東芝、Westinghouseの米国原発建設プロジェクトに係る親会社保証を早期弁済

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東芝は1月12日、V.C. Summer原発に関する親会社保証を早期弁済したと発表した。Vogtle 原発に関する親会社保証は2017年12月14日に早期弁済しており、親会社保証に係る支払い義務を完済したことになる。

東芝は、2017年12月の増資で得た6千億円の資金をもとに全額返済した。

これにより、有税で引当てしている保証損失を損金算入することにより、税金を2400億円圧縮する。

実際にはこれだけでは、親会社としての保証を実行しただけであり、返済額は子会社のWHに対する債権に変わるだけである。
東芝は3月までに、無価値のWHの株式とWH向け債権を第三者に売却し、損失を税法上の損金とする。

弁済内容は次の通り。(百万ドル)

相手先 原発 保証金合計 支払済み

先取特権
控除

残高一括払い
Southern電力 Vogtle 3,680 455 3,225 2017/12/14
South Carolina
Electric & Gas、
Santee Cooper
V.C. Summer 2,168 247.5
60 1,860.5 2018/1/12
債権譲渡先Citibankに支払い
合計 5,848 702.5 60 5,085.5

東芝は2017年6月10日に、ジョージア州で建設中のVogtle 3、4号機建設計画に関する親会社保証について、Southern電力に対し、3,680百万米ドル(4129億円)を2017年10月から2021年1月までの間に分割して支払うことで合意書を締結した。

東芝は2017年7月27日、サウスカロライナ州で建設中のV.C. Summer 原発2、3号機に関する親会社保証について、South Carolina Electric & Gas 及びSantee Cooper との間で、2,168百万ドル(2,432億円)を2017年10月から2022年9月までの間に分割で支払う旨の合意書を締結した。2基の原発の建設、1基だけの建設、建設断念のいずれのケースでも行われる。

2017年10月に第一回分の支払いを行った。

South Carolina Electric & Gas 及びSantee Cooperは9月27日、東芝から受け取る予定の保証金のうち、2017年10月の支払い分を除く全てをCitibankに売却した。
総額の91.5%に割り引いた金額となるが、5年の分割よりも直払いを選択した。東芝の今後の支払い能力への懸念もあると思われる。

2017/7/31 東芝、米原発の保証債務 6561億円で確定

今回、V.C. Summer原発に関する親会社保証について、債権の譲渡を受けたCitigroup Financial Productsに対して支払った。

なお、先取特権 60百万ドルを減額した。

米国原子力発電所の建設プロジェクト等においては、mechanic's lien といって、対象建築物に対して先取特権を登記することができ、不測の事態等においては、回収不能債権等による損失額の優先的な保証を受けることができる制度がある。
WECの再生手続の結果、
V.C. Summer 建設プロジェクトにおいて先取特権を登記した各施工者が一定額を保証されると 、当該額分、親会社保証を付与していたWEC債務が減額される効果を生む。

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