Dow Chemical、高金利の優先株をようやく転換

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Dow は最近の株価高騰で長年の課題であった優先株の普通株への転換に成功する。

12月15日の株価が転換価格に到達したため、40億ドルの優先株を12月30日付で普通株に転換すると発表した。



Dowは2009年4月1日にRohm & Haasの買収を完了した。

2009/4/3 ダウ、Rohm & Haas の買収を完了

Dow はR&H 買収資金の188億ドルを、つなぎ融資130億ドルと、Warren Buffett のBerkshire Hathaway Inc. からの投資 30億ドル、Kuwait Investment Authorirty からの投資10億ドルで賄うことにした。

同社はクウェートのPICとの米国石油化学合弁 K-Dow Petrochemicals 設立で、事業売却額マイナス出資で75億ドル、配当15億ドルで、合計90億ドル(税引後では70億ドル)を受け取ることとなっており、これでつなぎ融資の一部を返済する予定であった。

しかし、2008年12月28日にこのJVが設立寸前に破談となった。このためDowは多くの事業の売却に踏み切ることとなる。

2008/12/29 ダウと、一転破談に  

なお、DowはPICから2013年5月に22億ドルの損害賠償を受け取っている。

2012/5/25 Dow、石化JV中止問題での調停で勝利、21.6億ドルを獲得

Buffett とKIUは2009年4月にそれぞれ30億ドル、10億ドルの優先株を購入した。

2009年時点では金融危機で米国のFF金利は2007年8月までの5.25%から暴落し、0%になっていたが、Dowは8.5%という高金利を払わざるを得なかった。

年間の利払いは255百万ドルと85百万ドルの合計340百万ドルに達し、これがそれ以降今まで続いていた。

契約では、2014年4月以降に、株価が取引日30日のうち20日間、53.72ドルを超えた場合に転換できることとなっている。一時的に超えた日は何回かあったが、継続して超えることはこれまでなかった。(Dowは、誰かが空売りして株価を抑えているのではと見ていたとされる。)

転換により、BuffettにはDowの普通株約6%、KIUには約2%を渡す。普通株への転換により、配当は年間 180百万ドル(1株 1.84ドル)に減少する。

Dowは2009年に大幅な減配としたが、その後順次増配し、現在では以前の水準を超えている。


Buffettの場合、普通株 72.6 百万株、現時点の時価で約42億ドル分を受け取る。Buffettはこれを売却すると思われる。

Berkshire は2009年末には5つの大会社の優先株を持ち、配当だけで年間21億ドルを稼いでいた。




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