概要は下記の通り。
社名 | DowDuPont | ||||||||
体制 | 統合後に無税スピンオフで Agriculture、Material Science、Specialty Products の3つの会社に分離し、それぞれ上場する。
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株式 | 両社の株主はDowDuPont の株式の50%ずつを取得。 | ||||||||
役員 | 会長:Dow のAndrew N. Liveris 会長兼CEO CEO:DuPont のEdward D. Breen 会長兼CEO (10月16日退任のEllen Kullman の後任) 取締役:16名で、両社から現在の8名ずつ。 |
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本社 | 両本社制 Dow のMidland, Michigan DuPontのWilmington, Delaware |
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シナジー 効果 |
そのための一時的コスト 35~41億ドル |
両社は幾つかの資産を売却すれば、独禁法上の審査をクリアすると、アナリストらはみている。
売却が必要な分野は恐らく種子と穀物関連とされている。
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Dow のAndrew N. Liveris 会長兼CEOは11年前にDowのCEOに就任してから、ほぼ一貫してDuPontとの合併を目指してきた。
2006年にDuPont買収を試みたことがあったが、袋小路に陥った。そして2009年、金融市場が崩壊したのとほぼ同じ時期に特殊化学品メーカーのRohm and Haasを160億ドルで買収した。
Edward Breen が今年10月にDuPontの暫定CEOに就任(その後、11月9日に「暫定」が取れる)した直後、合併の提案をしたとされる。
Dow も DuPont も、物言う株主から事業分割などドラスティックな手段による企業価値の向上の要求を受けている。
ヘッジファンド、Third Point LLCを率いるActivist Investor(物言う株主)のDaniel Loebは2014年1月21日、Dow Chemicalに手紙を送り、石油化学事業とスペシャリティケミカル事業を分離するよう求めた。
Dow は2013年12月に塩素事業(売上高50億ドル以上)からの撤退を発表したが、もっとドラスティックなものを求めている。
2014/2/18 物言う株主、Dow Chemical の分割を要求、会社側は拒否
DuPontは5月13日の株主総会で辛うじて物言う株主に勝利を収めたが、物言う株主のNelson Peltz が率いる米Trian Fund Management が会社の分割を要求していた。
既に発表されているPerformance Chemicals部門に加え、DuPontを2社に分割する。 GrowthCo (Agriculture, Nutrition and Health, Industrial Biosciences) CyclicalCo/CashCo (Performance Materials, Safety and Protection, Electronics and Communications)
2015/5/15 DuPont、株主総会で物言う株主に勝利
DuPontのEllen J. Kullman 会長兼CEOは10月16日に退陣した。(2008年10月1日付けで社長、2009年1月1日付でCEO、2009年12月31日付けで会長に就任)
業績悪化の責任を取ったとされる。
2015/10/6 DuPont のCEO Ellen Kullman、急に退任
両社とも、不採算事業のみならず、儲かってはいるが将来の成長が見込めない等の事業についても売却したり、スピンオフ する一方、原油価格の変動の影響が少なく、成長が見込める事業を買収してきた。
Dow の改革の一部
2009/4/3 ダウ、Rohm & Haas の買収を完了
米国の石化事業をクウェートのPICとのJVにする計画がつぶれ、Rohm & Haas買収資金がなくなり、多くの事業を売却した。2010/6/18 ダウ、スチレン系事業売却完了
2013/2/6 Dow、日本ユニカー持株を売却
2014/10/6 Dow Chemical、非戦略事業の売却を進める
DuPont の改革の一部
2008/9/30 DuPont のこの10年
2011/5/27 DuPont、Daniscoの買収成功
2012/9/5 DuPont、Performance Coatings事業をCarlyle Group に売却
2015/6/12 DuPont、Performance Chemicals 事業を分離
2014/8/23 クラレ、DuPontのビニルアセテート関連事業 の買収完了
2014/12/15 DuPont、クロロプレンゴム事業を電気化学に売却
しかし、経営改革を迫る「物言う株主」から対応が遅いと批判されていた。
Liveris会長は「今回の合併は業界の流れを変えるもので、われわれが10年以上かけて描いてきた構想の集大成が映し出されている」と述べた。
物言う投資家は今回の合併を歓迎している。
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1)Agriculture
2) Material Science
3) Specialty Products
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Dow は同じ12月11日、Dow とCorning の50/50JVの Dow Corning Corporation をDow 100%にすると発表した。
Dow Chemical のAndrew Liveris 会長は2014年11月、Corning Inc. がDow Corningの持株の売却を希望しており、Dowが購入することになるだろうと述べたと報じた。
CorningはSamsung Electronics とのJVであったSamsung Corning Precision Materialsを100%子会社にしており、Dow Corning よりもこちらに重点を置きたい意向であるとしている。
2014/11/25 Corning Inc.、Dow Corning から撤退へ
Dow Corning は1943年に両社のJVとして設立され、シリコーンなどケイ素技術に特化している。
Dow Corning は日本では1966年に東レとのJVの東レ・ダウコーニング・シリコーン(現 東レ・ダウコーニング:Dow Corning 65%出資)を設立している。
Dow Corning は子会社に、半導体や太陽電池に使われる様々な純度の多結晶シリコンを製造するHemlock Semiconductor Group を持つが、これについては、DowとCorning は現状の持分を維持する。
Hemlock Semiconductorは1979年にDow Corningの100%子会社として設立された。
1984年に信越半導体と三菱マテリアルが加わり、3社のJVとなった。
Dow Corning 63.25%、信越半導体 24.5%、三菱マテリアル 12.25%
しかし、信越化学は2013年3月期に持分の一部を売却し、20%以下としている。
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