米最高裁、オバマ大統領の移民制度改革を事実上認めず

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米連邦最高裁は6月23日、オバマ政権の大統領権限による移民制度改革の合憲性を巡り、判事の意見が 4 対 4 に分かれ判断を示せなかった。
このため、改革実施を差し止めた下級審の判決が維持される。

最高裁は本来9人で構成するが、2016年2月に保守派のAntonin Scalia判事が死去、共和党が後任人事の審議を拒否しているため、保守・中道派4人、リベラル派4人で拮抗していた。

最高裁が審理したのは、米国内に約1100万人いるとされる不法移民のうち、子供が米国の市民権や永住権を持つ親で、身元調査を通過するなど一定の条件を満たした不法移民に対し、強制送還を3年間猶予し、就労を認めるなどを決めた大統領令。実現すれば400万人以上が恩恵を受けると推計される。

大統領は就任以来、移民制度改革を掲げてきた。

しかし、共和党の反対で移民制度改革をめぐる法案審議が進まないことから、大統領は2014年11月、大統領権限を使って不法移民に暫定的な滞在資格を与える決定を下した。
不法移民の親が強制送還され、市民権や永住権を持つ子供と引き離されるのを防ぐためのもの。

これに対し、共和党などは大統領権限を逸脱しているなどとして反発。同年12月にテキサス州など26州が差し止め訴訟を起こした。

テキサス州連邦地裁は2015年2月に一時的な差し止め命令を出した。
ニューオーリンズ州連邦高裁は2015年11月9日、この差し止め命令を支持する判断を下した。

政府は「国家安全保障の利益にならないのは明らかだ」と差し止めを批判し、最高裁に上訴した。

今回、最高裁が4対4で判断が分かれたが、最高裁で判事の判断が同数となった場合は、下級審の判断が維持されるため、大統領令は差しとめられる。

オバマ大統領は記者会見し、最高裁の審理の結果を「数百万人の移民の心を引き裂くものだ」と批判した。その上で、移民制度改革を立法を通じて進めるよう改めて共和党に呼び掛けた。

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