Dow とDuPont は6月15日、米司法省が両社の合併を条件つきで承認したと発表した。
EUと同様で、DuPontの特定の農薬の売却、Dow のグローバルなエチレンアクリル酸とアイオノマー事業の売却が条件となっている。
EUとの間では、両社は下記の対策をとることで承認を得た。
1)DuPontの農薬事業のかなりの部分をR&D組織を含めて売却する。(DuPontは「1社に売却」としている。)
- グローバルで、DuPontの除草剤 thifensulfuron, tribenuron, metsulfuron, chlorsulfuron, triflusulfuron, lenacil, flupyrsulfuron, ethametsulfuron and azimsulfuron、殺虫剤 indoxacarb, cyazypyr and rynaxypyr。
- 殺菌剤については、European Economic Areaにおけるイモチ病殺菌剤の独占技術供与
- DuPontのグローバルなR&D組織。売却対象外のDuPont殺虫剤用のものを除く。
2)Dow はスペインと米国のアクリル酸コポリマー製造拠点の売却及び購入販売しているアイオノマーの購入契約の譲渡
2017/3/28 EU、条件付きでDow / DuPont 合併を承認
裁判所への提出資料によると、米国でDuPont が処分を求められた農薬は、冬小麦用除草剤 Finesse(一般名chlorsulfuron)と殺虫剤Rynaxypyrで、司法省によると米国での年間売上は1億ドル以上である。これらはいずれもEUとの交渉でDuPontが売却する農薬に含まれている。
Dow製品については、Dowは2017年2月2日、グローバルのエチレンアクリル酸(EAA) コポリマーとアイオノマー事業をSK Global Chemical に売却する契約を締結した。
2017/2/15 Dow とDuPont、合併承認を求め、事業売却を提案
このため、両社が今回、改めて売却が必要となるものはない。
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欧州委員会は3月27日に、中国商務部は4月29日に条件付きで承認した。
2017/3/28 EU、条件付きでDow / DuPont 合併を承認
2017/5/8 中国商務部、DowとDuPontの合併を条件付きで承認
ブラジル当局は5月17日、ブラジルのコーン種子事業の一部の売却を条件に承認した。
豪州は6月8日 合併を事実上、承認した。
今回、米国が承認し、あとはカナダなどが残っている。
両社は引き続き、承認を得るべく努力するとしており、2017年8月の合併、その後18カ月以内のスピンオフの予定を再確認した。
付記 カナダのCompetition Bureauは 6月27日、合併を承認した。EUの求めに応じ、問題事業の売却を約束したことを理由とした。
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