Hanwha Chemical、蔚山のクロルアルカリ工場をUNIDに売却

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Hanwha Chemical は5月25日、収益性と競争力アップの方策の一環として、蔚山コンプレックスのクロルアルカリ工場を約71百万ドルで水酸化カリウムなどのメーカーの韓国のUNIDに売却したと発表した。

韓国では、自主的な企業のリストラの推進を狙った企業再生特別法(Special Act for Corporate Revival)が8月に発効し、いろいろなインセンティブが与えられるが、化学会社の工場売却も対象となる。化学業界は過剰設備に悩み、リストラが必要な分野であり、Hanwhaの先制的な動きは政府に歓迎される。

クロルアルカリ工場は海水を電気分解し、塩素と苛性ソーダを生産するもので、塩素はPVCの原料となる。

UNIDは水酸化カリウム、 炭酸カリウムなどの化学品と中密度繊維ボードを扱う。世界の水酸化カリウム市場で最大シェアを誇る。

1980年に東洋化学とDiamond ShamrockのJVの韓国カリ化学(Korea Potassium Chemicals)として設立された。
1987年にDiamond Shamrockが撤退し、Korea Investment Corporation となり、1995年に現在の UNID に改称した。
社名は "You need "の発音から採った。You は顧客、株主、従業員。

UNIDは電解で水酸化カリウム(KOH)と炭酸カリウム(K2CO3)を生産する唯一のメーカー。

水酸化カリウムは塩化カリウム(KCL:ニガリの構成成分の一つで、カリ鉱石として採掘される)の電解で生産される。
炭酸カリウムは通常は水酸化カリウムに炭酸ガスを吸収させて生産する。


UNIDでは、購入したプラントを改造し、水酸化カリウム(KOH)を生産する計画。水酸化カリウムは石鹸の原料や半導体の洗浄用に使われる。

Hanwhaとしては売却により苛性ソーダの過剰状況を緩和できる一方、UNIDでは不要の塩素を引き取ってPVCの原料に使用でき、一石二鳥となる。
UNIDとしては、既存工場の移転を求められており、Hanwha の蔚山工場を取得し、水酸化カリウムに転用することでコスト引き下げが可能となる。

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日本政府は本年4月5日、韓国と中国原産の水酸化カリウムウムに対して暫定的な不当廉売関税を賦課する政令を閣議決定した。

2015年4月にカリ電解工業会から申請を受け、5月から調査を実施してきた。
この結果、本年3月5日に日本産業への実質的損害等の事実を推定する仮決定を行った。4月9日から8月8日までの間、暫定的な不当廉売関税が課せられる。

2016/4/8 日本政府、反ダンピング課税申請要件を緩和 

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