日東電工は11月2日、阪大微生物病研究会と共同で、季節性インフルエンザHAワクチン舌下錠の第Ⅰ相臨床試験を開始したと発表した。
このワクチンは錠剤を舌の下に置き唾液で1分程度で溶かしてから体内に取り込む方式。
体内に侵入して増殖したウイルスを撃退するだけでなく、ウイルスの入り口である鼻などの粘膜上にも抗体を作りウイルスが侵入すること自体を防ぐ効果が期待され、体内にしか抗体を作れない注射法より高い効果を動物実験で確認できたという。
投与が容易で、医療技術者が不足する災害現場などでの使用にも適している。
舌下投与でワクチン効果を得ることは近年注目される方法だが、口の中は食事などで異物を取り込むため免疫機能が起きづらく、補助剤なしには抗体ができない。
日東電工と大阪大学・京都大学の研究グループは、免疫活性化物質 IP-PA1(Immunopotentiator of Pantoea agglomerans 1)を舌下投与するとインフルエンザワクチンによるインフルエンザ抗体の産生を増強することを初めて報告した。この作用はアジュバンド効果と言われる。
IP-PA1は、生体内に侵入した細菌やウイルス、死んだ細胞を捕捉、分解するマクロファージのTLR4受容体に結合することで、マクロファージをを活性化する。
http://sangyo.jp/foodhealth/article/20080516.html
阪大微研がワクチンのもとになる抗原を担当、日東電工がアジュバンドを担当する。日東電工が持つ、錠剤にして効果を安定させる技術も活用する。
本システムは下記の特長を持つ。
本システム 既存注射剤 ウイルスの感染自体を防ぐ効果 なし 投与時の痛みが無い あり 常温での保管が可能
(常温で数年間、40℃でも6カ月間保存可能)冷蔵で1年しか保存できない。
日東電工では、今後本ワクチンの一日も早い実用化を目指すとともに、ワクチン分野における本プラットフォームの幅広い展開を図る。
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