EU、McDonald'sに対するルクセンブルグの法人税優遇措置を調査 

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EUの欧州委員会は12月3日、米ファストフード大手McDonald'sに対するルクセンブルクの法人税の課税措置が同社を優遇し、EU法が禁じる違法な助成金に当たる疑いがあるとして、本格調査を始めたと発表した。

EU当局によると、McDonald'sは2009年から、欧州とロシアのフランチャイジングが支払った使用料にかかる法人税を、ルクセンブルクや米国で納めなかった疑いが持たれている。

EUは、ルクセンブルクが、米国で課税対象となっていないと知りながら、利益にかかる税金を免除したとしている。

EUによると、ルクセンブルクはMcDonald'sの欧州フランチャイジング部門の収益にかかる税金を、利益が米国で課税対象であるとして、免除した。
ルクセンブルクはさらに、収益が米国の課税対象と証明する必要もないと取り決めたという。

Margrethe Vestager欧州委員(競争政策担当)は「McDonald's が欧州のロイヤリティについて、ルクセンブルグでも米国でも税金を支払わない点について、EUの加盟国助成金制度に基づき、注意深くチェックする。各国間で結ばれる二重課税協定は、二重課税の回避が目的で、二重非課税(double non-taxation)の正当化を狙ったものではない」と述べた。

同社の欧州のフランチャイジングは大きな利益(2013年で250百万ユーロ以上)を上げながら、ルクセンブルグ当局の2009年の2つのルーリングで、ルクセンブルグでは法人税を払っていない。

この利益は、欧州とロシアのレストランがMcDonald'sの商標や付随サービスを使う権利から生じる。
ルクセンブルグの本社は戦略的意思決定に責任を持つ。スイスの支店は限定した活動をしており、米国の支店は実際の活動はしていない。
得られたロイヤリティは米国支店に送金される。

2009年以降、ルクセンブルグでも米国でも税金を支払っていないが、下記の仕組みによる。

1) ルクセンブルグ当局が2009年3月に与えた最初のルーリング:

McDonald's の欧州フランチャジングは、利益が米国で課税されるため、ルクセンブルグで法人税を納めなくてもよい。
この点はルクセンブルグと米国の二重課税防止協定に基づく。

ルーリングでは、McDonald'sは毎年、スイスを通じて米国に移されたロイヤリティが、米国とスイスで課税されることの証拠の提出が義務付けられる。

2)しかし、このルーリングの前提とは異なり、利益は米国で課税されていない。

ルクセンブルグの税法の解釈では、McDonald'sの欧州フランチャイジングは米国に納税実体(taxable presence="permanent establishment")を持つが、米国法では納税実体を持たない。
このため、McDonald'sは最初のルーリングで義務付けられた米国での納税の証拠を提出できない。

3)このため、McDonald'sはこれを明らかにした上で、それにも関わらずルクセンブルグで課税されるべきでないと主張し、第二のルーリングを要請した。

McDonald'sの主張は、米国税法の観点では、十分な活動がないため米国に納税実体がないこととなるが、ルクセンブルグ法によれば、米国支店は十分な活動をしているため、納税実体があるというもの。

ルクセンブルグは2009年9月に第二のルーリングを出し、McDonald'sは所得が米国で課税されるという証拠を出す必要はないとした。
McDonald'sの欧州フランチャイジングは、米国で課税されないことが確認されたにも関わらず、ルクセンブルグでも課税されないことが確認された。

EUによると、第二のルーリングで、McDonald'sの欧州フランチャイジングの利益のほとんど全てが課税を免れる。
スイス支店の
限定した活動による利益分はスイスで納税している。


今後、EUは上記の懸念が正しいかどうか、特に第二のルーリングがEUの加盟国助成金制度に反する処理かどうかを調査する。
ルクセンブルグ当局がMcDonald'sに対して、同様の状況にある他の企業には与えられない恩典を与えたかどうかを調べる。

ルクセンブルク財務省は、McDonald'sに特別な課税措置や便宜を与えたことはないと説明、調査に全面協力する方針も示した。

Mcdonald'sが税優遇によって違法に利益を得ていたと欧州委が判断した場合、同社には巨額の追徴課税が命じられる可能性がある。

欧州委員会は2015年10月21日、Starbucksがオランダ政府から、Fiat Finance and Tradeがルクセンブルグ政府から、それぞれEUでは違法となる優遇税制を受けていたと判断した。

税務当局のTax ruling (税務裁定) そのものは合法であるが、これらについては、一部の企業だけを支援して公正な競争を妨げる違法な「国家補助」とみなした。

その上で、オランダ政府とルクセンブルク政府にStarbucksとFiat から本来の税金との差額を追徴するよう命じた。

2015/10/27 欧州委員会、StarbucksとFiatの税優遇を違法と認定、追加徴税を指示




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