日欧 EPA、年内合意困難に、韓国はEU離脱の英国とFTA交渉

| コメント(0)

日本とEUはEPA(経済連携協定)の年内の大枠合意を目指し交渉を続けてきたが、断念した。

安倍晋三首相は12月9日の参議院のTPP 特別委員会で、「本年中の大枠合意の実現を目指して精力的に交渉を進める」と述べ、意欲を示していた。

しかし、交渉のため来日していたEUのペトリチオーネ首席交渉官は12月17日、「いくつかの論点で思っていた以上に妥協が難しい状況だ」と述べ、双方の溝が埋まらないまま終了したことを明らかにした。

交渉では日本はEUに、自動車に10%、テレビに14%かかる関税の即時撤廃を要求、EUはチーズや豚肉、ワインなどの関税引き下げを求めていたが、難航した。

EU側は、日本製の自動車を巡っては「関税撤廃の準備はある」としたが、日本がEU産農産品の関税を撤廃することと「バランスが重要だ」と述べた。EUが日本に輸入自由化を求める豚肉に関しては今回の交渉で「大きな進展があった」と表明しているが、チーズについては「より問題が複雑だ」として決着が難しい段階にあると示唆した。

EU側は「来週以降も合意に向けて作業を進め、来年初頭にも残る課題の解決を目指したい」としているが、来年はフランス大統領選など欧州主要国で重要な選挙があり、欧州側の政治決断は難しくなるため、しばらく進展しない可能性もある。

EUは圏内人口5億人で、世界のGDPの2割を占める巨大市場。日本の輸出入総額の約10%を占め、中国、米国に続き第三位を占める重要な貿易相手で、日本にとっては米国に次ぐ第2位の投資先であり、また、日本への投資元として、EUは第1位。

ーーー

韓国とEUは2010年10月6日、自由貿易協定(FTA)の締結で正式署名、2011年7月1日に発効した。

双方は、相手地域で生産した自動車・冷蔵庫・カラーTVなど工業品に対しFTA発効5年以内に全関税を撤廃することで合意した。
EUの関税は、自動車で10%、テレビで14%と高率で、関税撤廃による韓国企業の輸出拡大が予想される。

工業製品関税については、原則 5年間で関税を完全撤廃。
  自動車部品は協定発効と同時に関税を撤廃、
  中大型乗用車は3年、小型自動車は5年内に撤廃
韓国は例外として40余りのセンシティブ品目について7年内の関税撤廃。
 (関税率が16%のその他機械類、純毛織物など)

見返りとして、農業品などの関税撤廃についても大部分は合意した。
韓国政府は、期間10年、総額270億ドルの国内農家向け支援策をまとめた。

EU産ワインは、直ちに撤廃
EU産豚肉に対する関税は、冷蔵肉全体とバラ肉冷凍肉は10年以内に、その他の部位の冷凍肉は5年以内に撤廃。

但し、韓国のコメ市場は開放しない。トウガラシ、ニンニク、タマネギも「主要調味料」として関税を据え置く。

韓国の自動車メーカーと部品メーカーの輸出競争力が飛躍的に高まる。
まず、エンジン、変速機など大半の部品に対する関税(現行 2.7-19%)が撤廃され、欧州の自動車メーカーは韓国製部品の調達を増やすものとみられる。

自動車メーカーの輸出の伸びも見込まれる。既に強力なブランドを持ち、ウォン安の追い風を受けている現代自動車など韓国のライバル企業が一段と有利になる。

逆に、ドイツやフランスなどが強みとする精密化学、機械分野では、欧州製品の攻勢で韓国企業が打撃を受ける見通し。医薬品、医療機器などの輸入も増えるとみられる。

2010/10/12  韓国とEU、自由貿易協定締結

韓国は米国、EU、ASEAN、インド、チリ、ペルー、コロンビアなどの国・地域との間でFTAを締結し、欧州―東アジア―米国をつなぐ「東アジアのFTAハブ」と自称したが、その後、中国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどとも締結した。

米国、カナダ、EU、中国の大国・地域については、日本はFTAを締結しておらず、差がついている。


その韓国は、英国がEU離脱の交渉を始める前に、早くもEU離脱後の英国との2国間FTA交渉を開始する。


両国は、来年2月に1回目の貿易作業班会議を開き、両国の新しい通商協定を英国のEU離脱と同時に発効させることを目指して協議する。 韓国の産業通商資源部と英国の国際通商省は12月15日、ロンドンで3回目の「経済通商共同委員会」を開いて合意した。

英国がEUから離脱すれば、英国に輸出される韓国製品に対して適用されていた韓国とEUとのFTAに基づく特恵関税が適用されなくなることから、韓国とEUとのFTAを承継する形で、韓国と英国のFTAを早期に締結すべきと指摘する声が上がっていた。

コメントする

月別 アーカイブ