台湾、日系などのコンデンサーメーカーの価格カルテルに多額の課徴金

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台湾の公平交易委員会(公取委に相当)は12月9日、スマートフォンなどに使う電子部品のコンデンサーについて、日本ケミコンなど日系企業を中心に10社が価格カルテルを結んでいたとして、総額約215億円の多額の課徴金を科すと発表した。台湾でのカルテルに対する課徴金としては過去最高額。

アルミ電解コンデンサーでは日本ケミコン、ルビコン、エルナー、三洋電機、ニチコンに総額45億2290万台湾ドル、タンタル電解コンデンサーではNECトーキン、松尾電機、米Vishay Polytecに総額12億7370万台湾ドルを科した。

同委員会によると、アルミ電解コンデンサーについて少なくとも2005~14年初めに価格や数量、顧客への対応方法などの情報を交換、タンタル電解コンデンサーでも同様の行為をしていた。

各社の課徴金は下記の通り。 日本円は3.7円/台湾ドルで換算した。

千台湾ドル 百万円
アルミ電解
 コンデンサー
日本ケミコン 1,868,300 6,913
 同上(香港) 82,900 307
 同上(台湾) 293,800 1,087
ルビコン 1,248,000 4,618
エルナー 76,600 283
三洋電機(香港) 842,000 3,115
ニチコン(香港) 111,300 412
合計 4,522,900 16,735
タンタル電解
 コンデンサー
NECトーキン 1,218,200 4,507
Vishay Polytec 31,200 115
松尾電機 24,300 90
合計 1,273,700 4,713
総額 5,796,600 21,447

日本ケミコン:1931年 佐藤電気工業所として設立(日本発の電解蓄電器の製品化)
ルビコン:1952年 日本電解製作所として設立、アルミ電解コンデンサ製造開始
エルナー:1929年 本田製作所として創業、1934年 アルミ電解コンデンサの採算・販売
三洋電機:2009年に事業(サン電子で製造)をサン電子に売却
ニチコン:1950年 関西二井製作所設立、1956年 アルミ電解コンデンサ製造開始
NECトーキン:1938年 東北金属工業設立、1988年トーキンに改称、2002年NEC・電子部品事業と統合、改称
Vishay Polytec:米のVishay Intertechnology 日立コンデンサ(その後 日立AICと改称)の三春工場のタンタル・ニオブコンデンサ事業を取得
松尾電機:1949年設立

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コンデンサー業界は日本、韓国、米国、中国でカルテルの調査を受けている。

中国の国家発展改革委員会(NDRC) は2014年、他国の競争当局に先がけてコンデンサーの価格カルテルの調査を開始した。

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日本の公正取引委員会は2014年6月24日、「アルミ電解コンデンサー」や「タンタルコンデンサー」などの販売を巡り価格カルテルを結んでいた疑いが強まったなどとして、メーカー10社程度に立ち入り調査を行った。

対象となったのは、日本ケミコン、パナソニック、日立化成、NECトーキン、ニチコン、ルビコン、エルナー、松尾電機など。

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米当局も現在、キャパシタ(電解コンデンサー)業界のカルテルの調査を行っている。

司法省は2015年9月2日、NEC TOKIN が罪を認め、1380万ドルの罰金を支払うと発表した。
合わせて、同社は今後の調査への協力を約束しており、今後、広がる可能性がある。

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韓国の公正取引委員会は、本年秋に、日本のコンデンサーメーカー8社が最大4兆ウォン(約4100億円)台の価格カルテルを結んでいた疑いで調査に入った。

調査対象はパナソニック、ニチコン、日本ケミコン、日立化成、NECトーキンなどの8社。

2015/10/3 韓国公取委、日本のコンデンサーメーカーの価格カルテル調査 




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