住友化学、韓国 S-Oil にPPとPO製造技術をライセンス 

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住友化学は11月30日、韓国S-OIL社にPPとプロピレンオキサイド(PO )の製造技術のライセンス契約をしたと発表した。

S-OILは、韓国の蔚山市温山に日量66 .9万バレルの石油精製コンビナートを有し、燃料、潤滑油および石油化学製品を主に生産している。

S-Oilは2011年に温山に1系列で世界最大のパラキシレン工場を完成させた。商業生産は2011年6月に開始している。

2011/10/28 韓国S-Oil、1系列で世界最大のパラキシレン工場の竣工式を開催

同社は、本年9月に重油を活用する日量7.6 万バレル規模の流動接触分解設備を導入したが、高品質ガソリンとプロピレン誘導品の生産設備への投資を決定した。
新たに生産される誘導品は、住友化学が独自に開発した技術を採用する年産40 .5万トンのPP 、年産30 万トンのPO などで、2018 年前半に完工の予定。

住友化学のPP 製造技術は、千葉工場における運転実績に加えて、シンガポールなどの関係会社を含めた海外の企業にもライセンス供与し、多くのプラントで長期にわたる運転安定性を示し、高品質な製品を製造してきた実績がある。

PO 製造技術は、同社が世界で初めて工業化に成功したクメンを循環利用するクメン法PO単産プロセス
(プロピレンとクメンからPOを生産し、副生するクミルアルコールはクメンにして再度利用)
で、併産物がなく 、独自に開発した高性能なエポキシ化触媒と組み合わることにより、高収率で運転安定性に優れていることが特徴で、千葉工場やサウジのPetro Rabigh の運転実績がある。

住友化学が韓国企業に最新技術を供与したのは、S-Oil がSaudi Aramco の子会社であるためと思われる。

サウジのPetro Rabigh は住友化学とSaudi Aramco のJVであり、Petro Rabigh の第一期では、単産プロセスのPO 20万トン、PP 70万トンを生産している。

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S-Oil は1976年にKorea-Iran Petroleum Co., Ltd. として設立された。
第一次石油ショックで原油の安定購入が韓国の第一の課題であった時に、双龍セメントがイラン国営石油会社(NIOC)との50/50 JV設立に成功した。

1978年のイラン革命で、イラン側が撤退し、1980年に双龍精油と改称した。
1987年に上場した。

1991年にAramco Overseas Companyが3億9500百万ドルを出資して35%を取得、20年間の原油供給を約束した。

1999年12月には、双龍セメントの持株 28.4%を自社株として買収し、双龍グループから法的に独立し、2000年3月に双龍精油からS-Oil に改称した。

S-Oil は双龍セメントから買い取って金庫株としていた28.4% を、2007年に韓国航空など韓進グループに売却した。

2007/3/9 韓国の石油精製 S-Oil に韓進グループが参加

Aramco Overseasは2014年、韓進グループからS-Oil の28.4%を19.5億ドルで買収し、持株比率を現在の63.4%にした。

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