか方法がない。

2015/8/7 オバマ政権、火力発電のCO2排出規制を強化   

但し、石炭火力の新設を事実上禁じる規制計画に対し、産炭地を抱える24州が10月23日、差し止めを求める訴訟を連邦控訴裁に起こした。
野党共和党も計画を無効にする法案を検討中で、計画通り実施されるかどうか不透明となった。

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