IMFによるBrexit の影響試算

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国際通貨基金(IMF)は6月17日、英国がEUから離脱した場合、2019年の英国GDPの規模が、残留した場合より最大5.6%減少するとの試算を発表した。

http://www.imf.org/external/pubs/ft/scr/2016/cr16169.pdf

下のグラフで2018年以降でGDPが上向いているのは、大きく下がった前年比での伸び率であるため。


実際には下の通り、EUに残留した場合よりも減少が続く。

残留した場合よりも下回る理由はそれぞれ下記の通り。
当初は、不確実性によるものが大きいが、長期的には貿易の影響が大きい。投資の影響は小さい。


これまでに発表された予測(残留ケースとの差)も同様である。(最後は2017/2018年度で、他は全て2018暦年)

2016/5/5 OECDによる英国のEU離脱の影響分析


報告では以下の通り述べている。

英国経済は最近は極めて順調。経済成長率も先進国ではトップで、雇用も最高水準にある。65歳以上の雇用も10%を超える。
財政赤字も減少しており、金融セクターの改革も実行された。

しかし、住宅価格の下落の可能性、経常収支の赤字、家庭の貯蓄率の低さ、生産性の伸び率の低さなど、今後のリスク要因がある。
6月23日のユーロ離脱の国民投票が最大の不確実性の源である。

英国がEUに留まれば、本年後半に成長率は伸びに転じ、今後数年は安定する。石油やコモディティ価格の下落の影響が消え、失業率の低さが賃金を引き上げ、インフレ率は次第に目標に向かって上昇しよう。

EUを離脱すれば、大きなマイナスとなるとする。

離脱決定後、EUとの間で離脱の条件と今後の関係の詳細について交渉を開始する。
同様に、現在EUと貿易協定を結んでいる60以上のEU以外の国と交渉を行う必要がある。
交渉は何年も続き、その間、リスク回避のため消費や投資が減少する。長期的には、貿易や金融面でのバリアが生産減、所得減につながり、英国経済は悪化する。

不安定な期間が続くほど、また貿易交渉の結果が不利になれば、英国にとってのコストは上昇する。

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英国とEUの関係は密接で重要である。

 ・EUは世界最大の経済圏の一つで、英国は最大の貿易パートナーである。

英国の輸出も輸入も約半分がEUメンバー向けである。

 ・ 英国は金融関係がGDPの約3%を占め、他国をはるかに上回るが、英国とEUの関係は大きい。

 ・ 移民の状況は下記の通りで、EUからの移民が半分を占め、労働力は増大をつづけている。

(離脱派は低賃金の移民が職を奪い、これまで蓄積した福祉基金を食い物にしていると批判)

 ・ EUへの持ち出し?

英国は2014年にネットで70億ユーロの持ち出しだが、平均ではGDPの0.3%に過ぎず、GDP比ではオーストリア、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スウェーデンよりも低い。

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